mont-bell 2009 Spring & Summer and Gear

モンベルのHP

 

今年も春夏物のカタログが届く季節になってしまった。ろくに雪も降っていないのにもう春なのか・・・

 

<レインウエア>

 これだけのラインアップを誇るモンベルのレインウエアだというのに、今季は珍しいことに1つもモデルチェンジしていないのである。街用のレインコートなどで新モデルがあったりはするのだが、山岳用のラインアップは1つもモデルチェンジしていない。珍しい・・・

 これだけなら書くこともなかったわけだが、1つだけ興味を惹かれるモデルが。
 自転車用のレインウエアなのだがスーパーストレッチ・サイクルレインジャケット&パンツというモデルが追加されている。スーパーハイドロブリーズをポリエステルニットと組み合わせて伸縮性を持たせたものらしい。150%もの伸び率を持つ生地を全面的に使っているので、これはかなり「伸び〜る」レインウエアたぞ。
 こんなのを作っておきながら、登山用より先に自転車用として投入するとは。
 でも、上下で600g少しで軽くはないが特に重いわけでもないので、山用に使えるかも。特にパンツは、裾をマジックテープで絞っておくことができるので、登山用としても使いやすいかもしれない。

 それにしても、だんだん自転車用のウエアのページ数が増えている気がするのだが。去年の春夏カタログでは9ページだったのが、今年は12ページだし。

 

<ソフトシェル>

 これも山岳用は全モデル、キャリーオーバーである。

 なのでここでも自転車用の話になるのだが、以前から登山用と同素材の自転車用のシェルをけっこう出しているのだ。自転車用にするからには、前傾姿勢になった時に背面の裾が上がって腰が露出しないようにロングテールにするとか、背面にベンチレーターを付けたりとかで、登山用より凝った造りをするだけ値段が高くなるのは判るのだが、ライトシェル・サイクルジャケットに至っては、ベースモデルのライトシェルジャケットのほとんど倍の値段である。背面は全面ストレッチ素材にしたり、凝った造りなんだけどね・・・

 

<ウエアその他>

 去年からモンベルはスイミング用品にも手を広げだした。
 その時からいつかやるぞとは思っていたのだが、2年目の今年になってさっそくやってきた。何をってカタログ写真にサーフィンの写真を使うことである。ま、ボードショーツっぽいモデルも出してきてるしね。
 でも、以前からカタログ写真にヨガをしている女性の写真を使ったり、妙にパタゴニアのカタログと共通点が多いのである。ついにサーフィンもか・・・
 でも、カタログの説明文はまだまだマジメである。パタゴニアはかなり飛んでいるけど。

 ちなみにモンベルは数年前から、ブリーズドライテックのおむつカバーまで作って売っているのである。カタログから消えないところを見ると、そこそこ売れているのだろうか。

 と言う目でカタログを探すと、いろいろヘンなモノを造っている。
 モンベルはタケロハという竹繊維を使ったアロハシャツを出しているのだが(アロハシャツをラインアップに持つアウトドアウエアメーカー、というのもパタゴニアと共通)、その生地を使って扇子を作っている。屋外で着替える時などに使えるマントも作っている。

 ま、そもそも極地で動物写真を撮るために特別仕様にしたダウンスーツをずっとカタログに載せているメーカーだから。
 特別仕様とは、雪や氷の上で動物に気づかれないよう、全身白の保護色にしたり、前立てのフラップは普通ベルクロなのだが、それだとべりべりと音がして動物に気づかれるため、トグル留めにしていたりする。「頭物写真家の岩合光昭氏のアイデアを生かした」って、こんな極地での動物撮影に特化したモデル、岩合氏以外にユーザーがいるとはとても思えない。面白いからいいんだけど、商売の方は大丈夫なのだろうか。

 

<テント>

 テントも今季はニューモデルなしである。
 ちなみにムーンライトテントは、今年で発売されて30周年なんだそうだ。だからといって30周年記念モデルみたいなモノが出ているわけではなく、いつもと同じで淡々と売っているだけなのだが。ま、その30年の間に2〜3回しかモデルチェンジされていないし、それも形はほとんど変わっていないという長寿モデルである。私も一時期1型を持っていたが、良いテントだった。
 ステラリッジなどのクロスポールのドーム型テントは、「山の夜を安全に過ごすための道具」に徹しているので、その意味では素晴らしく良いテントなのだが、別に中に居たところで特別な感慨はないわけだ。それに対してムーンライトは、テント内で過ごすこと自体が楽しくなるようなムードを持ったテントではあったな。とにかく風通しが段違いに良いテントなので、中で過ごすことが快適、というのが大きいのだろうな。
 今でもオートバイや自転車でツーリングするのなら、絶対ムーンライトが欲しい、と思う。

