2007年モンベルの傾向と対策
<3.18補足追加>
<3.21補足追加>
今年も山にも行けずにバタバタと仕事しているうちに早や3月である。久しぶりの更新が山にも行けずにカタログ分析というのもしゃくなのだが、山にも行かずに食べ歩きブロガーと化しつつある山男のサイトもあるので、こんなのもありなのかと自分を納得させようと努力している今日この頃だったりする。(でもそのお友達も、今年は年明けからぼちぼち山に登っていたりする・・・)
3月ということで、そろそろモンベルのニューモデルが出てくる時期なのだ。例年どおり、ニューモデル発表の前にモデルチェンジされるモデルはアウトレットに回っているので、そこから今年の予想をしてみる。
レインウエア
ストームクルーザー、レインダンサー、トレントフライヤー、レインフィールダー、ストームハンター、レイントレッカー、バーサライトがアウトレットに回ってきている。なんのことはない、ピークシェルを除くほぼ全モデルがアウトレットに来ているわけだ。このうちいくつかは「カラーチェンジ」である可能性もあるのだが、今年は主要モデルの多くがモデルチェンジされる年回りなのだろう。
この中でモンベルのメインモデルであるストームクルーザーは、山岳雑誌に既にニューモデルの広告が出ている。
これが凄い。
まず、止水ジッパーを採用したという点が目に付く。止水ジッパー自体は別に珍しいアイテムではないのだが、モンベルの主要モデルはずっと撥水ジッパー+ダブルフラップという仕様を通して来たので、"ついに"という感じである。
また、2年ほど前から冬山用アウターであるネージュクルーザーに採用していた、「1本のドローコードでフードの調節をする」システムも導入しているようだ。
通常、フードは長さ、外周、顔周囲をそれぞれ別のドローコードまたは面ファスナーで調節するようになっている。フードの調節については過去の経験上、私はちとうるさいのだが、同じように調節ができるのなら、ドローコードの数は少ない方が良いに決まっている。特に顔周囲を調節するドローコードは終端が邪魔になるか操作しにくくなるかなので、後頭部の1本のドローコードで全てを調節できるのなら、これは実は凄いことだと思う。
新ストームクルーザーのフード調節は、広告の写真を見る限りではフードの長さは従来どおり面ファスナーで調節し、外周と顔周囲を後頭部の1本のドローコードで調節するようだ。
ネージュクルーザーに採用されたときは、ショップで試着してフード周りを操作してみて「けっこういけるじゃん」などと思っていた。他のモデルにも採用すればいいのに、と思っていたら、いきなり代表モデルのストームクルーザーに採用してきたわけである。
止水ジッパー、フード調節システムと、モンベルのウエアの中ではどちらかというと保守的な造りをしていたストームクルーザーにしては"へぇ"と思うような思い切ったモデルチェンジなのだが、マジに驚くのは重量である。ジャケットの平均重量が285gとある。誤植とちがうか??
ちなみに旧ストームクルーザーの重量は375gなので、実に実に90gの軽量化である。それまでのゴアテックス3レイヤーのウエアとしては、トレントフライヤーが340gで最軽量だった。それをさらに50g以上上回る軽量化である。トレントフライヤーも、それまでのゴアテックス3レイヤーのウエアとしては世界的にも最軽量の部類だったので、ちょっと信じがたい数字ではある。
もしこの数字が誤植でないとすると、もうトレントフライヤーの存在意義はないよな。さらに30〜40g軽量化できる必殺技でもあれば別だが。
というか、ほんとにゴアテックス3レイヤーでこの重量が実現できるのか、半信半疑である。カタログ見るか実物を手に取ってみるまで誤植の疑いは消さない・・・
もしほんとにこの重量だったら、約18000円という値段は大バーゲンだね。同じものをあのメーカーやこのメーカーが造れば、平然と5万円くらいの値を付けると思うぞ。
(3.18)
ストームクルーザーの重量が285gというのはWomen'sのものだった。雑誌広告にはしっかりMen'sと書かれていたのだが、それこそ誤植なのだろう。
で、Men'sの重量は310g。それでも軽い。ゴアテックス3レイヤーのウエアとしては世界最軽量なのでは。
どうやら裏地に極薄生地を新開発したらしい。
また驚くのは、この重量はなんとスタッフバッグ込みの数字なんだそうで。スタッフバッグの重量が15gということなので、実質ウエアの重量は300gを切っている。
