平成18年5月4〜5日 比良 蛇谷ヶ峰

 昨年の年末から今年の初頭にかけて、まるでこの職務に就いてからの7年間を総決算するかのような忙しさだ、と思ったら本当に総決算だったようで4月に異動になってしまった。
 仕事は、まあセクションが変わったとはいうものの、今までと本質的には変わらない仕事なので、慣れない仕事と言ってもまあたいしたことはないのだが、問題はなんせ通勤距離である。
 今までが楽しすぎていたのかもしれない。車で10分の距離だったから。それが4月から片道50km、車で1時間20分である。こいつはたまらん。
 ま、それに同じような仕事とは言ってもやはり慣れない仕事。あたふたとしているうちに4月はあっという間に過ぎていった。

 4月が過ぎれば5月。言わずとしれたGWである。家族サービスのためにも、はたまた自分自身のストレス解消のためにも、ここは目一杯遊ばねばならぬ。
 GWは、例によって滋賀県の実家に帰省することになるので、どこか幕営で山を歩きたい。さてさてどこに行こうか。

 ところで去年の秋から、ネットの友だちと合同ハイクや合同キャンプをするのがマイブームになっていたりするのだが、未だに合同していない大切な友だちがいたのであった。
 それは大阪のHさん一家で、2年ほど前に私のサイトを見てメールを頂いて以来のお付き合いである。
 その時はほとんど登山経験がないのにも拘わらず、雷鳥沢で幕営して立山登山をしたいのだけど・・・という用件で、春先に最初のメールを頂いて以来、揃える道具とかトレーニングのこととかあれこれアドバイスをし、天候に恵まれたこともあって無事雷鳥沢ベースキャンプで立山三山縦走を達成されたのだった。その時のアドバイスの内容などが、結局「山登りを始める人に」の「初心者なのに家族でテント泊山行をしたい!」になったわけである。そういうメールはHさんだけでなく、他にも数家族あったりして、それぞれ無事目標を達成している。

 で、Hさん一家とは、2年続けて立山登山の前夜に我が家に遊びに来ていただいたりと、友だちづきあいをさせていただいているのだが、思い立って連休直前だしもう予定があるかなと思いながらも連絡を取ってみたらば、5/3から安曇川でキャンプしているというので、それなら合流させてくださいというわけで、1日遅れて5/4に合流し、そのまま一緒に蛇谷ヶ峰に登って合同キャンプ、という計画が30分ほどの間に数通のメールのやりとりを経て決まった。

 さて当日の5月4日。
 大津の実家を早朝に出発し、安曇川キャンプ場を目指す。実はこのキャンプ場、正式名称を何というのか知らないのだが・・・近くに朽木村オートキャンプ場というのはあるのだが、それではなく大野橋近くの安曇川の河原にあるキャンプ場である。別に予約も必要なく、早い者勝ちで場所を取っているようなキャンプ場だというので、我が家のサイトのスペースはHさんにお願いした。大人1人300円、子供100円と北アルプスの幕営料より安い。
 着いてみたらば、河原にびっしりテント村。見つかるかな・・・?携帯でHさんに電話をかけ、誘導してもらって合流を果たした。

 さて、合流したら場所は確保してあるのでとりあえず蛇谷ヶ峰登山である。コースタイムは登り2時間半の下り2時間。まあ軽い半日コースである。

林道にて

蛇谷ヶ峰に向けて出発!

 我が家4人にHさん一家4人、それにTOMOちゃん(Hさんの長女)の友だちのKAOちゃんという総勢9人のパーティーである。
 ちなみにHさん一家は、上のTOMOちゃんはうちの大と1つ違い、下のYUTAはうちの生と同じ歳と、子供の歳がごく近い。

 蛇谷ヶ峰へは朽木大野からしばらく林道を歩く。
 その林道で長い木の枝を拾い、意気揚々と持ち歩くYUTAであった。

 


 

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この長い木の枝を上まで担いで行くんだってさ・・・

 この長い枝、生とYUTAが2人で頂上まで担ぎ上げるそうである。
 最初は「バカなことやめろよ〜」と窘めていたのだが、だんだん登りがきつくなってきて、大見得を切ったことを子供達が後悔し始めた頃には、「ここまで来てやめちゃうのは根性が無いなぁ」などとプレッシャーをかけ始める親であった。

 


