独断と偏見まみれのデジカメ考察

 亡くなった父は写真好きだった。といっても典型的な下手の横好きというタイプで、父が撮った写真の中には今見ても「な・・何が撮りたかったの?」と思うような写真も少なくない。
 私ももちろん、その下手の横好きの部分は強力な遺伝子を受け継いでいるようである。ちなみに私の弟も同じ遺伝子を父からもらっているはずなのだが、一応プロのカメラマンである。「下手」の部分を修行で克服したのか・・・?でも、私の結婚式で弟に写真を頼んだら、カミさんや私の顔がはみ出している写真を量産してくれた。「お前、ほんとにプロか?」と聞いたら「人物は専門じゃない」とぬかした。
 ちなみに弟の専門はブツ撮りで、けっこうなかなかどうしてちゃんと仕事もしているらしい。

 父は私が生まれた年に「子供の写真を撮るため」と称してカメラを買っている。それも貧乏サラリーマンのくせにペンタックスの当時はかなりしたはずだと思われる一眼レフのフルセットである。ちなみにこのカメラ、父が亡くなった時に「形見分け」と称して母に押しつけられた。捨てることもできないし、売ろうにも二束三文だし、未だにうちの押入に眠っている。
 私も長男の大が生まれた時は同じことをやった。大が生まれて翌日がカミさんと2人で退院して来るという日に、「カメラがいるから」と家から金を掴んで買ったのが初代のCanon EOS Kissである。
 一眼レフを買って「下手の横好き」の血に火がついたのか、一時写真にはハマッた。いろいろ本や雑誌を買い込んで勉強したものである。F値とかシャッタースピードがどうの、被写界深度がどうのとかいうタームを覚えたのもこの頃である。このカメラは今でも持っている。

 根がミーハーで新しもの好きなので、デジタルカメラがこの世に出てきた時も割とすぐハマッた。ただ、実際に買ったのは平成8年頃だったと思う。当時は実際に牛を200頭近く飼っているところが勤務地で、ある月に子牛の下痢や肺炎などの病気が相次ぎ、その治療に深夜勤務や休日出勤を強いられた。その残業代で買ったはずだ。当時は残業代は現金支給だったので、もらった帰り道でデジカメを買った記憶がある。
 買ったのはエプソンのCP-100とかいう30万画素機だった。今時の携帯にも負ける画素数である。しかも液晶モニターはなかったので、撮った写真を見るためにはPCに転送しなければならなかった。まあ当時のデジカメはこんなもんであった。

EPSON CP-100 

EPSON CP-100

Fijifilm FinePix A201

Fijifilm FinePix A201

 長らくデジカメも新しいモノを買っていなかったのだが(金がないし)、2年ほど前に仕事で筑波に行った時に、フジフィルムの200万画素機を衝動買いしてしまった。FinePix A201という機種だった。単焦点パンフォーカスの、いわゆる「押せば写る」カメラである。さすがにこれはすぐ飽きた。
 右の写真は2つとも、オークションに出品した時に撮影した写真である。撮影したカメラは両方とも後述のS85である。
 両方とも結構ありがたい値段で売れた。


Sony Cyber-shot S85

 で、それから半年もしないうちに買ったのがソニーのCyber-shot S85である。

Sony Cybershot S85 

Sony Cyber-shot S85 (EOS Kiss Digitalで撮影)

 これは良いカメラだと思う。1年と9ヶ月ほどの間に4000枚ほど撮影している。
 400万画素で38-114mm相当までの3倍ズームで最小F値は2.0-2.5、撮影モードもフルオートや3種類(夜景、風景、ポートレイト)のシーン別撮影モードの他に、ちゃんと絞り優先、シャッタースピード優先、フルマニュアルのモードがある。
 このHPで、古い写真をスキャナーで読み込んだもの以外は、平成15年9月現在までの全ての写真はこのカメラで撮影したものだ。古い写真もこのカメラで接写して載せているものが何枚かある。