それでもフードは襟に収納式である。これを省略して普通のフーデッドデザインにすれば、さらに20gくらいは軽量化できると思うが・・・
なんにしても、これほどのレベルの軽量化が施されたモデルでこの値段は大バーゲンである。
今季の他のモデルもwebに出ている。
レインフィールダーは上下スーツでの販売になっている。(ストームクルーザーなどは上下別売)
詳しい仕様は判らないが、ゴアテックスの上下スーツで2万円を切る価格は安い。「耐久性に優れたモデル」と書かれているので、厚手の生地を使ってやや重量増となっているのだろうが、おそらくそれでも他メーカーの平均的な重量あたりだと思う。
ストームハンターはツートンカラーになり、ほんとにレインウエアというより冬山用アウターのような感じになってしまった。値段も冬用アウター並みである。まあ、ノースフェイスのレインテックスと同じような位置づけのモデルということになるのだろう。
トレントフライヤーは従来ゴアテックスの最軽量バージョンという位置付けだったが、ストームクルーザーがこれだけ軽くなってしまったら存在意義がなくなるのでは、と思う。
今季モデルは、まだ画像だけで詳細が判らないのだが、ゴアテックスではなさそうな感じである。
でも、ブリーズドライテック3レイヤーだと、ピークシェルがあるし、あまり行き場がないような気がするのだが。
バーサライトは、意外なことに今季モデルもドライライトテックだった。すなわち、ドライテック2.5レイヤー、とも言える構成である。
ブリーズドライテックの2.5レイヤーなどを造ると面白そうなのだが・・・
ジャケットで270gと確かに軽いが、もうゴアテックス3レイヤーで310gと肉薄されてきているので、それほど圧倒的に軽い、とはもう思えなくなってきているのかも。
レインダンサーとレイントレッカーは、生地も仕様もほとんど同じに見える。防水透湿素材がゴアテックスとブリーズドライテックと異なるだけである。
重量はどちらも360gあたりとほぼ同じで、これでも一般的には十分「軽い」と言えるレベルである。
(3.21)
ようやくカタログが来た。また、ストームクルーザーについてはショップで実物を触ってみる機会があった。
・・・確かにこりゃ〜軽いわ。
裏地に極薄生地を使っているとのことだが、確かに薄い。ほんとにこれで3レイヤーなの?と思うほど薄く軽く感じる。
他メーカーの「超軽量レインウエア」が裸足で逃げ出すくらい軽いのだが、他社だけでなく自社製品まで一気に褪せて見えてしまうほど、このストームクルーザーは軽い。
モンベルのレインウエア製品群をまとめてみると、以下の表のようになる。
モデル名 |
構成 |
単体価格 |
上下価格 |
単体重量 |
上下重量 |
ストームクルーザージャケット |
ゴアテックス3レイヤー |
\17,800 |
\29,900 |
310g |
520g |
ストームクルーザーパンツ |
〃 |
\12,100 |
〃 |
210g |
〃 |
レインダンサージャケット |
ゴアテックス3レイヤー |
\15,000 |
\23,900 |
360g |
605g |
レインダンサーパンツ |
〃 |
\9,900 |
〃 |
245g |
〃 |
レインフィールダー |
ゴアテックス3レイヤー |
− |
\19,800 |
− |
625g |
ストームハンタージャケット |
ゴアテックス3レイヤー |
\22,000 |
\35,800 |
470g |
785g |
ストームハンターパンツ |
〃 |
\13,800 |
〃 |
315g |
〃 |
トレントフライヤージャケット |
ゴアテックスパックライト |
\23,000 |
\37,000 |
310g |
500g |
トレントフライヤーパンツ |
〃 |
\14,000 |
〃 |
190g |
〃 |
バーサライトジャケット |
ドライライトテック |
\12,500 |
\20,400 |
270g |
450g |
バーサライトパンツ |
〃 |
\7,900 |
〃 |
180g |
〃 |
ピークシェルジャケット |
Bドライテック3レイヤー |
\17,800 |
\29,700 |
280g |
485g |
ピークシェルパンツ |
〃 |
\11,900 |
〃 |
205g |
〃 |
レイントレッカージャケット |
Bドライテック3レイヤー |
\10,600 |
\21,100 |
355g |
590g |
レイントレッカーパンツ |
〃 |
\10,500 |
〃 |
235g |
〃 |
