2006年Heart of winter パタゴニア
パタゴニアのアフィリエイトに申し込んだら審査に通ってしまった。
申し込んだ後でどんなサイトが登録されているのだろうといろいろググってみたら、出てくるわ出てくるわ、審査に落ちたサイトが。要するに「パタゴニアにアフィリエイトの申請を出したけど断られちゃった」とカミングアウトしている文章がヒットしてきたわけだが、その中にはけっこうちゃんとしたサイトもあって、「こりゃ俺も赤恥をかく羽目に・・・?」とビビっていたのだが、あっさり通ってしまった。
審査に通ったという通知が来た翌日には、さっそく最新カタログが届いた。持ってたんだけどさ。
というわけでマメに
カタログを解析するのである。
それにしても年に4回もカタログ出すのである、パタゴニアは。
というわけで現在の最新カタログは
HEART OF WINTER 2006 というわけである。
WINTER2005には掲載されていなかったレディ・ミックス・ジャケット(webにはずっと出ていた)が掲載されている。これとフィギュア4は、共にインサレーションがないタイプのソフトシェルである。フィギュア4なんかはいろいろオールシーズン使えそうな気はする。
ちょっと気になるのは、レディ・ミックスもフィギュア4もソフトシェルであり、つまり防水ウエアではないのだが、カタログでレディ・ミックスの紹介文には、「横殴りのみぞれと視界ゼロの状態(中略)もお手のもの」と書かれているのである。
・・・そんならハードシェル、いらないじゃん。
ま、ディメンションジャケットを見ても、確かに耐水性は非常に高いとは思うが、それでもしょせん防水性素材を使っていないソフトシェルである。それはいくらなんでも言い過ぎでないんかい?
モデル名 |
Style No. |
構成(インサレーション) |
重量 |
その他 |
価格 |
レディ・ミックス・ジャケット |
M's 84920 |
なし |
425g |
CSS |
\29,400 |
フィギュア4・ジャケット |
M's 84965 |
なし |
425g |
CSS |
\29,400 |
注)平成17年2月15日より、パタゴニアが商品リンクの提供を一時中止したので、以前の画像をクリックするとダイレクトに該当商品のページを表示する機能が使用できなくなりました。
アイコンをクリックしてパタゴニアのオンラインショップのページを表示し、Style
No.を入力すると該当商品を表示することが出来ます。
ま、「横殴りのみぞれ」はオーバーとしても、パタゴニアはほとんどの状況下でソフトシェルを着る、というのが前提で商品開発をしているようである。ほとんどのソフトシェルを中間着としての用途はみじんも考慮せずにシェルに徹した造りをしていることからそれが読みとれる。
確かに標高が高い山では雨なんぞ降らない(水が水として存在できない)ので、その方が理に適っている。
日本の山でも考えてみれば、ちょっと前までは冬山に防水性がないナイロンのダブルヤッケなんぞを着て登っていたのだから、ゴアテックスなどの防水性素材が必ずしも必須というわけではあるまい。
むしろ海外の高山より幾分気温が高い分、透湿性はよりシビアに求められるはずである。
ということは、日本の冬山でもこの手のソフトシェルはありなのか、という気はする。ほとんどの状況下で、ハードシェルよりソフトシェルの方が快適に行動できるはずだと思う。
とはいうものの、万が一雨に降られたら即命に関わる大ピンチになってしまうので、ハードシェルが不要、というわけではあるまい。やはり特に日本の山では。
シェルを着ていながら、ザックにもう一つハードシェルを入れておくのはいかにも馬鹿馬鹿しい。そんなことならやっぱりハードシェルで行こう、となるよな。
パタゴニアもそのあたりはよく心得ているようで、超軽量のハードシェルをラインアップしている。
今期モデルだとジェットストリームジャケットとレインシャドージャケットの2モデルがそれに該当する。
何気にどちらも369gと素晴らしく軽い。特に新製品であるジェットストリームジャケットは、ストレッチャブルでCSS(縫い目なし)が採用されていて、ピットジッパーまで付いていて(個人的には要らないが)フル装備のハードシェルでありながらこの重量である。
ちょっと「超軽量ハードシェル」を比較してみた。
なお、パタゴニアのスペクタージャケットは、本カタログには掲載されていないモデルなのだが、webでは販売されている現行モデルなのでここに挙げた。
メーカー | モデル名 |
Style No. |