 蛇谷ヶ峰への道は、小ピークが多く「もう頂上かな」と思ったらまだまだ先があって、というのが続き、2時間半という朝飯前のコースタイムの割にはきつかった。
 この私、実は昨年秋に禁煙して以来、またジャバ化が進行してしまったので、それもきつく感じる原因の1つだったろう。
 また、私の腕時計のバッテリーがなくなってしまい、時計は生きているものの高度計がお休みになってしまった。なので現在の標高が判らず、残り行程の目安が判らないのも、きつく感じる原因の1つだったと。(地図読みはいい加減だったしぃ)
 ちなみにHさんのスントがあったのだが、キャリブレーションをしていないので正確な標高は判らなかった。一度「650m」という標高表示を見たときは、まだ250mも登らねばならない現実から目を背けたくて、「うんうん、Hさんの高度計はキャリブレーションしてないし」と高度計が狂っていることにしてしまった私だったが、いくらキャリブレーションしてないからって100mも狂っているわけがないだろう。
 結局、この650mという表示はかなり正確だったことを後になって思い知らされるわけである。

 しかしきくつ感じた最大の原因、それはこのコースを歩いたことがあるというHさんの、「もうすぐ頂上だよ。うんうん、記憶がある。」という数度にわたる嘘八百であったことは間違いがなかろう。頼まれもしないのに大見得を切って長い木の枝を担いで歩いている生とYUTAの小学2年生コンビは、何度もHさんの「この上が頂上だから」の言葉に騙され、いい加減疲れて木の枝を捨てたがっていた。
 が、「ここまで来て捨てるなんてなぁ」などと誰かさん(俺か!)にプレッシャーを掛けられて頑張って担いでいたわけであるが、何度もHさんの偽頂上に騙された彼らの気力は限界に近づいていた。
 「今後こそ頂上だよ!これがもし嘘だったらその木の枝は僕が持ってあげるから」とまで言ったHさんの「次が頂上宣言」は虚しく破れてしまい(つまりまた嘘だった)、Hさんは小学2年生に「ほら、これ持たれ」と富山弁で木の枝を押しつけられてしまったのであった。
 そんなわけで最後の登りは、Hさんと巻き添えを食った私が木の枝を担ぎ、ようやく頂上に達したわけであった。

 

蛇谷ヶ峰山頂にて

蛇谷ヶ峰頂上にて

 頂上での全員集合。
 こんな大きな木の枝を小2コンビが頂上直下まで担ぎ上げたんだよ〜。

 左から生、KAOちゃん、Hさんの奥さんのY子さん(美女である)、YUTA、Hさん、私(ジャバである)、カミさん、TOMOちゃん(将来の美女である)、大である。


 高校時代に比良はさんざん歩いた私だが、蛇谷ヶ峰は比良の外れにあり、当時は朽木村からの登山道もなく登りにくい山だったこともあって高校卒業間際と大学に入ってからの2回しか登ったことがない。それも高校の時は積雪期だったし大学の時は沢登りの通過点に過ぎなかったので、頂上の記憶はほとんどない。
 ここから見る武奈ヶ岳は、けっこう遠く高く見える。今から武奈まで縦走、なんて状況だったら「うへぇ」と思うくらい。

 さて、頂上で昼食を取り(我が家は恒例になりつつあるホットドッグ)、さくさくと下山。

ちびっこパーティー

下山するちびっこパーティー

 我が家とH家の子供達はもうすっかり山慣れた感じで、下山の時は子供達4人が一団となってどんどん先行してしまった。一応見えなくなるほどは離れるなとは言っておいたのだが。
 TOMOちゃんと友だちのKAOちゃんは、さすがにこのペースにはついていけず(靴だって滑りやすい運動靴だし)、少し遅れて大人達と一緒にゆっくりと下りていくのだった。

 この登山道、道が落ち葉に埋もれてしまっていてけっこう判りにくいところもあったのだが、意外に間違えずに先行するちびっ子パーティーであった。

 


 キャンプ場に帰り着いたら、Hさんのテントの横に我が家のテントも設営し、時間にもたっぷり余裕があるのでゆったりとした時間を過ごした。
 子供達は山歩きの疲れも見せず、河原を走り回って遊んでいた。

 