 −ちなみにこの写真は新しく買ったCanonEOS Kiss Digitalで撮影したもの。まあここまで縮小してしまえばデジタル一眼もどれも同じような絵になってしまうのだが、写真左端のストラップの末端がボケているあたりなんぞ、さすがデジタル一眼だぁ、とちょっと感動する。ボケ方が綺麗。


 このカメラ(S85)、とにかくレンズが良い。
 カールツァイスのバリオゾナーレンズなのだが、解像感はさすがである。絵はソニー独特の、やや作り過ぎ感のあるシャープ感と色味だが、少なくとも私個人的にはフジのわざとらしいほどの色よりは受け容れられる。
 もう1つ、このカメラの美点は電池持ちの良さである。液晶モニターもオンにして普通に使って、優に3時間以上使える。2〜3泊の山に持っていくのなら、始めにフル充電しておけば余裕でバッテリーが保つ。山では充電する場所など望めないことが多いので、これはありがたい。単三乾電池を電源とするタイプのデジカメなら予備電池を持っていけばいいだけなのだが、何セットも持っていくのは辛い。
 また、バッテリー残量が「150min」というように数値で表示されるのもありがたい。まあバッテリー残量は使用状況に大きく左右されるので、必ずしも正確な数値とはなっていないのだが、少なくとも2〜3段階でしか残量を表示できない他メーカーの機種に比べれば雲泥の差がある。バッテリー残量が少ない時に節約のために液晶モニターを切ったりするとちゃんと残り時間の表示に反映されるので、残量ギリギリの状況ではかなり役に立つ。
 さらにソニーの電化製品全体に言えることだが、操作系がとてもよく考えられていて使いやすい。ソニーといえば携帯も2機種使ったが、あの操作系は群を抜いて使いやすい。このカメラもフルマニュアル操作にAEロックや露出補正など、たいていの操作が可能な機種の割に、ほとんど直感的に使える操作系を持っていてマニュアルを熟読しなくても使えてしまう。

 反対に携帯だと、例えばカシオの機種などはカタログスペック上はずば抜けて高機能なのだが、操作系がどこか不自然で、どれだけ長く使っても「手に馴染む」感じになってくれない。技術開発部門は優秀でも実験部隊にあまり良い人材がいないのか、それとも社風で実験部隊の立場が弱いのか、なんて想像をしてしまう。カシオの時計はG-SHOCKに始まり今ではプロトレックを使っているが、やはり同様である。

 このカメラの気に喰わないところももちろんたくさんある。
 「作り過ぎの絵」についてはコンシューマ機はしょせんこんなものという認識があるし、その中では比較的マシな方だとも思っているのでそれほど気にならないが、ノイズの多さには閉口する。青空などのベタ面にかなり目に付くノイズが出るし、特に長時間露出に弱く、暗い被写体を長いシャッタースピードで撮ると、黒のベタ面にうんざりするくらいのノイズが出る。何とかして欲しい、と思ったらちゃんと後に出た機種では対策されていた。
 それと夜景、風景、ポートレイトと3パターン用意されているシーン撮影モードだが、これを選んでもカメラが決める露出にはたいして差が出ない。例えば風景だと絞りを目一杯絞って、ポートレイトだと逆に目一杯開けて、となるはずなのだが、どちらもフルオートより1段くらいしか変わらない設定をしてくる。下手するとフルオートと全く変わらない露出値を決めてしまう。
 まあ結局、絞り優先とかシャッタースピード優先のモードを使って自分で露出を決めるので、このシーン撮影モードはほとんど、というかまったく使わないのだが。
 ちなみにデジカメの特性上、被写界深度が深いのでポートレイトでレンズを目一杯テレ側に伸ばして絞りを目一杯開けても、たいしてボケてくれるわけではない。ボケさせるには被写体と背景の距離を目一杯大きく取る必要があるが、そうやってなんとかボケさせた時のボケ味は、まあこのクラスのデジカメとしては割合綺麗である。