構 成 | 素 材 | その他 | 重 量 | 価 格 |
パタゴニア |
レイン・シャドー・ジャケット |
M's 84470 |
H2No 2.5レイヤー |
50Dナイロン |
ピットジッパー |
369g |
\25,725 |
パタゴニア |
ジェットストリーム・ジャケット |
M's 83115 |
H2No 2.5レイヤー |
50Dナイロン |
CSS、ピットジッパー ストレッチャブル |
369g |
\28,875 |
パタゴニア |
スペクター・ジャケット |
M's 24134 |
H2No 2.5レイヤー |
20Dナイロン |
CSS |
241g |
\40,950 |
モンベル |
ネージュクルーザージャケット |
|
ブリーズドライテック3レイヤー |
12Dナイロン |
ピットジッパー ストレッチャブル |
385g |
\20,800 |
モンベル |
ピークシェル |
|
ブリーズドライテック3レイヤー |
12Dナイロン |
280g |
\17,800 |
|
モンベル |
トレントフライヤージャケット |
|
ゴアテックス3レイヤー |
バリスティック・エアライト |
340g |
\19,110 |
・・・こうしてみるとモンベルの軽さは際だっている。3レイヤーでこの重量は反則である。まあゴアテックスパックライト(つまり2.5レイヤー)を使ったウエアで400gを切る程度のものはないこともないのだが、3レイヤーではほとんどあり得ない数字である。
パタゴニアの2モデルは2.5レイヤー、すなわちパックライトと同じ内側に突起を作ってメンプレンを保護する、というものである。耐久性は少々不安なのだが、まあ12Dの極薄3レイヤーも、それはそれで不安である。どのみち「非常用」で常時着ているものではない、というのなら、どちらもこれはこれでありである。
軽さという点ではパタゴニアのスペクタージャケットは図抜けているが、20Dの2.5レイヤーというのはいくらなんでも使用にはちょっと気を遣うかも。袖口もカフではなくシンプルなゴム締めだし、フード調整のコードロックの仕様もポケットの中に出さず、そのままフードの内側に出ている。
さらに前立てのファスナーが顎の一番上まで来ておらず、口元はベルクロで止める仕様になっている。
そんなわけでモンベルでのネージュクルーザーと同じく、軽量化に徹しきった仕様のようである。
ま、値段があまりにも高いのでこれまで私の視野に入っていなかったのだが、REIにアウトレットが安く出ているとの情報があるので、この値段なら買っても良いかも、とは思う。私は買わないけど。
でも、不思議なのはこれ、アウトレットではなくどう見ても現行モデルなんだよね。CSS採用って書いてあるし。パタゴニアの方でも現行モデルとして正規の値段で売っているモデルが、なぜアウトレット品としてREIにこんな値段で出てくるのだろう。
と不思議に思って調べてみたら、本国アメリカではスペクターは既にカタログ落ちしていた。なのでアウトレットなのか。ということは日本でも在庫を売ったら終わり、ということになるのかな。
スペクタージャケットはそんなわけでもうない。どうしても欲しければ日本の正規品を4万円出して買うか、REIで買うしかない。ただしREIの方は色が1つしか選べないしサイズも全部は揃ってないが。
ただ、アメリカパタゴニアにはスペクターのプルオーバーが出ている。重量なんと184gである。
また、15デニールの3レイヤーで298gというモデルも出ている。ちょっと高いけど。これももうじき日本に投入されるのだろうか。
ちなみにモンベルのピークシェルとトレントフライヤーはレインウエアである。まあレインウエアと冬山用のハードシェルの境界線って曖昧なのだが、ピットジッパーの有無と雪面での滑り止め加工がされているかどうかが一応の目安か。
それにしてもパタゴニアの2モデルとモンベルのネージュクルーザーは、その構成は違うがコンセプトも結果としてのウエアの性格もよく似ている。
要するに「常用シェル」ではなく「非常用シェル」というコンセプトで、そのために極力軽量コンパクトに作られているようである。
モンベルのカタログのレイヤリングの例として、ネージュクルーザーはライトシェルジャケットと組み合わされているのである。
ライトシェルはモンベルのラインアップではソフトシェルに分類されているウエアである。むろんモンベルのソフトシェルだから、パタゴニアのようなバリバリのシェルではなく、どちらかというと山シャツ替わり(モンベルもカタログでそう言っている)のソフトシェルである。