この表の価格と重量を眺めると、まずトレントフライヤーの居場所がなくなってしまったことに気づく。
ストームクルーザー上下の520g、\29,900に対して500g、\37,000だもの。おまけに3レイヤーより少々耐久性が落ちるパックライト(2.5レイヤー)だし。ほとんど買う理由が見つからない。
同様にレイントレッカーも微妙である。上下で590g、\21,100。だが、レインフィールダーがゴアテックス3レイヤーで上下625g、\19,800で買えるのである。
ちなみにこの625gという重量だが、去年までのストームクルーザーとほぼ同じである。他メーカーだったら堂々と「超軽量モデル」と銘打ってラインアップする重量である。例えばノースフェイスのレインテックス・フライトと同等である(610g、\33,600)。
ちなみにストームハンター上下だと800g近くになってしまうが、これも他メーカーでも普通にラインアップされている重量である。ノースフェイスだとレインテックスと同等である(780g、\33,600)。
レインダンサーも微妙だな。
605gで\23,900は安い!と思うがレインフィールダー上下だと2万円を切っている。重量もほぼ同等だし。
ザック
アルパインパックとエクスペディションパックがアウトレットに回っている。
いずれもクラシックなスタイルのザックなのでそれほど大きく変わるとは思えないが、もうちょっと軽量化してくれないものか。
こちらはwebサイト上で既にニューモデルが掲載されている。両モデルとも400g以上軽量化されていてかなり頑張っている。アルパインパック50は1.84kgと、既に「軽量ザック」と言っても良い領域の重量になっている。さすがは軽量化ヲタクのモンベルである。
ブーツ
ツオロミーブーツ、アウトドライのアルパインクルーザー2300と2500がモデルチェンジ、ニューモデルとしてワオナブーツが追加。
これは現時点ではあまり詳しいことは判らない。カタログ待ちである。
(3.21)
webでは見落としていたのだが、沢登り用のシューズがモデルチェンジ&モデル追加されている。
モンベルの沢靴は、従来サワークルーザーとサワートレッカーがラインアップされていたが、モデルチェンジしたのはサワートレッカーの方である。
足首に設けられているネオプレン製のスパッツにポケットが付き、結んだ靴ヒモの余りをその中に入れることができるようになった。靴ヒモはよくブッシュに引っかけるので、なかなか気が利いた装備である。
それより追加モデルだが、こちらは興味津々である。
サワークライマーというのだが、何が興味を引くかと言えば、これはラバーソール
なのである。しかもソールはビブラム製である。
ラバーソールの沢靴といえば、長らく(といっても2〜3年だが)ファイブテンのアクアステルスしかなかったのだが、ソールの大御所ビブラムがついに沢用のソールを造った。モンベルとの共同開発ということである。
アクアステルスの、あの粘り着くようなグリップ感を知っている身としては、モンベル+ビブラムがどこまで高い性能のものを開発したのかはまだ判らないが、これは私は買う。
というのも、愛用していたアクアステルスの沢靴(キャラバンの奥利根アクア)が、2シーズン使ってそろそろボロボロになってきているのだ。ソールは張り替え時期だし、縫い目がかなり解れてきているし、ソールを張り替えると1万円以上するし、それなら同じ1万円出すならサワークライマーを買う。
デザインもキャラバンよりは良い。写真を見る限りでは、足首のネオプレンスパッツを除けばちょうど同じモンベルのメドーウォーカー
によく似た感じで、「沢靴」らしくないのが良い。
シュラフ
ダウンモデルがモデルチェンジしている。
昨年の秋冬ウエアからモンベルは800FPのダウンを使うようになったので、今年のダウンシュラフにもそれを採用するのだろうと思っていたらそのとおりだった。
重量だが、今年から少なくともweb上では、シュラフの重量表記が「スタッフバッグ込み」となっているため、単純には旧モデルと比較できない。
例えば旧ULスーパーストレッチの#4が600gで、新ULスーパーストレッチ#4はスタッフバッグ込みで620gとなっている。収納サイズは新旧共に13.4×26.5なので、重量もほぼ同等なのだろう。それならば、安くなった旧モデルの方がお買い得か、と思ったら、そう思った人が多かったのか既に大半のモデルが売り切れとなっていた。
ただ、ショップにはまだ残っているはずなので、旧モデルを探して買うのも良いかもしれない。