 そんなわけでこのカメラ、実はとても良いカメラだと思うのだが、いつの間にかSシリーズ自体が生産終了になってしまった。一般的に人気が高いPシリーズと、ハイエンド機という位置づけのFシリーズの狭間に埋もれてしまったようだ。F717あたりのハイエンド機と比べてもコンパクトで、しかも画質はほぼ同等という、けっこう良い線を行くカメラだと思ったんだけどなぁ。キャノンのGシリーズが売れているのを見ても、このSシリーズもタメを張る機種になれたのにもったいない、と思う。まぁ、ソニーにあまり売る気がなかったんだろうが。
 これが例えば500万画素のF717や他メーカーのG5とかにしても、もはやこのクラスのデジカメの宿命的弱点であるレリーズタイムラグの大きさや露出値の自由度の低さといった問題は根本的に解決されていないので、これ以上遊びたければ一眼レフデジカメにいくしかないと思う。

 その一眼レフデジカメも良いのは判るんだけど高いしなぁ・・・と思っていたら、遂に出た。Canon EOS Kiss Digital である。遂に10万円代前半である。レンズ一体型のコンシューマ機のハイエンドクラスと競合する価格帯。
 カタログを調べてみると、画質に関係するあたりの設計は10Dと同等で、これは面白そう。EOS Kissを持っているのでレンズならある。300mmのレンズだってある。300mmだとEOS Kiss Digitalだと、なんと480mm相当である。これならあのシミにしか見えなかったクマだって・・・
 というわけで、欲しいっ!!
 
「これを買うぞ!!」宣言をしてしまった。私が本気モードで「買うぞ」宣言をしたものは、過去の実績では必ず入手しているので家族は恐れおののいている。

Nikon Coolpix 5000

 番外編。
 職場で購入したカメラである。
 ちょっと用途が特殊なんてある。動物の解剖を仕事で行うので、その解剖の臓器写真の撮影が用途である。狭い解剖室に大きな牛が入ってくると壁まで下がっても外貌写真の撮影に苦労するので、広角レンズが欲しい。また当然接写には強くなければ困る。というわけで、ほとんど必然的にこの機種を選定、購入することになった。
 また、顕微鏡と接続しての撮影もしたかったのだが、その手のアダプターはなぜかニコンとオリンパス系のみしか出回っていない。

 でも、いざ使ってみるとかなり手強いカメラであった。
 定価だと15万もするカメラなのだが、AFとレリーズタイムラグの遅さは私のS85となんら変わりない。
 何より困るのはレンズの暗さである。暗いといってもワイド側でF2.8程なのだが、こうこうと灯りを点けた解剖室でもフラッシュなしでは辛い。シャッタースピードが1/4ほどになってしまい、これでは手ブレせずに撮るのは不可能である。ちなみにまったく同じ被写体を試しに私のS85で撮影したことがあるが、この時のS85のシャッタースピードは1/30だった。これならなんとかなるのだが・・・
 で、フラッシュを使うと真っ白に飛んでしまう。まあ接写に内蔵フラッシュはどのみち使えないものなのだが・・・三脚を使えばいいのだろうが、現場は動物の内臓と血と胃の内容物でドロドログチャグチャなのである。そこに抜群に切れる刃物を持った人間が数人、グチャグチャで滑りやすい足場の所で仕事をしているものだから、とても恐ろしくて三脚なんぞは持ち込めない。
 またこのフラッシュ、ちょっと被写体が近いと白飛びさせてしまうくせに、ちょっと遠いと今度はまったく届かないとくる。いちいちメニューから補正しないと使えない。今のところ、接写ではフラッシュを弱く、室内撮影では強くして対応しているが、いちいちメニューを出さないと設定できないので不便。

