キャラバン 2012
ロストアロー Spring 2012
ファイントラック 2012 Spring
& Summer
<キャラバン 2012>
キャラバンの今年のカタログの表紙は、燕岳の写真に大きく「山へ行こう。」という文字が入っている。なかなか良い表紙。
デザイナーを代えたのかな?なんか今年のモデルは格好いいぞ。これまでのキャラバンは「モノは良いけどデザインはださださ」というイメージだったのに、新しいGK-78とかGK-79はおっ?と思う格好良さである。GK-72のヌメッとした感じも個人的には好き。色遣いが良くなったからなのかな。
まあ、アイゼン対応靴をラインアップしないメーカーなので、たぶん自分で買うことはないのだろうけど、GK-72あたりだったら街でも履けそうだし、けっこう何かの拍子に間違って買ってしまいそうなデザインにはなってきてるかな。
ショップの店員さんとも話していたのだが、最近の若い人は「幅広甲高」ではない人も増えているそうだ。うちの息子の足も妙に幅狭いし。
某国産登山靴メーカーの営業さんなどは「こんなに短期間で日本人の足形なんて変わりますかね〜?」と半信半疑らしいのだが、身長や足の長さなんて数十年であっという間に変わっちゃったじゃないか。そもそも日本人の足が甲高幅広なんて言われていたのは、「下駄を履いていたから」という後天的な要因も多かったのではないか?
キャラバンはさすがにそのあたりは判っているらしく、スリムなラストを使ったモデルも多数投入してきている。某国産メーカーも、よく調べて考えないと「中高年専用メーカー」になっちゃうぞ。
話は変わるが、キャラバンは今年、あのキャラバンシューズの復刻モデルを出してきた。C0-01とC0-02がそれである。
・・・う〜ん、これ見て「おおっ、懐かしい」って思う人って、今どれくらい生き残ってるんだろ?私の年代以上、だよな。私も初めての靴はキャラバンシューズだったが・・・
でも、この復刻モデルは、1958年の最初期モデルのデザインを復刻したらしく、私が見ても「おおっ、懐かしい!」という雰囲気じゃないんである。私の年代に懐かしいと思わせるためには、最低限、青をラインアップしないとダメであろう。
いや、それにしてもキャラバンシューズにあまり良い思い出がないのだが?水はすぐ漏るしクッションがないので足がこすれて痛かったし、高校山岳部では「地獄のキャラバンシューズ」と呼ばれていたくらいだぞ?
これを復刻しても、忌まわしい思い出が蘇る人の方が多いのとちがうか???
例えば、今、あのキスリングがどこかのメーカーから復刻されたら、たぶん私はそのカタログを見て呪詛の言葉を吐くに違いない。
まあ、キャンパス地に見えるけど実はナイロン地だったり、現代の靴らしくしっかりゴアテックスだったりと、それなりにマジメに作っているようには思えるけど、こんな靴を17,000円も出して買う人が果たしているのかどうか。
こんなもの開発しているヒマと人と金があったら、もっとアクアステルスの沢靴を真剣に開発してくれ、って気持ちである。
その沢靴は黒部、黒部アクア、大峰、大峰アクア、丹沢、渓流タビ、というラインアップは去年と変わらないのだが・・・あれ?モンタナがなくなってる。
ん〜、今年は沢靴を買い換えるタイミングで、パタゴニアのリバーウォーカー・スティッキーじゃなければモンタナ、と思っていたのだが、モンタナがないとなるとリバーウォーカー・スティッキーに決まりか・・・
リバーウォーカーのグリップ性能に不満があれば、なんとか資金を工面して大峰アクアを買い足そうか・・・
アクアステルスの専用モデルを作って欲しいな。モンタナが唯一専用モデルだったので期待していたのだが。
フェルトは必然的に「沢の中専用」、アクアステルス「アプローチから沢、下山までこれ1足」という使い方になるのだから、フェルト靴のソールだけをアクアステルスにするのではなく、専用モデル(水陸両用シューズ)として開発して欲しいのである。
どこか作ってください。フィールドテストならどれだけでもするから。
話は変わるが、キャラバンは自社開発の他にレキやカンプなどの海外メーカーの輸入もしていて、例のアクアステルスの開発元であるファイブテンの輸入もしている。
このファイブテン、最近はSPD対応のチャリ用シューズも作ってるんだよね。
私のチャリはSPD-SLなのでクリートが出っ張ってまともに歩けない靴なのだが、SPDだったら普通に歩けるんだよな〜。
ペダル、SPDにしようかな〜、などと考えてみる今日この頃だったりする。
<ロストアロー Spring 2012>
海外の一流ブランドの製品を適正価格で輸入してくれる庶民の味方、ロストアローである。ブラックダイアモンドは元々本国でも値付けが安いらしいが、スカルパは昔はバカ高かったような記憶があるぞ。
オスプレーも昔はバカ高かったのだが、生産が本国からベトナムに変わったこともあるが、年々リーズナブルになっている。イーサーやケストレルなど、モンベルと競争できる価格だもの。