つまりモンベルの場合、バリバリの冬山ではなく秋の山や冬の低山を想定しているようなのだが、気候がいいときはソフトシェルで行動して悪条件になったらハードシェルを出す、という基本は同じなのである。「悪条件」のレベルはかなり異なっていそうだが。
そういう非常用のハードシェルは可能な限り軽くコンパクトに、というコンセプトもやはり同じである。
それにしてもパタゴニアのジェットストリームジャケット、魅力的である。
ネージュクルーザーは軽量化を優先するあまり、ポケットはピットジップとジッパーを共有するという使いにくそうな設定になっている(最近のモンベルのシェルに共通の仕様だが)が、ジェットストリームはちゃんと普通に大型のポケットがついているし、内ポケットまであるのだ。それで軽いのである。
おまけに値段も安いではないか。いや、パタゴニア価格に慣らされて感覚がおかしくなっているのかもしれないが、フル装備のハードシェルで3万円を切っているのは安くないか。
これ、マジに欲しい。買うかも。というか買う。
(結局買ってしまった。詳細はこちら)
あと、フリースのRシリーズだが、新たにR1.5というのが出た。R.5というのもあるし、そのうち2.5とか3.5とかも出てしまうのだろうか。
Rシリーズの中でもR1などはフリース(中間着)なのかアンダーウエアなのかよく判らないウエアなのだが、これもそうである。
なんでも身体の各部分に合わせて密度や構造を変えているらしい。肩は保温性を重視し胴回りは通気性を、という凝ったことをしている。凝った構造のせいか、値段はR2よりも高い。
R2といえばこれも変わった素材感で、実は欲しいのである。でも高いなぁ。Rシリーズはせめてもう2割安けりゃなぁ・・・
しかしその中でR3のプルオーバーだけはちょっと安い。いや、19,000円にもなろうとする値段で「安い」と言っちゃあおかしいのかもしれないが、フルジップがハーフジップになっただけで6,000円も安くなるとはどういうことだ。構成が違うのかと確認してみたが、ほんとにジッパーの長さだけの違いである。いいな、これ。
ちなみにこのR3は、腕の外側はR2素材、腕の内側と脇にはR1素材を使っていて、かなり凝った造りである。蒸れやすい腕周りと脇に少し薄手の素材を使い、さらにストレッチ性も確保するのが目的のようである。
モデル名 |
Style No. |
構 成 |
重量 |
価格 |
R3ジャケット |
M's 25710 |
R3ハイパイル 袖:R2 |
468g |
\25,200 |
R3ボディラグ・プルオーバー |
25452 |
R3ハイパイル 袖:R2 |
383g |
\18,900 |
R2ジャケット |
M's 25134 |
R2ポリエステル |
369g |
\22,050 |
R1.5ジャケット |
M's 40150 |
バイオマップ |
425g |
25,200 |
R1.5プルオーバー |
M's 40170 |
バイオマップ |
383g |
\24,150 |
R1フラッシュプルオーバー |
M's 40103 |
ストレッチパネル:R.5 |
312g |
\15,750 |
R.5トップ |
M's 41600 |
|
255g |
\10,500 |
アンダーウエアは、キャプリーンという素材(正確には素材ではなく加工技術の名称らしいが)を用いた製品を展開している。
エクスペディションウェイトからミッドウェイト、ライトウェイトという分類はモンベルのジオラインアンダーウエアと同様であるが、パタゴニアはさらにシルクウェイトという薄手のアンダーも用意している。
これも実際手に取ってみると独特の手触りで一着欲しくなってしまうのだが・・・
M's ミッドウェイト |
クルーネック(44202) |
ジップT(44263) |
|
W's ミッドウェイト |
クルーネック(44212) |
ジップT(44276) |
ヘンリーネック(44285) |
M's ライトウェイト |
クルーネック(44602) |
ジップT(44662) |
Tシャツ(44582) |
W's ライトウェイト |
Vネック(44622) |
ジップT(44672) |
2月中旬にパタゴニアのサイトで大幅な商品の入れ替えがあった。
それはいいのだが、まだ配布中のHEART OF
WINTER2006のカタログに掲載されている商品の中にも、もうパタゴニアサイトで見ることができなくなってしまったモノが多数ある。
どうしてそういうことするかな?