 操作系も納得いかない。ニコン独特の操作性なので、元々キャノンに馴れている私がうざったく感じるのは仕方がないのだが、それを差し引いても操作系には疑問がわんさか。
 ほとんどのボタンが右手の位置に集中しているのがまず疑問。カメラをホールドしている右手でボタンを押せば、また最初のフレーミングからやりなおしになってしまう。フォーカスエリアを決めるのに十字ボタンを使うのだが、これも右手である。絶対疑問。右手の人差し指でファンクションボタンを押しながら、右手の親指でコマンドダイアルを回す、なんて操作が求められる場合もあって、とっても操作しにくい。
 おまけにあまり直感的に操作できないので、マニュアルを熟読することが必須であり、職場内ではほとんど私にしかまともに使えないカメラになってしまっている。
 じっくり構えて撮ればきちんと撮れるし、その時の画質はさすがに「コンシューマ機」とは一線を画すほどの見事な画質なのだが・・・下手な鉄砲はどれだけ撃っても当たらないカメラ。
 AFはちょっと遅すぎだし(私のS85の方がまだ早いかも)レリーズタイムラグもぎっちり体感するほどはある。また臨機応変に素早く設定を変えにくい操作系なので、ポートレイトやスナップにはあまり向かないカメラなんだろうな。三脚立ててじ〜っくり撮る風景写真向きのカメラ、という感じである。

 ちなみに顕微鏡アダプターも一緒に購入した。ニコン純正ではないが。顕微鏡の接眼レンズを外してカメラを差し込むことができるタイプのアダプターである。
 実は病理の検査室には、顕微鏡直結のデジタルカメラが2年前に入っている。そのままPCに取り込めるタイプで、さらに高いモデルだとリアルタイムでPCのモニターに顕微鏡の視野を表示できた。うちの職場で導入したのはそれより安いもので、PCモニターにリアルタイム表示はできない。
 その病理屋に言わせると、今度のデジカメアダプターは、「・・・ふっ、こんなのオモチャだね」ということらしい。
 ま、だけど細胞1個1個のディテールが問題となる病理屋と違い、ウイルス屋が撮りたい顕微鏡写真なんて「細胞が壊れているか」とか「光っているか」程度のものなので、これで大満足なのである。どのみちウイルスなんて光学顕微鏡では見えない代物なのだし。
 また、「壊れているか」「光っているか」はまったく違う顕微鏡で調べるのだが、倒立顕微鏡と蛍光顕微鏡それぞれにデジタル撮影システムを組み込むとどえにい金がかかる。このアダプターだと口径さえ合えばどの顕微鏡にも差し込んで使えるので大変嬉しい。


Canon EOS Kiss Digital

 「絶対買う!」と宣言してから2週間も経たないうちにほんとに買ってしまった。さすがにこの価格帯になると「ニコニコ現金払い」というわけにはいかないので、ローンの金利計算と在庫確認くらいのつもりでカメラのキタムラを覗いてみたら、在庫が残り2台という状況だったのですかさず買ってしまった。カミさんローン併用である。

Canon EOS Kiss Digital 

Canon EOS Kiss Digital & EF-S 18-55mm USM

 カメラのキタムラは富山に3店舗あるが、その3店舗で唯一の在庫であり、かつその店が一番条件が良かった。同じキタムラでも店によって微妙に条件が違うのである。

 買ったのはレンズセットの方である。銀塩のEOS Kiss(初代)も持っているのでレンズの使い回しもできるのだが、そちらは広角ズームが28-80mmであり、デジタルだと焦点距離が1.6倍になってしまうため、広角レンズは1本欲しかったのでレンズセットを買った。このあたり、キャノンの商売上手さは憎たらしいほどである。プリンタではせっかく技術先行したのに毎度毎度エプソンに逆転を食らっている同じ会社とは思えない。


 ちょっとした誤算もあった。
 レンズは銀塩EOS Kissで使っているものがシグマの28-80mmと100-300mmなのだが、100-300mmの方がデジタルでは使えなかった。AFは合うのだがシャッターを切るとエラーになってしまう。300mm×1.6=480mm相当の望遠は楽しみにしていただけにショックだった。ま、転んでもただでは起きまいと銀塩EOSを売り払った金で望遠レンズを1本買おうと画策中である。
 まあシグマの安いレンズなので、28-80mmの方も、やはり画質は少し甘い。普通のサービス版のプリントではまず判らない差ではあるが、A3あたりまで引き延ばしたりPC上で等倍で見たりすると、どうにもピントが合いきっていないような甘さは厳然としてある。
 というか、レンズセットに付いてくる19-55mmのEF-Sレンズが良いのか。たった2万円の差額で手に入るレンズとは思えないほど綺麗な絵を出してくれる。
 まあ、100mm相当まで伸ばしてもF2.5とか、38mm相当だとF2.0なんていうコンパクトデジカメの明るいレンズに馴れてしまっていたので、ちょっとした暗さでもかなり遅くなってしまうシャッタースピードには最初少し戸惑ったが。