 テントではなくシェルターだが、ULドームシェルターというのが追加された。こういうのはアライなどからも出ていたが。
 一見、クロスポールのドーム型テントのような形をしているのだが、シングルウォールで本体にも完全な防水性はない、というモノである。ちなみに通気性もないので換気には神経を遣わないと危険だったりする。その替わり、1人用で800g弱と圧倒的に軽いわけだが。

 このULドームシェルターが出た替わりなのか、従来のモノポールシェルターなどがカタログから姿を消した。

 菅を消したと言えば、ブリーズドライテックを使用したシングルウォールテントのマイティドームシリーズがカタログから消えたのだが、どういうことなのだろう。そのうち買おうかと思っていたのに・・・

 

<ザック>

 今季はシングルフレームを使用した中型ザックが2つ、モデルチェンジしている。他に追加モデルがいくつか。消えたモデルももちろんいくつかある。これだけラインアップが多いと、モデルチェンジや追加、廃止モデルを把握するのも大変である。

 モデルチェンジしたのはチャチャパックグラナイトパックである。どちらもモンベルの最量販モデルだろう。他にヌプリパックというモデルが追加されている。前にもこんな名前のモデルがあったとは思うのだが、去年のカタログにはなかったので一時的に消えていたのだろう。

 これらの30-45Lクラスの中型ザックだが、トップリッドの形状などに細かい改良が加えられた以外は特に変化はないようである。モデル構成も性格も同じだし。背面の形状は通気性が良いバックパネルになっていたりして、まあ言うならば「流行り」がきっちり取り入れられている、といったところか。
 流行りと言えば最近は、ヒップベルトに小物入れを装備するのが流行っているのだが、何故かモンベルではほとんどない。デイパックのいくつかにヒップベルトポケットがあるのと、マチカチパックなど数モデルに取って付けたようなポーチがヒップベルトに取り付けられているだけである。
 どうしてだろうね。けっこうあると便利な装備なんだけどね。

 その替わりというつもりなのかどうかは知らないが、今年出た中型ザックのチャチャグラナイト、それからヌプリには、ショルダーハーネスにポケットが付けられている。携帯や小型のデジカメくらいなら入りそうな大きさなのだが、これは確かにちょっと便利そう。

 

<シュラフ>

 今季のモンベルの目玉はこれだろう。スパイラルストレッチという新しいシステムを採用したシリーズを出してきた。従来のULアルパインシリーズが消えているので、その代替という立ち位置なのだろう。つまり「最軽量」シリーズというわけである。

 確かに軽い。
 ULスーパーストレッチダウンハガーの#4が620gなのに対し、ULスパイラルダウンハガーの同じく#4はなんと480gである。これは軽い。最もダウン量が多い#0でも、ULスーパーストレッチモデルとは100gの差がある。

 これは従来からあるスーパーストレッチシステムが、ステッチにゴムを使うことによって伸縮性を実現していたのに対し、スパイラルシステムは生地自体に伸縮性を持たせている点が異なる。生地自体の伸縮性といっても、たかだか120%程度の伸縮率の生地なので、それだけだとたいして伸びないのだが、その生地を斜めに配置することで伸び幅を最大限に確保する、ということらしい。頭いい〜。

 ま、従来のスーパーストレッチシステムは、「伸びること」より実は「普段は縮んでいること」の方が重要なのである。つまり適度にタイトにフィットすることによって高い保温性を確保し、それによって生じるはずの窮屈感を伸びることによって解消している
 このあたりがスパイラルシステムではどのような設定になっているのか、である。おそらくスーパーストレッチシステムほどのフィット感はないだろうとは思うのだが、トータルとしての使用感はそれこそ使ってみないと判らないなぁ。

 なんにしろ、この軽さは魅力的である。ちょっと欲しいぞ。

 

<その他 ヘンなモノ>

 ヘンなモノといえば、ドギーシリーズすなわち犬用品はヘンなモノの宝庫だ。

 まず、ドギードームという、なんと犬用のテントがある。ちゃんとフライもあって、形だけだとまったくまっとうな普通のテントなのだが、サイズが小さい。65(W)×90(D)×67(H)というサイズは、子供用のオモチャテントのような大きさである。初めてショップで見た時、何かのジョークアイテムかと思ったくらいである。ムーンライトのミニチュアモデルなどはよくショップに展示してあるし。

 これ・・・キャンプに行った時に犬だけ外に寝かせるのは可哀想だから、犬用のテントでもあれば・・・と誰かが言ったんだろうな。一応、メッシュなどは細かい目にして爪が引っかかりにくいように、という程度の「犬用の設計」はしているらしい。

 他にも、犬用のレインウエアくらいなら別に驚かないのだが、犬用のフロートベストがあるのはちょっと笑う。それから小型犬を持ち運ぶためのバッグもあったりする。これは肩に担いだりショルダーバッグのようにしたり、身体の前に下げたりといろいろな使い方ができるので、ベビーキャリア替わりにも使えるのではないか?

 

 

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