patagonia SPRING 2006
年4回もカタログが出るのは目まぐるしいなぁ〜と思いつつ、2006年春のパタゴニアである。
春物になるとテクニカルウエアに割かれるページ数は減り、リズムと称するクライミング用のウエアや水着が主体となってくる。その水着も、パタゴニアは女性用にウォーターガールというブランド?カテゴリーを設定していて、けっこうなページ数を割いている。まあ目の保養にはなるのでそれなりに楽しいのだが、やっぱテクニカルウエアのページが少ないと淋しい。
パタゴニアのロッククライミング用ウエアはリズムと称しているが、主体はオーガニックコットン製の短パンやポロシャツである。
その中でちょっとテクニカルウエアっぽくて面白そうな製品がチャズ・ジャケット(M's
20855)である。ポーラテックのパワーストレッチを使用したウエアで、この素材を使っている割には安いかな、と思う。パタゴニアにしては、という注釈付きだが。
春カタログでありながら「スポーツウエア」はもうマリンスポーツ一色であり、夏物もかなり掲載されている。
パタゴニア定番のパタロハとか海パンも欲しいなとは思うのだけど、まあ自腹切ってはなかなか買える値段ではないよな。
テクニカルウエアでは、ハードシェルがジェットストリーム(M's:83115 ,
W's:83125)とスペクタープルオーバー(83771)、それにスーパープルマIIジャケット(M's:83840 ,
W's:83845)とレインシャドー・ジャケット(M's:84470 ,
W's:84480)、さらにスプレイマスタージャケット(M's:24065 ,
W's:24075)が掲載されている。
既にwebでは勢揃いしているので目新しくはないのだが、ちょっと表にまとめてみるとこんな具合である。
モデル名 |
Style No. |
構成 |
素材 |
重量 |
その他 |
価格 |
ジェットストリーム・ジャケット |
M's 83115 |
H2NO 2.5レイヤー |
50デニールナイロン |
369g |
CSS |
\28,875 |
スペクター・プルオーバー |
83771 |
H2NO 2.5レイヤー |
20x22デニールナイロン |
184g |
CSS |
\34,650 |
スーパー・プルマII・ジャケット |
M's 83840 |
H2NO 3レイヤー |
50デニールナイロン |
567g |
ピットジップ |
\50,400 |
レイン・シャドー・ジャケット |
M's 84470 |
H2NO 2.5レイヤー |
50デニールナイロン |
369g |
ピットジップ |
\25,725 |
スプレイマスター・ジャケット |
M's 24065 |
H2NO 2.5レイヤー |
50デニールナイロン |
298g |
フルストレッチ |
\39,900 |
ちなみにwebに掲載されているのにカタログには未掲載のモデルにグレードVIジャケットがある。価格設定といい、あまり売る気がないのだろうか?
この中で、ストレッチ性ということで分類すると、スペクターとレインシャドーを除いた3モデルはストレッチ性を備えている。そのうちスプレイマスターはジャージーニットのナイロン生地(どんなものかよく判らないのだが・・・)を使っていて、ウエア全体がよく伸びるらしい。他の2モデル、ジェットストリームとプルマIIは、全体的に伸びるのではなくストレッチ性を備えた生地を部分的に使用している。
性質的には、スーパープルマIIが普通のハードシェル、すなわち雪山などで常用するためのハードシェルで、他のモデルは全てソフトシェルのはオプションパーツみたいな位置づけである。常用シェルはあくまでソフトシェルであり、極端な悪天候時にはその上から着てくれ、みたいなコンセプトである。
オプションパーツであるから重くては話にならず、従ってパタゴニアのハードシェルはやたら軽量化に力が入っている。軽量化命のモンベルのお株を奪う力の入りようである。
この中で私が持っているのはジェットストリームジャケットなのだが、素晴らしいフィット感のフード、ピットジッパー、外側に大きなポケット2つと内側にもファスナーポケット1つに開放ポケット1つの合計2つの内ポケット、さらに伸縮性まで備えていてこの重量というのは立派の一言である。さらにこの仕様でこの値段、というのはパタゴニアにあるまじき適正価格、である。売る気だな?グレードVIなんてこのジャケットが3レイヤーになっただけ、と言って良い仕様なのだが、それだけでさらに2万円も高くなるのである。あまり売る気ないな?