ただのファッションなら、そういう「買える期間」を短くして商品に希少性を持たせて、という戦略もあるのかもしれないが、命を預けることになるハードウエアである。別に全ラインアップをいつでも在庫を持っておいて欲しいとまでは言わないが、ラインアップの概要くらいは常時参照可能にしておいて欲しい。
さて、新しいハードシェルがいくつかパタゴニアのオンラインショップにラインアップされている。
スペクタージャケットは案の定、カタログ落ちした。その代わりスペクタープルオーバーが掲載されている。また上でちょっと触れた3レイヤーの超軽量モデルもラインアップされている。
モデル名 |
Style No. |
構 成 |
素材 |
その他 |
重量 |
価格 |
スペクター・プルオーバー |
83771 |
H2No 2.5レイヤー |
20Dナイロン |
CSS |
184g |
\34,650 |
スプレイマスター・ジャケット |
M's 24065 |
H2No 2.5レイヤー |
50Dナイロン |
|
298g |
\39,900 |
グレードVI・ジャケット |
M's 83780 |
H2No 3レイヤー |
15Dナイロン |
CSS |
298g |
\47,250 |
ジェットストリーム・ジャケット |
M's 83115 |
H2No 2.5レイヤー |
50Dナイロン |
CSS・ピットジッパー |
369g |
\28,875 |
レイン・シャドー・ジャケット |
M's 84470 |
H2No 2.5レイヤー |
50Dナイロン |
ピットジッパー |
369g |
\25,725 |
下の2アイテム、ジェットストリームジャケットとレインシャドージャケットはこのページの上の方で既出である。
こうやって見るとスペクタープルオーバーの軽さは確かに驚異的である。180gといえば下手なTシャツより軽い。
とはいうものの、20デニールの2.5レイヤーという構成は、さすがに使用にあたっては神経を使わされそうである。ヤブこぎはもちろん、岩場でも怖ちょっとしたことで破れてしまいそうで怖い。しかもこの値段である。
スプレイマスタージャケットはナイロンのジャージーニットというものがどんなものなのか、ちょっと興味がある。伸縮性は抜群らしいが、どんな素材感なのかイメージができない。
グレードVIジャケットは、確かに3レイヤーで300gを切るのは驚異的である。
でも高い。高すぎる。ほんとにこれ、買う人いるのか?ちなみにモンベルでも3レイヤーで280gというモデルが存在するが、その価格は17,000円ほどである。2.5倍以上、価格差にして実に3万円以上という価値があるのだろうか。さすがに疑問である。それもウエアの中でも最も「道具」に徹しているレインウエアだものな。
そうしてみると、ジェットストリームとレインシャドーはやはり魅力的である。特にピットジッパーやCSSを装備してフル装備のハードシェルでありながら3万円を切っているジェットストリームは魅力的である。もちろんこのモデルだって十分高いのだが、他のモデル、特にグレードVIあたりと比べると「適正価格」な感がある。