mont-bell 2008〜2009 Fall & Winter
<アウター>
昨年の秋冬で主力の大半がモデルチェンジしたモンベルだが、今季はダイナアクションジャケット&パンツがモデルチェンジした。
この新ダイナアクション、かなりモンベルらしくて興味をそそられるモデルである。
何より軽い。420gという軽さである。私は先々代にあたる2001型のダイナアクションジャケットを持っていて非常に気に入って使っているのは別に書いたとおりで、その後継モデルにあたる先代ダイナアクションジャケットに魅力を感じないというのも書いたとおりである。
それに対し、今度のダイナアクションは久々に欲しいと思わせるモンベルのアウターである。
先々代ダイナアクションジャケットがポケットも小さく、ピットジップやダブルスライダージッパー、ウインドスカートなど冬山用アウターとして比較的「必須」とされる装備を削りまくって470gという重量を実現していたのに対し、新モデルはそれら全てをクリアして420gと軽量化したのは立派だ。あとは内ポケットがあれば完璧だったのだが・・・
何にしても、裏起毛地でもないプレーンな3レイヤーだし、レインウエアとしても使えてオールシーズン使い倒せそうなアウターである。
というわけで、モンベルの現行アウターのラインアップは下表のようになる。
モデル名 |
品番 |
構成 |
表地 |
裏地 |
保温材 |
伸縮性 |
重量 |
価格 |
ダイナアクションジャケット |
M's 1102383 |
ゴアテックス3レイヤー |
30D |
− |
− |
○ |
420g |
Men's \38,800 |
ネージュクルーザージャケット |
1102347 |
B.ドライテック3レイヤー |
12D |
− |
− |
○ |
385g |
\22,800 |
アルパインサーマシェルジャケット |
M's 1102363 |
ゴアテックス3レイヤー |
40D |
起毛 |
− |
○ |
520g |
Men's \35,000 |
ディナリジャケット |
1102374 |
ゴアテックス3レイヤー |
40D |
起毛 |
− |
○ |
660g |
\37,800 |
ドリューパーカ |
M's 1102370 |
ゴアテックス2レイヤー |
50D |
メッシュ |
− |
○ |
680g |
Men's \36,300 |
ドロワットパーカ |
M's 1102367 |
ゴアテックス2レイヤー |
50D |
メッシュ |
シンサレート |
○ |
800g |
Men's \36,800 |
ミディパーカ |
M's 1102339 |
ゴアテックス2レイヤー |
75D |
メッシュ |
シンサレート |
× |
775g |
Men's \26,800 |
シャルモパーカ |
M's 1102375 |
SHDBR 2レイヤー |
40D |
メッシュ |
シンサレート |
○ |
650g |
Men's \18,800 |
ストームジャケット |
M's 1102377 |
SHDBR 2レイヤー |
40D |
メッシュ |
シンサレート |
○ |
530g |
Men's \17,800 |
ま、よくぞこれだけ、というほどのラインアップだが、それなりにそれぞれのモデルの棲み分けができているのはさすがである。
そういやフレネイパーカがカタログから消えたな。ま、シンプルな裏起毛3レイヤーのジャケットだったので、アルパインサーマシェルやディナリなどと被ってしまうので仕方ないのだろうが。
あと、このラインアップに足りないモデルは、廉価版の3レイヤーモデルだろうか。スーパーハイドロブリーズを使った廉価版モデルはシャルモとストームの2モデルが用意されているのだが、どちらもシンサレート入りなのである。このクラスでもシンプルな3レイヤーモデルの需要はあると思うのだが。
ちなみにこの2モデル、シャルモは「雪山入門用」、ストームは「スキーやスノーボード用」ということなのだが、さすがに性格分けは明確ではない。どちらか1つ消えても支障ないかな。
