ミラーレス一眼
Canon EOS M
いつの間にか世の中はミラーレス全盛なのである。
EOS
20Dを買ってからずいぶん時間が経つのに、特にカメラの買い換えをしてこなかったのは、まあざっくり言えば20Dに特に不満を感じなかったからというのと、他に金のかかる趣味をたくさん持っているから、だったりする。山とかチャリとか。
20Dも不満がないわけではないのだ。画素数は正直、もう800万画素でお腹一杯でこれ以上は特に求めないのだけど、AF系はもうちょっと何とかならないか、とは思っていた。スポーツ写真などの動きモノを撮ると、AFフレームが少なく間隔が空いているため、よくピントを外すのである。そのあたりがグレードアップされれば(要するに当時の1D系のAFが搭載されれば)買い換えたいな、と思いつつ待っていたのだが、30D、40DとモデルチェンジされてもAF系は基本的に変わらないままだったし。
60Dも触ってみたが、何というか触ってAFを動作させたりシャッターを切ったりするときの「感触」が20Dと大差ないのである。画質は飛躍的に良くなっているのは想像に難くないけど、何というか10何万という金を出すモチベーションが湧かないんだなぁ。
7Dは良いと思った。秒間8コマの連写もAF関連もはっきり進化していて(さすがEOSの1桁シリーズ)と思ったのだが、いかんせん大きくて重いじゃないか。
当時はもう山にあまり一眼レフを持って行かなくなっていた時期だった。重くて面倒っちいもの。元々山で写真を撮ることについて、それが主目的になるほどの写欲はないので、重い一眼レフを持って行くのはなんとなく面倒になってきていた。ので、7Dにはどうも物欲が刺激されなかったのだが、2年ほど出るのが早ければ買っていたかも。
そのうち沢とかの用途のために防水のコンデジに走り出したので、もうカメラなんてこれでいいや、と。
もちろん「今一眼レフを持っていればなぁ・・」という景色には何度も逢っているのだが、元々写真を撮るのは山に登るついでだし。
そうこうしているうちに、ミラーレスが登場して流行りだした。最初にミラーレスを出したのはパナソニックで、マイクロフォーサーズ規格のカメラだったらしいのだが、最初にメジャーな商品になったのはオリンパスのペンだったのではなかろうか。そういう認識なんだが。
ペンは良いな、と思った。マイクロフォーサーズって、センサーはフォーサーズと同じで要するにフランジバックがミラーを省略できるために極端に短くなった規格らしい。一眼レフでは苦戦していたフォーサーズもミラーレスになってようやく報われたか、という感じである。
考えてみれば最初から狙っていたのかどうかは判らないが、フォーサーズってミラーレスのために設計したかのようなセンサーサイズだね。一眼レフにはちょっと小さくて、それでノイズが多いとか言われてメジャーになりきれなかったフォーサーズだけど、ミラーレスになるとライトユーザーの比率が多くなるから、そんなことはあまり気にされないからな。
んなことを思っているうちに、遂にキヤノンがミラーレスを出した。これは見てみねばならんでしょ。
というわけで、カメラ屋に行って触ってみた。
ん〜?こんなもんか?宣伝では位相差とコントラストを組み合わせた高速なAFという触れ込みだったけど、触ってみると遅いぞ?
ミラーレスのAFってこんなものなのかと思ってオリンパスのペンなんぞを触ってみると、おお、速いじゃないか。しゃきしゃきレスポンス良く動くぞ。こりゃ売れるはずだわ。
EOS
Mは連写も秒間4コマ。ん〜。
しかもサーボAFにすると、なんと秒間1.7コマになってしまうという。こりゃ「連写」じゃねーぞ。レスポンスが良いカメラだったらワンショットでもそれくらいは撮れるかも、という数字だぞ。
しかもしかも、なんとマウントアダプターを噛ませてEFレンズやEF-Sレンズを使うと、最初の1コマしかAFが追従しないって。
ま、「動きモノはこのカメラでは撮れません」ってこったな。最後発なのにこんな程度で良いの?キヤノンさん?
というわけで、一時かなり購入欲が減退した。もうミラーレスを買う、というのは何となく自分の中で決定事項だったので、EOS Mを買う意欲が減退した、というだけなのだが。
そんなときにふとオリンパスのOM-Dを触ってしまった。なんだこれは、むちゃくちゃ良いじゃないか!