 画質は、なんというかさすが一眼レフ。

作例 

55mm ISO400 F5.6 8sec

 カリカリにシャープではないのだが、なんというか自然な感じがすごく良い。それでいてちゃんとバリバリに解像はしているんである。
 それとノイズの少なさもウルウルものである。
 右の写真はISO400で8秒の長時間露出をかけて撮った写真である。これで等倍で見ても「少しノイジーかな?」という程度。
 ISOは1600まで設定できるのだが、800でも大きく引き延ばさない限りはぜんぜん問題ない程度のノイズである。1600だとさすがにノイジーだが、それでも右写真と同じサイズまで縮小すると区別できないくらい目立たなくなってしまうだろう。
 AFの速さもレリーズタイムラグの小ささも、コンパクトデジカメに馴らされてしまった身には感動で涙ぐむほど・・・

 となるとやはり望遠レンズが欲しいな。
 多少開放F値が暗いレンズでも、ISO上げれば問題ないやんか、と考えてしまえる。

 


 大きさと重さはやはり辛い。
 一眼レフとしては非常に小さくて軽いものの、山に持って行くにはやっぱりある程度の覚悟が必要な大きさだったりする。まあ銀塩の一眼レフを持って山に行く人はたくさんいるし、そういうものだと思えば問題ないのだろうけど。
 でも、そうなるとS85も持っていくことになるのだろうが、これはもっと小さくて軽いものに買い換えたい、と思う。もうマニュアル露出は必要なくプログラムAEだけでいいんだよね。そっちはKiss Digitalで撮るので、それとは別にとことん小さくて軽い「押せば写る」系のデジカメが欲しいかも。

 操作系もなかなか良くできている。
 ざっとマニュアルを斜め読みすれば、あとは直感で操作できる操作系である。ホワイトバランスやISO感度、連写モードやAFフレームの任意選択がマニュアル系の撮影モードでしか設定できない、という点だけ注意が必要だが。全自動やポートレイトモードなど、オート系の撮影モードではそれらがみんなオートで勝手に設定されてしまう。・・・ま、それで間違いはないんだけど。

 日曜日に買ってきて2日経った今日の時点で、撮影枚数は100枚を軽く突破した。こうやってガンガン数が撮れるのがデジタルの良いところである。また、「こういう露出で撮ったら失敗した」というのが即座に判るので練習になるし面白い。上の写真なんて同じ構図でISOとシャッタースピードだけ変えて10枚以上撮影した。銀塩の場合は、写真ができてくる頃には自分がどういう露出設定で撮ったか忘れてしまっていたりするのが、デジタルだとリアルタイムでいろいろ試行錯誤しながら撮れるのが面白い。画像ファイルに露出なども記録されるので、後から学習もしやすいし。