ハーネスもほとんどのモデルが1万円以下だもんな。ちなみに私は薬師見平に行ったときにフォーカスALというハーネスを買って今でも使えるのだが、今年は沢登り用にクーロワールを買おうかと思っている今日この頃。
それとブラックダイアモンドは最近ザックのラインアップを加速度的に増やしていて(前からラインアップはしていたのだが)、「ザックメーカー」としてもけっこう認知されるようになってきた。クライミングメーカーらしく、いかにもクライミング用というシンプルな出で立ちのモデルがほとんどで、一般のハイキング/トレッキング向きのモデルはまだないけど。
やっぱオスプレーのケストレルみたいなユーザーに媚びたモデルを作らないと売れないのかな〜。媚びたっても現に使いやすそうだもんな。
ブラックダイアモンドのザックは背面にエルゴアクティブサスペンション、あるいはリアクティブサスペンションという凝った背面システムを開発している。
使ったことがないのでよく判らないのだが、ヒップベルトやショルダーベルトを可動にしているらしい。どういう効果があるのかというと、体の動きに対するザックの追従性が向上するので、体をよじるような動きをしても振られない、とかそういうことらしい。
実際に担いでみないとイメージしにくいシステムなのだが、使った人の話ではけっこう面白い感覚を味わえるらしい。
そのうち機会があれば1つ買ってみても良いかな〜、とは思うのだが、まあそんなに金持ちじゃないし・・・
またブラックダイアモンドはヘッドランプの有力メーカーで、パナソニック、ペツルとブラックダイアモンドでシェアの大半を占めているのではないだろうか。
その中でブラックダイアモンドは光量が強力なモデルが多く、価格も比較的安いので人気がある。
でもな〜、去年からのブラックダイアモンドのヘッドランプって、なんだかデザインが妙に子供っぽいと思うのは私だけ??
ストームとか、まるでガンダムみたいだよ?新しいアイコンも妙にガキッぽいデザインに見えるな〜。
オスプレーではケストレルがモデルチェンジしている。
このケストレル、山小屋で間違えて取り違えないか心配になるほど持っている人が多い。バカ売れしているザックのようだ。
そのためか、58から始まって、48、38、32、28と上から下までフルラインアップである。売れている数も考えると、ケストレルだけで小さなザックメーカーが成立してしまうのではないか?
ぶっちゃけ、どこが変わったのかよく判らない。
各部のストラップ類を軽く細いモノに替えて少し軽量化したくらいなのかな。人気があるモデルなのでそう大きく変える必要もないのだろうが。でも、これほど変わらないモデルチェンジも珍しい。
<ファイントラック 2012 Spring & Summer>
ファイントラックのホームページ
このカタログシリーズを立ち上げてから、いつかは触れなきゃな〜と思っていたのが、このファイントラックである。
登山者自身が製品を細かな拘りを持って作っているメーカーが好きな私なのだが、拘ってると言えばファイントラックが文句なく最右翼だろう。でも、今までな触れてこなかったのは、その「拘り」がなんとなく綺麗に納得できなかったからなのよ。別にうさんくさいと思っているわけではないが、「え?マジ?」みたいな、なんとなく理屈が通らないような居心地の悪さがあったりして。
ここもゴアテックスなどの既存の素材に頼らず、ほぼ全てのマテリアルを独自開発で作るメーカーである。まあそうでなければわさわざ大手メーカー(モンベルらしい)を飛び出して自分たちでメーカーを興す理由がないのだが。
で、ハードシェルの防水透湿性素材はエバーブレスという素材を開発している。
今年、それを使った面白いレインウエアが出た。エバーブレス・フォトンスーツである。
面白いモデルだとは思うよ。すご〜くよく伸びるハードシェルで、そういう素材は珍しいからね。
ただ、パタゴニアが以前、スプレイマスターというレインジャケットを出していたが、あれもよく伸びた。モンベルも自転車用にスーパーストレッチサイクルレインジャケットとパンツの上下を出していて、これも実に良く伸びる。だから何も唯一無二とか異次元のストレッチ性、というわけではないんである。実物を引っ張ってみたけど、モンベルの方が伸びそのものは良いかな、という程度。
で、肝心の性能(透湿性)である。これもなんだかんだ言っても実際に雨の中で使ってみないと判らないだろうけど・・・
透湿性能は、10,000g/m2/24hという表記である。ただしJISのA-1法。
カタログやファイントラックのサイトにはいろいろ書いている。A-1法は空気層から空気層に透湿した水蒸気量を測定する方法で、同社はより実際の使用に近い条件での測定法だと主張している。
でもさ。このA-1法って、私が以前やって透湿性能比較実験のやり方に非常に近いのでは?
