mont-bell 2010 Spring & Summer and Gear

モンベルのHP

アウトドア&フィッシング ナチュラム

 1月末頃に発覚したモンベルのサイトの不正アクセス事件の影響で、未だにwebでのオンラインオーダーができない状況になっている。まあメールやFAXが使えるので注文の方はちょっと面倒なだけで支障はないのだが、支払いが代引きだけというのは不便である。早く復旧して欲しいものである。

<シュラフ>

 去年、ULスパイラルダウンハガーというシリーズが出てきたのだが、今年はこのスパイラルを軸にシリーズをフルモデルチェンジしてしまった。全モデルスパイラルである。

 従来は、ダウンでULスーパーストレッチ、スーパーストレッチ、アルパインという3つのシリーズがあったわけだが、今季モデルは全シリーズが"スパイラル"なので、少し紛らわしくなった。
 整理すると下の表のような感じである。

シリーズ名 中綿 ストレッチ 生地 ジッパー 重量(#3) 価格(#3)

ULスーパースパイラルダウンハガー

800FPダウン

スーパースパイラル

12D

LRロング

620g

\25,500

ULスパイラルダウンハガー

800FPダウン

スパイラル

12D

ショート

570g

\25,000

スーパースパイラルダウンハガー

650FPダウン

スーパースパイラル

40D

LRロング

880g

\18,200

スパイラルダウンハガー

650FPダウン

スパイラル

40D

ショート

840g

\16,200

スーパースパイラルバロウバッグ

エクセロフト

スーパースパイラル

40D

LRロング

1120g

\12,800

スパイラルバロウバッグ

エクセロフト

スパイラル

40D

ショート

1040g

\11,800

 

 ストレッチシステムのスパイラルというのは、生地を斜めに配置することで生地の伸縮性を最大限生かす構造である。去年先行して出たのがULスーパースパイラルシリーズであった。
 スーパースパイラルというのは、さらにステッチをゴム糸にすることでさらに伸縮性を持たせたもので、まあ要するに去年までのスーパーストレッチと基本的に同じである。生地はスパイラルすなわち斜めに配置されているので、さらに伸縮性が向上するということらしい。
 単なるスパイラルのシリーズは、去年までのアルパインの後継という位置付けのようである。なのでジッパーが左右選べないショートタイプだったりして、少しだけ実用性を犠牲にした仕様になっている。
 ま、ジョイントができないというのは別に痛くも何ともない。うちにあるのもジョイント可能なモデルだが、したことないし。
 ただ、フルレングスのジッパーかショートか、というのは選択する時に考える必要はあると思う。ショートでも良い、とは思うが、フルレングスのジッパーを開放して掛け布団のように使う時もあるからなぁ。暑い時はこれが快適。

 それと今回のモデルチェンジ時に、番手が整理された。
 従来はEXPから始まって#0、#1、#2、#3、#4、#5、#7の7つの番手があったのだが、#0、#1、#3、#5、#7の5番手に整理された。つまり#2と#4がなくなったわけである。EXPは ULスーパースパイラルダウンハガーのみに設定されている。また#7はスパイラルシリーズのみの設定である。
 また、従来はショート、ノーマル、ロングと身長に合わせた3サイズのモデルが展開されていたのだが、これも整理されてノーマルのみになった。伸縮性が高いのでショートモデルは不要、というわけである。ただし適応身長は183cmまでなので、ロングモデルがなくなったのは、一部の人にとっては痛いかも。

 いずれにしろ、従来のスーパーストレッチシリーズを持っている人(私もUL.SSダウンの#4を持っているが)がわざわざ買い換えたいと思うほど劇的な性能向上があるわけではないが(それでも従来の#4と現行の#3が同等の重量というのはかなりの軽量化)、魅力的な製品だとは思う。

 ところでマットだが、ULコンフォートシステムパッドもモデルチェンジされているのである。どこがどう変わったのか説明もほとんどないし写真等でも判別できないのだが、なぜか重量がかなり増えている。なんなんだろう?

<テント>

 一時シングルウォールテントがラインアップから落ちていたモンベルだが、マイティドームが復活した。
 ただし、以前のマイティドームはモンベル独自素材のブリーズドライテックを使用したモデルだったのだが、今回のマイティドームはX-TREKなる新素材を使用している。これ、どうもゴアテックス社の素材らしい。X-TREKはゴアテックス社の登録商標らしいし、他メーカーからも同素材を使用したテントはぼちぼち出ているので。
 でも、あまり詳しいスペック(耐水圧や透湿性能等)が公表されていないので、そもそもゴアテックスと違うのかどうかといったことも含めてよく判らない。ブリーズドライテックをゴアテックス社に売ったんじゃないだろうな・・・?

