patagonia fall 2011

パタゴニア

 

 early fall 2011でも書いたことなのだが、今季のパタゴニアはゴアテックス製ウエアをずらりとラインアップしていて、ちょっとした異変である。
 よく見てみれば、ソフトシェルでも私の嫌いなウインドストッパーを使ったウエアを勢揃いさせている。どうしたんだろう?

 ゴアテックス社と和解したのか??
 というかそもそもケンカしていたのか?

 ま、1年限りの現象かも知れないし、もしかしたら今後のパタゴニアはH2Noを縮小させてゴアテックスをメインに使っていく方向にシフトしていくのかも知れないが(そうなったらつまんないな・・)、とりあえず今季のモデルをもう一度見直してみる。実物も見ることができたし。

 

 メンズ・トリオレット・ジャケット (#83400)

 40デニールナイロン、ゴアテックス3レイヤー(パフォーマンスシェル)
 590g , \54,600

 ウィメンズ・トリオレット・ジャケット (#83400)

 40デニールナイロン、ゴアテックス3レイヤー(パフォーマンスシェル)
 539g , \54,600

 メンズ・スーパーアルパイン・ジャケット (#83645)

 40デニールナイロン、ゴアテックス3レイヤー(プロシェル)
 524g , \73,500

 ウィメンズ・スーパーアルパイン・ジャケット (#83650)

 40デニールナイロン、ゴアテックス3レイヤー(プロシェル)
 488g , \73,500

 メンズ・ピオレット・ジャケット (#83380)

 40デニールナイロン、ゴアテックス2レイヤー(パフォーマンスシェル)
 644g , \37,800

 ウィメンズ・ピオレット・ジャケット (#83385)

 40デニールナイロン、ゴアテックス2レイヤー(パフォーマンスシェル)
 584g , \37,800

 

 さて、ハードシェルであるが、プロシェルの3レイヤー、パフォーマンスシェルの3レイヤー、パフォーマンスシェルの2レイヤーとゴアテックスをフルラインアップさせている。
 実物を見てみたが、どれも(トリオレットは未見だが)丁寧で造りもいいし、価格は高いが良いな、と素直に思う。

 スーパーアルパインジャケットには袖口にゴムのようなネオプレンのような素材感のカフを付けている。パタゴニアではスケット・ドライ・カフと言っている。
 これ、最初は素直に良いな、と思っていたのだが、ちょっと考えるとあれれ?と思う。
 この手のウエアって、着用しているときにはグローブを着けているのが前提だよな。たいていはオーバーグローブをしているはずだし、オーバこういうーグローブの裾はジャケットの外に出しているだろうから、このカフが生きることはあまりないのではないか??
 アイスクライミングでフリースグローブだけを着けている、という場面を想定しているのだろうか。

 個人的にはこういう装備は、冬山用アウターではなくレインウエアに装着してこそ意義がある、と思う。レインウエアならグローブを着けていないことの方が多いし、手を上げたときなどに袖口から侵入する雨はバカにならないから。
 ただ・・・蒸れそうだなぁ。袖口が密閉されてしまうので、腕周りからエアが抜けなくなってしまう。
 モンベルはネオプレン製のリストバンドを別売しているが、この方式の方が良いな、と思う。

 ふと気づいたのだが、ピオレットジャケットってむちゃくちゃ安くないか?プロシェル3レイヤーモデルとパフォーマンスシェル2レイヤーモデルでほとんど倍も価格が違うのも不思議だが、3万円台後半ってモロにアウターの標準価格帯じゃないの。モンベルとも競合できる価格である。
 2レイヤー生地に独立した裏地を付ける手法って、ゴアテックス登場時からあるクラシックなスタイルである。身頃はメッシュ、袖はタフタ生地というのもほとんど決まり事である。モンベルのドリューパーカ(今季はなくなっているが)、ノースフェースのマウンテンジャケット、同じパタゴニアのストームジャケットなど、クラシックモデルはみんなこのスタイルである。
 個人的にはこの手法は昔のゴワテックスと揶揄された時代の、ゴワゴワガサガサして裏地の滑りも悪かった時代に、レイヤリングのしにくさとガサツキ感を解消するために編み出されたやり方だと思っているので、3レイヤーでも十分しなやかになった現代ではあまり存在意義がない手法とは思う。
 とはいうものの、クラシック2レイヤーのウエアもまだ売れているということは、このスタイルを好む人も大勢いるということだろう。このクラシック2レイヤーが好みだったり嫌じゃない人にとっては、ピオレットジャケットは、クラシック2レイヤーにしては軽いし(ノースフェースのマウンテンジャケットより100g以上軽い)、価格的にも魅力的だと思う。