それと、そろそろブリーズドライテック3レイヤーの本格モデルが欲しいのだが。ネージュクルーザーのような「軽量化命」のようなモデルではなく、30Dくらいのそこそこのナイロン地の3レイヤーで、肩や肘はもちろんストレッチャブル仕様にしてポケットも左右腰と胸ポケット1つ、内ポケットもメッシュのジッパーなしでいいから1つ欲しい。腰ポケットはベンチレーションのためにメッシュにして、ピットジッパーは胴部は短くて良いけど(メッシュポケットがあるから)腕は少し長めに(肘の先くらいまで)。
これで400gくらいに抑えて2万円台後半くらいの値段設定にすれば、本格的な冬山用途としてもちゃんと売れると思うんだが。
あ、そうか。それでそのモデルをフレネイパーカという名前にすれば良いんだ。
オーバーズボンの方は、せっかく数年前にラインアップを整理してジャケットのモデル名とは別にしたのに、それから新しく出てきたアルパインサーマシェルとかダイナアクションのパンツも出してしまって、また賑やかなラインアップになってきている。
ま、今のところはアルパインサーマシェルパンツは裏起毛地、ダイナアクションパンツは軽量モデルと棲み分けはできているのだが。ちなみにダイナアクションパンツは同じゴアテックス3レイヤーのアルパインパンツが655gなのに対し、360gと圧倒的に軽い。
・・・まあ、オーバーズボンなんて1日中履きっぱなしなのが普通だから、ここまで軽いことが生きてくる場面はそう多くはないだろうけど。
<インシュレーションウエア>
モンベルが軽量化命なメーカーなのは今に始まったことではなく、ダウンジャケットのジャンルでも昔から他メーカーが追従できない領域の軽量ジャケットを作っている。
ま、「追従しない」のかもしれないけれど。他メーカーはそこまで意地になって軽量化しようとはしていないだけなのかもしれないが、いわゆる「インナー用途の超軽量ダウンジャケット」というジャンルはだいたい300g台前半くらいのモデルが多い。例外的にイスカのエアライトダウンセーターが250gだが、パタゴニアのダウンセーター(354g)、ノースフェイスのアコンカグアジャケットが290gと、だいたいこのあたりである。
そこにモンベルはULダウンインナージャケットという僅か200gのモデルを造っていたりする。
パタゴニアのダウンセーターやノースフェイスのアコンカグアジャケット等は、イスカやモンベルのモデルほどインナー用途に徹していなくて、かなりアウター寄りに振った造りになっていて、実際街着でアウターとして着られることが多い。そこにいくとイスカやモンベルのモデルはデザインも素っ気なく、いかにもインナーに徹した造りなのだが、山で道具として着るにはむしろ好ましい。ULダウンインナージャケットなんて、前のモデルまではポケットすらなかったのであるが、それで別に不便も感じなかったし。
またモンベルのULシリーズで使用されているバリスティック・エアライトというモンベル独自開発のナイロン生地は、あまりにペラペラと薄っぺらい感じが独特の素材感があってけっこう好きだったりする。ま、街着として着れるかどうかは度胸の問題だが。
そんな具合で、200gのULダウンインナーですら、他メーカーが追従できない(あるいは敢えてしない)領域だったのに、今季はさらに大幅に軽量化したモデルが出てしまったのである。どこまでやるんだ。
それがEXライトダウンジャケット(M's
1101344 , W's
1101345)である。重量、なんとたったの150gである。これは驚く。なんせ普通の半袖Tシャツの重量と同等だもの。生地は7デニールである。紙より薄いぞ。
白を出しているということは、街着も意識しているのだろうか。山で使うのだったら誰も白は選ばないだろうから・・・
ULシリーズもフルジップモデルとかパーカなどを追加モデルとして出しているので、この超軽量シリーズだけでカタログで4ページを占めるほどのラインアップになっているのである。
というわけで、表にまとめてみる。
モデル名 |
品番 |
生地 |
ダウン |
前立て |
重量 |
価格 |
EXライトダウンジャケット |
M's 1101344 |
7D |
900FP |
ジッパー |
150g |
M's \18,800 |
ULダウンジップジャケット |
M's 1101340 |
15D |
800FP |
ジッパー |