OM-Dはオリンパスの往年の一眼レフであるOMに似せたデザインのカメラである。当然、デザインはかなりクラシックというか、古くさい。そういうわざとらしいデザインは好きではないしOMに何の関わりもなかったので、まったくノーマークのモデルだったのだが、触るとむちゃくちゃレスポンスが良くて良い。
オリンパスさんも商売の仕方、間違ってるよ〜。デザインで潜在ユーザーの大半を切り捨ててるなぁ、あれは。
で、一時は所有しているキヤノンのシステムを全て売り払って、OM-Dを買ってマイクロフォーサーズに乗り換えようか、と真剣に検討したのよ。
といっても、持っている機材で金になりそうなのはEF70-200mmF2.8L
ISしかないのだが、これでも上手く売ればOM-Dのレンズキットがそのまま買えるくらいの金にはなりそうだし、それに手持ちの資金を投入すれば、ちょっとした勝負レンズの1本くらい買えそうである。
・・・それが結局、EOS
Mになってしまったのは、やはり画質が勝負の分かれ目だった。
撮って出しの画像を直接見れるサイトで見てみたらば、マイクロフォーサーズも健闘しているとはいうものの(それだけ見れば"いいじゃん"と納得するくらいの画質)、EOS
Mの画像を見てしまったらもうあきません。
というわけで、前置きが長くなったがEOS Mのダブルレンズキットを購入、となった次第である。
EOS M + EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM |
上の写真はキットレンズの18-55mmを着けたEOS Mである。えらくコンパクトなレンズなのだが、これでもバランス的にちょっとレンズが大きく見えてしまうくらい本体がコンパクト。まさにコンデジなみ。
EOS M + EF-M 22mm F2.0 STM |
上はもう1本のキットレンズである22mmのパンケーキレンズを着けた状態。これがバランス的にはベストマッチかな。
このレンズ、写りも良いので今のところ8割以上がこのレンズでの撮影になってる。
EOS M + EF EOS-M + EF70-200mm F2.8L IS USM |
上がマウントアダプターを介して70-200mmF2.8を着けた状態である。笑える。ほぼレンズじゃん。
実際、家でこのレンズを装着したときは、家族の爆笑を誘った。
が、持つと意外にちゃんと持てる。まあ、ほぼレンズを持つのだが、そもそも20Dでもそんな感じだし。
EF-M 18-55mm (18mm) ISO100 , F8.0 , 1/80sec , ピクチャースタイル:風景 |
写りはなんというか、さすがだわ。まあキヤノンの画質に慣れ親しんでいるので、素直に「やっぱキヤノンだわ」と受け入れられる絵である。
解像感も無理矢理シャープネスをかけている感じでもない自然さで、色の出方も現実より綺麗なのだけど、「うそ〜」と思うほどわざとらしくもない、というか。
EF-M 22mm F2.0 ISO3200 , F2.8 , 1/40sec (-2/3補正) |
これ、なんてことない写真だけど、ISO3200だぞ。20DのISO800より圧倒的に綺麗。これが8年間の進化か・・・
この一部を等倍トリミングしたのが下の画像。
上の画像の等倍トリミング |
こうやって見ると確かにノイズは出ているが・・・それでもまだ猫の毛をちゃ〜んと描写してるもんな。
恐れ入りました。
というわけで、とことん高感度を試してみた。
ISO6400 , F3.5 , 1/30sec |
等倍で見れば盛大にノイズは出ているが、それでも等倍トリミングにも耐える画質である。このサイズだと何の問題もないし。
もっと上げてみるか。
ISO25600 , F3.5 , 1/125sec |
ISO25600。このカメラの上限である。
さすがにこのサイズでもはっきり判るほどノイズが出る。でもモノクロだとこれはこれで面白そう。
ところでこのカメラ、何枚か連写した画像を合成するという、マルチショットノイズリダクションという機能がある。最近流行っている機能のようだけど。
そいつを試してみた。
ISO25600 , F3.5 , 1/125sec |
うーん、かなり低減されてしまった。
等倍で見ると、けっこうベタッと塗られたみたいな絵になっているので、使うか使わないかは時と場合によりけり、というところだろうけど。少なくとも6400くらいまではほとんど使う必要を感じないし。
これなら山にも持って行けるよね、というところである。考えてみれば、当初の動機が「これなら山に持って行けそう」というものだったので、連写とかAF速度なんて、言ってみればどうでも良かったのだった。いや、AF速度はファームアップででももうちょっと何とかして欲しいとは思うが。
光学ファインダーにはあまり拘らない方で、元々光学ファインダーだろうが電子ファインダーだろうが液晶モニターだろうが、ちゃんと見えればokと思っているので(望遠レンズでの撮影時などはファインダーを覗くことによって顔でカメラをホールドする、という意味で"ファインダー"が欲しい時はあるけど)、このカメラのすっきりしたデザインと大きさ、重さは大歓迎である。ファインダーつけると大きく重くなるからね。
新しいカメラを買うと、新しいレンズが欲しくなるんだよな・・・