 トリオレットジャケットの方は価格的にはちょっと・・・
 この値段ならプロシェルを使えよ、って感じである。

 ソフトシェルの方は、ウインドストッパーを使ったモデルを勢揃いさせている。

 

 メンズ・ソーラー・ウインド・ジャケット (#83865)

 ウインドストッパー・ナイロン プリマロフト60g
 516g , \31,500

 ウィメンズ・ソーラー・ウインド・ジャケット (#83875)

 ウインドストッパー・ナイロン プリマロフト60g
 451g , \31,500

 メンズ・ウィンター・サン・フーディー (#83890)

 ウインドストッパー・ナイロン プリマロフト100g
 680g , \39,900

 ウィメンズ・ウィンター・サン・フーディー (#83895)

 ウインドストッパー・ナイロン プリマロフト100g
 598g , \39,900

 

 ウインター・サンの方は前からあったモデル名だがソーラー・ウインドの方は新規である。どちらも化繊中綿で保温性を付与させるタイプのソフトシェルである。
 なので登山にはあまりハマらないウエアではあるな。フリース地等での保温性付与であれば、吸汗性も持たせることができるのでアンダーの選択次第ではけっこう使えると思うのだが、中綿だとそのあたりが苦しいので、スキー用なのかな。

 ソフトシェルといえば、今季は面白いのが。

 

 メンズ・ナイフブレード・プルオーバー (#83270)

 ポーラテック・パワーシールド・プロ 裏地はトリコット
 482g , \39,900

 ウィメンズ・ナイフブレード・プルオーバー (#83275)

 ポーラテック・パワーシールド・プロ 裏地はトリコット
 445g , \39,900

 メンズ・ノースウォール・ジャケット (#83260)

 ポーラテック・パワーシールド・プロ 裏地はR2グリッド
 731g , \52,500

 ウィメンズ・ノースウォール・ジャケット (#83265)

 ポーラテック・パワーシールド・プロ 裏地はR2グリッド
 661g , \52,500

 

 両方ともポーラテックのパワーシールド・プロという素材を表地に使っている。
 この素材、往年のショーラー・ダイナミックを彷彿とさせるシャリ感がある、いかにも丈夫そうな素材である。

 そういえばショーラー、どうなっちゃったんだろうね?
 一時はソフトシェル素材の主流になった感さえあったのだが、何年か前に一斉に姿を消したときはユーロ高のため、などと言われていた気がする。でもその後とんと復活しないし噂も聞かないし。潰れちゃったのかな?
 もしかしてポーラテックに買収されていたりして。それでこんなのが出てきたりしていて。
 とふと思ってしまうほど、触った感じはよく似ている。

 もう10年近く前のモデルになるがモンベルのマウンテントレーナーというショーラーを使ったソフトシェルがあって(当時のモンベルはソフトシェルとは言わなかったが)、これは私の中では未だにベスト・オブ・ソフトシェルなんである。
 今でも2着持っているのだが、さすがに酷使に次ぐ酷使を経て生地にもヘタりが見られるし裾や袖口のゴムも伸びきってしまっている。特に脇や袖にパワーストレッチを使ったフルジップの方は、そのストレッチ素材が伸びてしまっている。
 なのでウエアとしてはいい加減寿命が近いというか来ているのだが、代わりがないので未だに愛用しているのである。
 他に良いのがないかなといろいろ試してはみたのだが、どれも決定打にはなっていない。

 なのでこのナイフブレードには久々に物欲センサーがMAX近くまで振れた。
 このモデルはどうもアイスクライミングを想定してかなりそれに特化した設計をしているようで、ハーネスの装着感を上げるためかプルオーバーで腰にポケットもないという潔い設計である。
 それでもこれ、欲しいわ。岩場からヤブ漕ぎ、冬のアウターまでオールシーズン使い倒せるなぁ。
 この素材でフルジップ、フード付きで500g台前半くらいまでの軽く仕立てたモデルが出たら、物欲センサーが振り切れると思う・・・
 その時にはディメンションジャケットを2万円で売って買う。売れればだが。売れなければ借金してでも買うかも。

 ノースウォールの方は同素材で裏地にフリースのグリッド地を使っている。かなり保温性が高そうである。
 なので冬山、それもかなりの厳寒地以外には使えまい。北八ヶ岳のスノーシュートレッキングくらいなら使い心地が良さそうだが、日本じゃ使用場面が限定されてしまうな。

 

 

Back to up