平成16年5月2-4日 霧ヶ峰

5/2 16:00 鎌ヶ池キャンプ場 着
5/3 11:00 鎌ヶ池キャンプ場 出発
  12:00 蝶々深山
  13:00 車山頂上
  13:30-14:30 車山肩
  15:30 鎌ヶ池キャンプ場 着
  17:30 鎌ヶ池キャンプ場 撤収
    山と高原地図 「八ヶ岳」

 昨年の年末から仕事が非常に忙しかった。
 それは年が明けてからさらに加速され、2月3月とさらに忙しくなり、3月などは丸々1ヶ月休みがない状態だった。
 1月からこっち、富山のテレビ局全局にインタビューを受けたり、夜の10時にテレビ局が自宅に来たりして(おかげで「白い巨塔」最終回の前半を見逃してしまった)、かなりの「異常事態」ではあった。おかげでせっかく冬装備をひととおり揃えなおしたというのに、まったくどこにも行くヒマがなかったのであった。
 そんなわけでもう3月くらいから「連休だけは・・・連休だけは・・・俺は遊ぶぞぉぉぉぉ〜〜〜!!!」と周囲に宣言しながら仕事していたわけであった。

 その連休の計画であるが、家族連れであるからして雪のある山はパスである。それから次男がまだまだ体力的に弱いので、あまり行程が長い山もダメである。キャンプも、いかにも「オートキャンプ場」というところは嫌である。
 つまり、「オートキャンプ」じゃなく「山の中での幕営」っぽい雰囲気のキャンプ場からそれほど長くない行程で「山に登った」という気分にさせてくれるところ、というわけでなかなか難しいのであった。

 最初は南アルプス北部の前衛峰の入笠山に行こうかと思っていた。山頂直下まで車で入れるし、連休時はまだかなり寒いので混んでもいないとのこと。だが、キャンプ場から山頂までたった30分の距離しかなく、カミさんの「歩き足りない」の一言で却下となった。カミさんには最近、トレッキングシューズ(キャラバンGK-52)を買ってやったので歩きたいのである。
 ではどこにということで、去年からちょっと気になっていた霧ヶ峰に行こうということになった。八島ヶ原湿原にある鎌ヶ池キャンプ場が気になっていたのだ。
 というわけで、鎌ヶ池キャンプ場で2泊し、適当に霧ヶ峰を歩くといういい加減な計画で出発したのであった。

 出発した5/2当日は、できるだけ早く現地近くまで行って遊びたかったので、気合いを入れて午前3時半に自宅を出発した。そう、去年の立山雷鳥沢での経験から、例え高地でも快晴の日は直射日光でテントの中がかなり暑くなることに辟易し、タープが欲しいと思っていたので、諏訪にあるモンベルショップに寄ってタープを買っていく、というオマケ付きの計画である。昔のテントって通気性が良かったので(その代わり気密性は低かったんだろう)そんなことで苦労した記憶はないのだが・・・

 連休まっただ中だし混んでることは覚悟していたのだが、平湯までは明け方なのでたいした混み具合ではなく(それでもこの時間帯だというのに前後には必ず車が走っていた)、安房トンネルからの下りは逆方向(松本〜新島々)は非常に混んでいたものの、松本方面はガラガラだった。
 おかげで諏訪市に8時に着いてしまった・・・
 このままビーナスラインに上がってしまったら、天気は良いので楽しめるだろうがタープは買えない。モンベルショップが開店するのは10時である。でも、こんなところで2時間もどうやって時間を潰せと???
 ここで、大学時代からの友人であるF氏が八ヶ岳の麓(富士見町)で隠遁生活を送っていることを思い出し、急遽電話で叩き起こしてコーヒーを飲みに押し掛けることにした。F氏は私が学生時代、好日山荘岐阜店の店員でその後好日山荘を辞め、歳は私とそれほど変わらないのに八ヶ岳山麓の別荘地に夫婦2人で移り住んで隠遁生活を送っているのだ。
 寝ぼけ眼で出てきたF氏夫婦にコーヒーを入れてもらって(会うのは5年ぶりくらいなんだが)お喋りして時間を潰し、再び諏訪市にリターンしてきたのが午前11時。ちょうど良い時間である。

 モンベルショップで目当てのタープ(ミニタープHX)を購入したのだが、店内には7〜8mはあるピナクルがある。聞けば1トライ500円でクライミング体験をさせてくれるらしい。
 で、息子2人がやってみたいというのでやらせてみた。