 にしても、このマイティドーム、X-TREKを使ったというだけではなく、インナーポール方式を採用するなど、ちょっと意欲的な設計のモデルである。
 インナーポールだと、テント外寸と比較して内寸がほとんど小さくならないので、この手の超コンパクトテントで比較すると一般的なアウターポール方式のテントより居住性は良くなるだろうな。
 でも、設営はアウターポール方式よりは良くなさそうなのだが。試してみないと判らないが。
 それと外張りを追加することが不可能になってしまうので、このモデルは厳冬期高山帯での使用は不可、ということに。内張をオプションで追加すれば良いのだが、居住空間的には無茶っぽいし。
 まあ元々、この手のシングルウォールテントが最も活きるのは晩秋や春先といった「フライか外張りかで悩む時」なので、これはこれで良いと思うが。

 超軽量の1人用テントはとても欲しいので、マイティドームの1型は買いたいのだが・・・高けぇ
 1型で5万5千円かぁ・・・前のマイティドームを買っておけば良かった・・・

<ザック>

 ザックはキトラパックというニューモデルが追加されている。
 2気室、ストックカバーやペットボトルホルダー、ザックカバーが付属するという、マチカチパックの野郎版という感じのモデルである。
 個人的にはまったく食指が動かないモデルだが、こういうのは最近ウケているようである。

<レインウエア>

 レインウエアは去年ほとんどモデルチェンジしなかったわけだが、今年は逆に主力級が揃ってモデルチェンジした。

 ストームクルーザーレインダンサーレイントレッカーがモデルチェンジ、サンダーパスがニューモデルである。ピークシェルはなくなってしまった。

 ストールクルーザーはさらに軽量化され、ついにジャケットで300gを切ってしまった。ゴアテックス3レイヤーのジャケットとしては世界最軽量では。上下で510gである。それも上下で3万円を切るという大バーゲン価格だったりする。この性能でこの価格だと、他のモデルは要らないし、他のメーカーも存在意義がない・・・とすら思うぞ。

 でも一応他のモデルの話もすると、レインダンサーが上下で590gという、まずまずリーズナブルな重量で2万4千円を切っている。これも安いというかなんというか・・・
 レインフィールダーが上下セット販売で625g、21,800円なのだが、このモデルの存在意義がよく判らなくなってしまった。
 もっと浮いてしまったのがトレントフライヤーで、上下で55,000円もするのに重量は555gでストールクルーザーより重い。3レイヤーとパックライトのハイブリッド構造というのは、爪に火を灯すように耐久性と軽量性のバランスを取るための苦肉の策であり、ストームクルーザーが素直な3レイヤーでさらに軽量化を達成してしまっている以上、もう必要ないモデルだろう。ハイブリッド構造なんてちょっと前に某メーカーが好んでやっていた手法で、はったりじみていてあまり好きでもないし。
 その他にもこのモデル、モンベルのレインウエアとしては初めてストレッチ性を持たせたり、縫製方法に凝った技術を導入したりと、いろいろ新技術を試してはいるのである。さっさとストームクルーザーあたりの主力級にこれらの技術を移行して、トレントフライヤーは役割を終えるのが吉かと。

 ブリーズドライテックを使用したモデルはピークシェルがなくなったので、モデルチェンジしたレイントレッカーのみとなった。
 レイントレッカーはオーソドックスなんだけど、スペックはちょっと平凡である。上下で重量600g、価格は1万7千円を切るくらい。従来はもう少し価格が高くてレインフィールダーあたりと被ってしまっていたので価格帯を下げてきたのだろうけど、その替わりスペックはちょっと平凡になってしまった。

 サンダーパスというニューモデルが追加されている。
 スーパーハイドロブリーズ3レイヤーという構成で、スーパーハイドロブリーズレインウエアとあまり棲み分けができているようには思えないのだが、こちらはツートンカラーで少しだけデザインにも拘ってみたモデル、という感じである。ただ、価格帯もかなり近く、あまり差別化ができているようには見えない。

 現行のモンベルのレインウエアをまとめるとこんな感じである。重量や価格はメンズの数字である。

モデル名

構成

上下

生地

上重量

下重量

上下重量

上価格

下価格

上下価格

ストームクルーザー

ゴアテックス3レイヤー

別売

30D

295g

215g

510g

\18,000

\11,800

\29,800

トレントフライヤー

ゴアテックス

別売

30D

335g

220g

555g

\34,000

\21,000

\55,000

レインダンサー

ゴアテックス3レイヤー

別売

50D

345g

245g

590g

\13,900

\9,900

\23,800

レインフィールダー

ゴアテックス3レイヤー

セット

70D

 

 

625g

 

 

\21,800

メドーパーカ

ゴアテックス3レイヤー

別売

80D

520g

370g

890g

\28,800

\19,800

\48,600

ストームハンター

ゴアテックス3レイヤー

別売

70D

470g

315g

785g

\23,500

\13,800

\37,300

レイントレッカー

Bドライテック3レイヤー

別売

40D

340g

260g

600g

\10,000

\6,800

\16,800

パーサライト

ドライライトテック

別売

30D

270g

180g

450g

\13,800

\8,800

\22,600

サンダーパス

SHDBR 3レイヤー

別売

70D

380g

270g

650g

\7,100

\4,700

\11,800

スーパーハイドロブリーズレインウエア

SHDBR 3レイヤー

セット

70D

 