 ん〜、写真撮りに山に行きたい。


 その後、状況がかなり目まぐるしく変化した。
 弟(東京でカメラマンをしている)に「Kiss Digitalを買ったでぇ〜」と自慢していたら (ほんとは余ったレンズをくれ!という無心の電話だったのだが、「貧乏カメラマンは余分なレンズなど持たんのぢゃ!」と一蹴された) 、その話を聞いた弟の嫁が前のS85を欲しい、と言う。弟の嫁も一応素人ではないのだが、このS85は私が買った時からレンズの描写にはノックアウトされたらしく「欲しい〜!」を連発していたのだ。
 で、彼女には「欲しいのならそれ相応の交換物を出せ」と言ったのだが、それならばと彼女が差し出したものがCanonEOS D30ときた。
 一応補足説明しておくと、D30は3年前に出たデジタル一眼レフで、現在に至る「デジタル一眼レフの普及」の先鋒となった名機である。当時の定価は35万8千円だったのだが、それ以前のデジタル一眼は100万前後していたものだから、「安い!」と感動したものだった。買えもしないくせに。
 このカメラは弟が仕事のサブ機にと買ったものだった。弟の仕事は静物撮りなので、どちらかというとメインは中版カメラらしいのだが(それもコンタックスにツァイスのレンズ群という、貧乏カメラマンのくせに贅沢な機材を揃えている)、徐々にデジタルも使うようになってきたとかで。
 で、それが弟が今年になってD60を買い足したものだから、D30は嫁にくれてやっていたというわけである。それを嫁は交換に差し出すという。
 「いいのか?それで?」と思わず念を押してしまった。だってカメラとしての格は六甲と剱岳くらいに違うものだし、第一今現在のオークションでの流通価格だってまだD30の方が上である。でも、嫁が「それでいいの」と言うのでめでたく交渉成立となったわけである。
 ま、嫁にすれば家の中で子供の写真を撮るくらいなので、それにD30は鬱陶しいのだろうが。

 こうして我が家に来たD30を速攻でオークションに出したら8万円で売れてしまった。まるでデジカメわらしべ長者のような話である。

 うちに来たD30は、オークションで売るまでの僅かな間にしばし遊ばせてもらった。
 さすがにカメラとしての造りは3年を隔てた今でもKiss Digitalとは格が違う、という感じである。特にシャッターフィーリングが良いなぁ。
 Kiss Digitalはプラスチックボディのせいか「ガシャン」という感じでシャッターが切れるのだが、D30は「カシュン」の違い。さらに連写性能は明確に差別化されていて、Kiss Digitalが2.5コマ/秒で4コマまでしか連写できないのにD30は3コマ/秒で16連写である。さらにファイルサイズを小さくすると永遠に連写し続ける。「カシュンカシュンカシュンカシュンカシュン・・・」と際限なく切れていくシャッターは、確かに恍惚とするものがある。
 その直後にテニスの試合で静岡まで遠征してきたのだが、4連写だとサーブからボレーまでを一度に撮ることができないのね。まあでもそれを言い出すと8コマ/秒のD1を買わねば!という禁断の領域に踏み込んでしまうので、それは忘れることにする。
 画質も300万画素とはいえ、写真としてちゃんと納得できる画質なので、やはり「写真機」としては最新型のコンパクトデジカメの300万画素機よりは未だに良いと思う。
 このD30を連写性能をアップして(6コマ/秒の30連写くらい)D30Hなんて売り出したら売れそうな気がするんだけど・・・ニコン機と間違えて買う人もいるかもしれないが。

 D30を売った金でレンズと安いデジタルビデオカメラを買った。
 レンズはタムロン28-300mm XR F3.5-6.3である。私は望遠野郎なので長玉はどうしても1本欲しかったのだ。
 Kiss Digitalの画角は35mm換算すると1.6倍なので、このレンズを使うと実にテレ端480mm相当である。ま、実際は手ぶれするのでなかなかテレ端までは伸ばせないのだが。テレ端で撮る時は、まず座禅をして精神統一を行い、何か固定物で身体を支えてから深呼吸をし、止めた息を静かに吐き出しながら撮影し、10枚撮ったら1枚くらいはブレてない写真が撮れるか、といったところである。ま、素直に三脚使えば良いのだが。

自宅近所から剱岳 

自宅の近所から剱岳 300mm(480mm相当)

 上の写真は自宅の近所から剱岳を撮った写真。まあ単に「でっかく」写したかっただけなので構図も何もない写真なのだが、下界から撮った写真とは思えないでしょ?これでトリミングはしておらず、原画を単に縮小した画像なのである。

 このレンズ、安い割には良く写る。さすがにテレ端だと少し甘いかな?とは思うが。開放F値が特に望遠側だと暗いのでISOを上げるなりの対策をして少しでもシャッタースピードを稼がないと確実に手ぶれする。曇りだったりすると手持ちではほぼお手上げ状態になるし。まあ望遠なんてそんなものか。

 他にも欲しいレンズはたくさんあるのだが、先立つものはない(きっぱり)。

 

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