Climbing Dai Climbing Syo

モンベルクラブ諏訪店でクライミング初体験の大と生

 次男の生はまだ6歳なので、はなから登れるとは期待していなかった。
 長男の大の方は普段から高いところに登りたがるし、もしかしたら行けるかも、と思ってはいたのだが・・・
 かなり時間はかかり、何度もロープにぶら下がりはしたものの、結局完登してしまった。写真のとおり、上部は少し被っていて決して簡単ではない。聞けばグレードは5.7くらいなんだとか。このピナクル、4面ともルートが取れるのでけっこう面白そうである。近くにあったら絶対通い詰めるだろうな・・・
 2人とも「1トライ」とはいうもののずいぶん長い間かかっていたのだが、嫌な顔一つ見せずに付き合ってくれたモンベルショップのお姉さん、ありがとうございました。

 大も上の方は高度感もかなり出てくるし被ってるし、ホールドは遠いしでかなり怖かったらしい。でも相当面白かったようで。

 そんなわけで諏訪を出発したのはもう午後1時を回っていた。一路、ビーナスラインへ。
 とりあえず鎌ヶ池キャンプ場に入る。

Camp site

鎌ヶ池キャンプ場

 鎌ヶ池キャンプ場はこんな感じである。
 元々は山羊か牛の放牧地だったような感じの広場なのだが、車は中に乗り入れできる。施設はトイレと管理小屋くらいしかなく、その管理小屋も夜は誰もいなくなるのでかなり良い感じだった。
 ただ、幕営料はやっぱり高いなぁ・・・1人1000円+駐車料2000円である。うちは4人で2泊なので、なんと12000円。少し負けてもらったが。
 施設面では、北アあたりのキャンプ指定地とたいして変わらないのでかなり割高感はある。
 水は小屋の中に炊事場があってそこに出ているのだが、飲用にする際は湧かすようにという注意書きがある。確かに湿原の湧き水なので、あまり良い水という感じではない。トイレは以外に綺麗だが、それも北アのキャンプ指定地の標準での話である。
 ロケーションは抜群に良いので、サイト料さえもう少し安ければ通い詰めたいキャンプ場なのだが。

 購入したばかりのタープがさっそく活躍している。
 車横付けなので、今回はテーブルなんぞも出してみたが、寒かったのでほとんど使わなかった。

 上の写真で、正面にこんもり見える山は物見岩、右端にドームが見えるのが車山山頂である。

Yashimagahara

八島ヶ原湿原

 日没まで少し時間があるので八島ヶ原を散策した。
 写真はキャンプ場とはほぼ反対側からの八島ヶ原湿原である。正面にキャンプ場が見えている。左の山は男女倉山、真ん中やや右が物見岩、右端が蝶々深山だろうか。

synchronized swim?

シンクロナイズドスイミング?

 八島ヶ原の湿原にカモが2羽いた。盛んに潜ってエサを採っていたのだが、2羽同時に潜ったところを撮ってみた。

 その日は快晴だったのだが、風は強かった。日が暮れると急激に寒くなるのはやはり標高が高いからだろう。

 翌5月3日。
 天気予報ではまだ晴れるはずだったが、起きると一面のガスだった。ま、霧ヶ峰というくらいだし・・・おまけに風がめっぽう強い。
 どうしたものかとうだうだしていたのだが、まあせっかく来たのだしその辺でも軽く歩いてくるかとテント場を出たのがもう午前11時頃だった。
 とりあえず物見岩目指してえっちらほったら登る。雨は降っていないのだが風が強いのとガスっぽいので全員雨具着用である。

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物見岩で 背景は八島ヶ原湿原

 写真は物見岩から八島ヶ原湿原を背景に撮ったもの。ちょうど大のブルーのカッパの肩越しに見える緑色の広場がキャンプ場である。
 けっこう遠そうに見えるが、40分ほどで来てしまった。景色はかなりスケール感があるのだが歩けば近いのがこの山の特徴と見た。
 こんな天候だというのに歩いている人はけっこういる。ただ、軽装のハイカーはさすがに少なく、みなそれなりのウエアで歩いている。

tyotyomiyama

物見岩から蝶々深山

 物見岩から蝶々深山(名前が良いなぁ・・・)まではものの20分ほどだった。相変わらず風は強い。
 蝶々深山の頂上はガスで見えなくなったりまた見えたりを繰り返していた。この写真では見えている。
 花のシーズンはまた格別なのだろうが、こういう「草っ原」という感じも好きである。
 前を歩くカミさんのカッパもこの冬の間に新調したゴアのカッパである。が、しばらくの間、「子供達のカッパのフードにはちゃんと庇が付いているのに、なんで私のにはないの?」とぶつぶつ不平を言っていた。何を言ってるんだろうと不思議だったのだが、どうやらカッパのフードは襟に収納したまま、その下に来ているパーカのフードを被っていたことに気づいていなかったらしい。このちょっと前にカミさんを見て「赤ずきんちゃんが婆ちゃんになったらこんな感じかね?」と感想を述べたらいたく心外なようだったが、気づいてなかったんだ・・・

kurumayama

車山頂上にて 強風!