もしそうなら、A-1法で10,000g/m2/24hという数値はトップクラス、というのはどうかなぁ?私がやった比較実験では10,000gはちょうど平均的、というところだもんな。
まあ別に低い、という数値ではないけど、実際使用してどうなのかは興味あるところである。これの実験データも出してみたいな。
さて、けっこう面白いモデルだと思うのだが、このレインスーツの重量は470gだという。最高レベルの軽量性、というのは確かだが、ゴアテックス3レイヤーのストームクルーザー(モンベル)が上下で480gなので、重量的なアドバンテージは薄い。
さらに価格が問題だ。スーツで43,050円。うわー、レインスーツで4万円を超える値付けをするとは強気な・・・
なんで上下別売にしないかな?別売だったらパンツだけでも買ってみようとかいう気にもなるのに・・・
ストームクルーザー上下より価格は1万円以上高く、素材性能は未知数だけどおそらくゴアテックスと大差ないとすれば、アドバンテージは「すご〜くよく伸びる」ことだけである。ウエアとしての造りは後述するがモンベルの方が汎用性があって完成度は高いし。
造りの部分だが、ファイントラックのウエア全体の話になるのだが、リンクベントというシステムが厄介なんである。
これはつまり、普通のウエアならポケットがある位置にベンチレーターを設けて、しかもアウターからミドラーまで同じ位置にベンチレーターを付けることによって、「すげぇベンチレーション効果」を狙っている、というものなのだ。そりゃ凄かろうよ。全部開放すればアンダーウエアに直接風が当たるんだから。
でも、これって全てファイントラック製品でレイヤリングを構築しなければ生きないシステムなんである。
しかも、同社は5層レイヤリングという独自的すぎるレイヤリングシステムを提唱しているため、「面白そうだからちょっと1着買ってみようか」というのが非常にやりにくいメーカーなんだな。そういう意味ではマニアックすぎて損をしているな。
だってリンクベントシステムを生かさなければ、同社のアウターは全て単なるポケットがないウエア、なんである。まあ、リンクベントの位置はスルーポケットと考えれば良い場合もあるのだが、必ずしもこの位置にポケットがあるミドラーを着ているわけでもないし、その場合は無駄なファスナーが付いているだけのウエアになってしまう。
「ちょっと買ってみようか」というのが比較的できるのはパンツの方である。
ストームゴーシュパンツ、あるいはストームゴーシュアルパインパンツは売れているらしい。山でもほんとによく見るようになった。履いている人に聞いても非常に評判も良く、実は私も欲しい。
基本的に技術力は高いメーカーなんだろうな。良いモノ作っている感はすごくあるのに、マニアックすぎて「俺たちの考え方に全面的に賛同するやつ以外は手を出しちゃいけねーぜ」と言ってるかのような商品構成で損をしているな、と思う。
沢登り用品もゴーシュバッグなど面白い製品を出しているんである。特にパドルグローブなんて大笑いしたけど、神かと思うほど有効な場面はあるだろうな。
面白いメーカーなので興味をもって見ているのだが、まだひとつも製品を買っていないのは、前述のようにちょっと手を出しにくい商品構成というのがけっこう大きい。ストームゴーシュパンツとかゴーシュバッグとか、今すぐにでも買ってしまいそうな製品はいくつかあるんだが。