 

590g

 

 

\9,900

 

 こうしてみると、浮いてしまったモデルもたくさんあるなぁ。レインフィールダーはやめてレインダンサーを上下セットにして売った方が良いのではないか、とか思ってしまう。
 また、サンダーパスは止水ジッパーを採用するなどして15,000円前後くらいの価格設定にした方が良かったのでは、とも思う。
 なんにしても、モデル数が多すぎるよな。ピークシェルとかバーサライトアノラックといった異彩を放つモデルがなくなっている上でこのモデル数だからよけいそういう印象が強い。

 ちなみに、何気なくだがアクアテクトリストバンドという商品がラインアップされた。ネオプレンのリストバンドである。レインウエアの袖の上かに被せるようにして使うと、袖口からの浸水をほぼ完全にシャットアウトできそうである。
 どんなに高性能なレインウエアでも袖口を伝う浸水は防御できないし、一部の高価格モデルを除いて袖口の縫い目はシーム処理もできないので保水しやすく、袖周りはけっこう厄介である。なのでこういうリストバンドはかなり効果がありそうだ。

<ベースレイヤー>

 モンベルのベースレイヤー用途の素材はウィックロンとジオラインの2種類があるが、今回はウィックロンが変更された。
 従来のウィックロンは、吸水拡散性能は非常に高かったのだが、汗をかいた際の臭いが問題視されていた。臭いはこの手の化繊機能性素材の宿命みたいなものなのだが、最近は各メーカー、工夫を凝らして防臭性能を追求している。モンベルでもジオラインの方は防臭性能を謳っていて、私も持っているが確かに臭いはあまり感じない。ウィックロンも何着も持っているが、汗をかくと独特の臭気を放つ。

 で、今回はウィックロンを改良する際、防臭性能も付加してきた。まあどれほどのものか、試してみずばなるまい。どのみち毎年何着か買っているわけだし。

<ウインド・シェル&ソフトシェル>

 要はウインドブレーカーであり、他メーカーだったらソフトシェルに分類しているようなウエアだが、モンベルはソフトシェルは中間着の機能を持たせたウエアという定義付けがされているようで、いわゆる「ウインドブレーカー」は独立してカテゴライズされている。

 軽量化ヲタクのモンベルだが、従来は超軽量シリーズはUL(ウルトラライト)という接頭語が付いていたのだが、それより軽いモノが出てきたのでEXライト(エクストラライト)という呼称を使うようになってきた。第一弾は一昨年に出たEXライトダウンジャケットだった。

 ウインドブレーカーではULウインドジャケットというのがあったわけだが、今回EXライトウインドジャケットというのが出てきた。ジャケットで65gである。紙だな、ほとんど。
 で、ULウインドジャケットは、最近モンベルの得意技になっているバイアスストレッチ生地を使ってストレッチ性を持たせてきた。ULストレッチウインドジャケットがそれである。従来モデルよりちょっと重くなったが、それでも97gと100gを切っている。ちなみにEXは7デニール、ULの方は12デニールという極薄生地を使っている。

 この7デニールの生地を使ってドライライトテックかスーパーハイドロブリーズの2レイヤーあたりで防水透湿性を持たせた超軽量レインウエアを自転車用に作ってくれないかなぁ。ジャケットで200gを切るくらいの重量でポケッタブルにしてカラビナループを付け、使用しない時はパンツのベルトループあたりにぶら下げておけるような感じで。
 ちょっと前にパタゴニアがスペクターというレインウエアを作っていたが、あれがそんな感じのウエアだった。パタゴニアが作るとやたら高くなるので、モンベルで1万円ちょいくらいで作ってくれるととても嬉しいのだが。

 ソフトシェルではクラッグジャケットがモデルチェンジされている。使っている素材はクリマプロ100と表記は変わらないが、パターンはずいぶん変わっているしデザインも胸ポケットを強調した前モデルはずいぶん雰囲気が違う。プレーンな感じで使いやすそうなシェルである。

 ウエア全面に反射材を配置して夜間の他者からの視認性を劇的に高めたリフレックウインドシェルというモデルがある。それが今季モデルチェンジしてずいぶん安くなった。反射材のドットが高価な原因だったのだが、ドット数をかなり減らしたらしい。登山用としてはあまり必要性が見いだせないウエアなのだが、自転車用には絶大な威力を誇るのではなかろうか。
 前から欲しいな〜と思っていたのだが、自転車用のリフレックウインドバイカーも大幅に安くなったので買っちゃおうかなと思っていたりする。
 これのレインウエアも見てみたいが・・・

 

 

 

 

 

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