 まあ元々出発した時間が遅かったし天気も悪いしで、そんなに歩くつもりはなかったのだけど、蝶々深山まで来てしまえば、やっぱ車山まで行かないわけにはいかないでしょう。というわけで、とりあえず車山にも登ってきた。蝶々深山から見ても頂上はガスで見えないし風は強いしで言っても仕方ないなとは思ったのだが・・・
 車山頂上は当然ガスの中だった。しかも凄い強風だった。大や生は普通に飛び上がっても着地するまでに身体が風に流されるので、面白がって飛び跳ねていたが・・・
 証拠写真だけ撮ってさっさと車山肩に下山開始。

 昼飯は最初から適当な山小屋で食べるつもりで用意していなかった。
 肩にはコロボックルヒュッテがあるので、そこで食べたかったのである。が、風に吹かれて降りてきたらコロボックルヒュッテはガスでよく見えず、とりあえず目に付いたドライブインに入ってしまった。食事の後裏手から出たらコロボックルヒュッテがあった。くっそう・・・

 コロボックルヒュッテからは沢渡経由でキャンプ場まで戻ってきた。結局、雨は降らなかったものの1日中カッパを着て行動した1日だった。

 翌日は最初から雨の予報だったし、まあ撤収するだけなら車も横付けしてあるし別にたいしたことはないよな、と考えつつ、とりあえずコーヒーを湧かして飲み、シュラフに入ってうつらうつら昼寝をしていたのだが・・・
 昼寝している間にカミさんがF氏宅に電話をかけてなにやら話していたのだが、急遽その日はF氏宅に泊まる、ということになってしまったらしい。へっ?今から撤収ですか???
 午後5時半になってからバタバタと撤収を始めたのであった。

 白樺湖の温泉で一風呂浴びて富士見町に車を走らせる。
 諏訪市の国道20号線まで出ずに八ヶ岳山麓をウロウロしながら直行する道もあるようなのだが、電話の案内ではさっぱり判らず、地図で道を拾いながら行くも、道を一つ曲がり損ねてしまい結局諏訪市に出てしまった。着いたのは夜の10時頃だったか。
 そのまま余った食糧を「宿泊費代わり」と全て開放し、酒を飲みつつ夜は更けていったのであった。

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生にまとわりつかれて迷惑そうなイブキ

 F氏宅には写真のバーニーとレトリーバー系の2匹の犬がいる。イブキ(伊吹)とクロベ(黒部)というらしい。
 このイブキは伸び上がれは私の肩まで届くし体重は50kgくらいあるしかなりの大型犬なのだが、写真のように生にまとわりつかれても嫌な顔ひとつしない(いや、かなり迷惑そうな顔はしているが)デキたやつである。
 こいつの甘え方はかなり派手で、とにかくこの大きな体をぐいぐいと押しつけてくるのである。挙げ句の果てに膝の上に座ろうとするのだが、お前のような巨大な体が膝の上に収まるわけなかろ??それでも本人は抱かれているつもりらしい。
 そんなこんなで翌朝も犬とじゃれていたりして、出発したのは昼前だった。(これでF氏宅の場所はもう判ったので、これから八ヶ岳にも来れるな)

 帰りは八ヶ岳山麓や白樺湖のあたりまでウロウロした挙げ句、再び諏訪市のモンベルショップに戻って大と生にクライミングをさせた。大がもう1回やりたいと言うので。富山にはないからなぁ・・・
 2回目は別ルートを最初目指したが歯が立たず、初回に登ったルートをもう1回やることになった。途中で腕がアガってきたらしく、かなり長い間粘っていたが登れず、一度降りてきて一休みしてリトライし、ようやく登れた。1時間くらい粘っていたのだが、それでも1トライ分の500円だった。
 確保の店員さんも初回と同じお姉さんで、嫌な顔一つせずに付き合ってくれました。ありがとう。
 生もやる気満々でやってはみたのだが、やはり初回と同じく数手しか登れず、兄貴が上まで登るのを見て自信喪失したらしい。「もう1回やってみる?」とお姉さんに聞かれても既にやる気をなくしてしまっていた。なんでも兄貴と同じモノが欲しく同じことをしたいのに、こうやって能力の差を見せつけられるといたくプライドを傷つけられるらしい。歳が4つも違う、ということはいくら説明しても理解できないようである。

 鎌ヶ池キャンプ場は、オートキャンプ場のくせに適度にワイルドでなかなか良かった。カミさんはサイト料が高いのがかなり気にくわない様子だが、周囲も散策から軽い1日コースまでいくらでも歩くコースが組めるし、景色はスケール感があるし(その割に歩くと近いけど)良いところだなぁ。実はかなり「ファミリー向き」だと思う。
 周囲に灯りがまったくないので、秋の夜などはかなり凄い星空が見れるのではないかという期待感が・・・

 

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