木登り

お約束の木登り

 木があれば登りたがるのがバカと煙と子供である。
 この写真はKAOちゃんにカメラを貸していていたので彼女が撮っていた。私は現場を見ていなかったのだがけっこう高いところまで登っていたりする。
 左下に生が飛び降りているところが写っていることに、今初めて気づいた。

 KAOちゃんはお父さんがカメラマニアらしく、彼女もカメラを扱い慣れていてデジタル一眼レフを渡したらけっこう良い写真を何枚も撮ってきた。この写真だって縦位置で、しかも斜めに構図をとっているものな。

 


 木登りだけでなく、川遊びやらなんやら、子供達はもうやりたい放題である。

 

テントサイト

ビール飲みながら夕食の準備♪

 大人達はのんびりと夕食の支度である。

 この写真を見て、「・・・ちょっとは絞らないと」と危機感を新たにした私であった。

 


 オートキャンプ場なので、周囲は巨大なテントばかりである。
 この巨大テントがうちの息子達にはバカウケで(そりゃ登山用の小さなテントしか知らないし)、「広〜い!」とやたら感激しておった。
 このキャンプ場の中にステラリッジ4、はっきりいって場違いも甚だしい。ま、ステラ1も1張りだけ見かけたが。
 大きなタープやその下のテーブルなども全てHさんの装備である。オートキャンプするとこういう道具も欲しいな、と思うのだが・・・
 でも、もっと凄い道具立てのサイト、例えばフレーム付きのシェードの中にほとんどシステムキッチンみたいなセットを組んでいたりするのを見ても、あまり羨ましくはないな。家と変わらないぞ、それじゃ。というか家のキッチンより使いやすかったらどうするんだ。

 

食事だ!

夕食♪

 この夕食のメニューは、焼き鳥にビーフシチューでした。美味かった・・・

 

 

 


 夕食が終わって暗くなっても、大人達は外で尽きない話をしていたのだが、子供達はHさんの巨大テント(普通のキャンプ用テントです・・・)の中で「目隠し鬼」をして遊んでいた。かなり盛り上がっていたようで、時たまテントが倒れそうなくらいきしんだりしていた。

 ぐっすり眠って翌朝。
 今日は1日かけて撤収すれば良い、という気楽な1日である。

 子供達はさっそく川遊び。そりゃもう大なんて、用もないのに川の中に腹這いになってまで全身濡れ鼠になりたいらしい。

 

川遊び

本気になって子供と遊ぶカミさん

 子供達と楽しく遊ぶカミさんである。
 実際の話、どちらが「遊んでやっている」のかは不明である。

 


 少しずつ片づけなんぞをしつつ、お茶を飲んだり昼寝したりして過ごしていた。

 

昼寝タイム

タープの下で昼寝♪

 うちはテントを撤収してからタープを張る、という一見不可解なことをしていたのだが、このタープの下での昼寝が極楽なのである。

 


 さて、名残惜しいがもう午後の3時、最後の道具も車に積み込まれて(荷物が少ない我が家はもっと早かったが)、いよいよ楽しかったキャンプもお開きである。

 

へびを捕まえた!

ヘビと一緒に記念撮影

 という最後の最後に大がまたヘビを捕まえてきたので、それでまた子供達が盛り上がってしまったりしていた。
 ヘビも災難であった。子供達にいじられて生きた心地がしなかったことだろう・・・

 


 Hさん一家とお別れをして、近くの温泉で風呂にでも入っていこうかという話もあったのだが(Hさん達も温泉に行く様子だったし)、実は昨夜から実家の私の母に電話が繋がらなくなっていた。
 もしや倒れたりしているんじゃなかろーな、と都合良くキャンプが終わってからちょっと心配になってきた私達夫婦は、まあ家まで1時間ほどだし、帰って家で風呂に入った方が早いや、ととりあえず帰ることにしたのであった。
 結局母はなんのことはない、友だちの別荘に急に遊びに行っていただけで(電話くらいしろよ)、心配しただけ損だったのだが。

 というわけでHさん一家との合同ハイク&合同キャンプは、たいへんたいへん楽しかったのであった。息子どもも楽しかったらしい。そりゃああれだけ遊べれば楽しいよなぁ・・・

 というわけでやはり次は「ぜひ今度は立山で」というわけなんである。
 実は去年もそう言っていたのだが、私が薬師見平に行ってしまったため反故にしてしまったのだった。
 今年は日程が合うと良いな。

 

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