本カタログに掲載されているソフトシェルは、下の表のとおりである。
モデル名 |
Style No. |
素材 |
重量 |
その他 |
価格 |
フーディニ・フルジップ |
M's 24016 |
15デニールナイロン |
99g |
ポケッタブル |
\23,100 |
フィギュア4・ジャケット |
M's 84965 |
5.5Oz ポリエステル |
425g |
CSS |
\29,400 |
webには掲載されているレディ・ミックス・ジャケット(M's:84920 , W's:84930)は、今回のカタログには掲載されていない。売れ筋だと思うんだけどな。
フーディニ・フルジップは超軽量ウインドブレーカーという位置づけのウエアで、この2〜3年で流行りだしたジャンルである。先鞭は同じパタゴニアのドラゴンフライあたりだったような記憶があるが。
正直、どういう状況下で使うウエアなのかもうひとつ明確にイメージできないのだが、けっこういろいろなメーカーがこのジャンルに商品を投入している。で、この手のウエアの世界最軽量はやはりモンベルのU.L.ウインドジャケットで、その重量はなんと70gである。
もっともU.L.ウインドジャケットにはフードは付いていない。フード付きで100gを切ったフーディニ・フルジップは凄いと言えるのだが、でもそもそもこの手のウエアにフードが必要なのかどうか、よく判らない。
余談だが、「フィットの設定」は特にテクニカルウエアでは重要である。同じLやMサイズでも、レイヤリングの設定によってサイズが変わってくるからで、例えばインサレーション付きのソフトシェルなどはけっこうタイトなフィット設定だし、アンダーに数枚着込んでいることが前提のハードシェルでは余裕のあるサイズ設定になっていることが多い。ましてDASなどの"ビレイパーカ"はかなり大きめのサイズ設定で、そのあたりを理解しておかないとサイズ選びに苦労する。
むろん、メーカーの想定どおりの使用法を行う分には何も考えなくても、自分のサイズがLならば全てLを買えば良いようなサイズ設定になっているのだが、想定外の使用方法、例えばDASパーカを街着にしようとかいう場合は1サイズ小さめでも良いかも。
そのあたりのサイズ設定はwebにもカタログにもきちんと書かれている。
例えばジェットストリームジャケットは、「レイヤリングの余裕は残しつつも身体のラインに沿ったフィット」ということなのだが、実際はディメンションジャケットの上からでも比較的楽に着れるフィットだった。このあたり、「ソフトシェルのオプションパーツとしての超軽量ハードシェル」の設計どおり、という感じである。
ま、「身体のラインに沿った」という表現は、私のような体型だと「沿うんぢゃね〜よ」とか思うが。
以前からなのだが、パタゴニアのカタログは女性用ウエアの方が扱いが大きい。ページ数も多いし、男女両方があるテクニカルウエアなどでも、女性用の方がカタログ写真が前面に出ている。男性用は女性用の背後に一部隠れるようにしか写っていない製品が多い。ちゃんとウエストを絞ってあるのがカタログ写真で判るので、女性が着たら格好いいだろうなと思う。
女性用ロッククライミングのカテゴリーに、ウィメンズ・モーニング・グローリー・ドレス(20520)というモデルがある。名前からして場違いである。
格好いい。スタイルのいい女性が着れば、だろうが・・・あちらの女性はクライミングの後、キャンプでこんな色っぽいドレスを着るのか?学生時代に御在所のテン場でこんなのを着た(スタイルの良い)女性を見たら、人としての道を踏み外してしまっていたかもしれんぞ・・・
スポーツウエアのカテゴリーにも、ウィメンズ・バイタリティ・ストラッピー・ドレス(58860)というモデルがある。私にはなんとも言えないが、スタイル抜群の奥様または彼女をお持ちの方、プレゼントしてみては?
そうそう、パタゴニアの好みなのかもしれないが、カタログに登場する女性のスタイルは、なんというかそれほど派手ではない。見開き写真などはアンバサダーだったりするのでともかく、下着やドレスの着用モデルもそうである。
彼の国の女性もホルスタインみたいなのばかりではないんだ、と知ってちょっと安心である。
今季のパタゴニアは、ザック類を大幅にモデルチェンジしている。
まあ私にはそれほど魅力は感じないのだが・・・ザックはザックメーカーの製品の方が魅力的だなぁ。第一値段が高い。オスプレーより高いとは何事だ、という気がする。
その中でポケットワイヤー・パック(48825)はちょっと魅力的である。値段が安いというのが一番なのだが、デザインもちょっと面白い。
また意外なことにダッフルバッグは値段が安い。80リッターのシャトル・ダッフル(48360)が\16,275、60リッター(48355)が\14,175である。
ちなみにパタゴニアのカタログは文章が面白い。
製品の紹介文も、「ドレスで難易度5.10のルートを登ろうとする人はいないでしょうが」とか「風でスカートがまくれあがってもへっちゃらです」などなど、随所に笑える文を織り交ぜてくる。
また、数本あるエッセイがどれも面白い。今回はマット・サメットの書いた「ピヨホス」というエッセイで大笑いさせてもらった。
カタログは無料なので、興味がある方はぜひパタゴニアのサイトからカタログを請求してみてくださいませ。