220g |
M's \15,800 |
ULダウンインナージャケット |
M's 1101283 |
15D |
800FP |
スナップボタン |
200g |
M's \12,800 |
ULダウンインナーパーカ |
M's 1101317 |
15D |
800FP |
ジッパー |
220g |
M's \14,800 |
ULダウンインナーベスト |
M's 1101285 |
15D |
800FP |
スナップボタン |
140g |
M's \9,800 |
ULダウンインナーパンツ |
M's 1101319 |
15D |
800FP |
なし |
190g |
M's \12,800 |
ULダウンインナーハーフスリーブジャケット |
1101288 |
15D |
800FP |
スナップボタン |
170g |
\11,300 |
ULダウンインナースナップベスト |
1101287 |
15D |
800FP |
なし |
120g |
\8,900 |
ULダウンインナーニーロングパンツ |
1101321 |
15D |
800FP |
なし |
170g |
\10,800 |
ジャケット、パーカ、半袖、パンツ、短パンと、ひととおりのバリエーションを揃えているわけで、そのどれもが他メーカーと比較するとぶっちぎりの軽さである。中でもEXライトダウンジャケットの軽さはほとんど異次元である。ちょっと欲しい。もちろん300g台の他メーカーモデルと比較すると保温力は多少落としているのだろうが、保温力というのは性能ではなく仕様なので、別にこれはこれで良いのである。重量が半分だからといって保温力も半分と言うことはなさそうだし。
EXライトはちょっと欲しい。
化繊中綿モデルはほぼ昨年と変わりないのだが、1つだけストレッチサーマラップジャケット(M's 1101350 , W's 1101351)というモデルが追加されている。ストレッチするシンサレートを中綿に使用したモデルで、実物を見ないと何とも言えないが十分薄手であれば面白いかも。重量が300gと平凡(この重量で平凡ということがそもそもズレてきているのだが)なのがちょっと惜しいが。
<ソフトシェル>
ソフトシェルはほぼ去年のままでモデルチェンジはない。
ウインドストッパー・コスミックジャケットというモデルが追加されているが、あまり興味がない。
そもそも、どうもウインドストッパーの存在意義がよく判らないのだが・・・
防風性の確保ならナイロンのライニングを入れれば良いわけだし、わざわざゴアテックス社に高い金払ってこんな中途半端な素材を使う意味が正直判らない。つき合いなのかな〜。
<フリース>
膨大なラインアップを誇るモンベルのフリースだが、クリマエアモデルだけ書いてみる。
クリマエアは、毛足の長い繊維を粗めに編んだ生地で、パタゴニアのR2に近い構成のフリースである。
ただ、従来のクリマエアジャケットはかなり保温力が高い設定で、R2というよりはどちらかというとマウンテンハードウエアのモンキーマンなどに近い性格のモデルかと思っていたのだが、今季はライトモデルが追加された。
モデル名 |
品番 |
ライニング |
重量 |
価格 |
クリマエアライトライニングジャケット |
M's 1106417 |
○ |
450g |
M's \17,300 |
クリマエアライトジャケット |
M's 1106415 |
× |
360g |
M's \13,000 |
クリマエアジャケット |
M's 1106386 |
× |
375g |
M's \13,000 |
ちなみにパタゴニアのR2ジャケットは425gである。まあサイズが違うので基本的に重量はほぼ同等と考えて良いのだろうが、ライトとノーマルモデルの違いがよく判らない。たった15gの違いで保温性などの性能に明確な違いが出るものなのだろうか・・・?
デザイン的にはクリマエアライトライニングジャケットが断然好みなのだが、ライニング付けちゃったら「保温力が高い割には蒸れない」というこの手のウエアの最大の美点が台無しなのだが・・・
それにこの値段だったら迷わずR2を買う。
ま、実物を手に取る機会があれば、また受け取り方も変わってくるかも知れないが。