Yahooオークション 山道具の傾向と対策

 ヤフオクは面白い。
 始めたきっかけはデジカメを安く買おうとしたことが最初だったのだが、やってみるとオークションそのものが面白くなってしまい「凝り性のB型」全開である。オークションを始めてからの1年半で売り上げは35万を越えた。ただし買った方も30万を軽く突破しているので、手元には常にほとんど残っていない。
 山道具ばかり売り買いしているわけではないのだが、なんせ山道具はまともに買うとかなり辛いので、オークションで安く買える(かもしれない)のはありがたい限りである。
 元々安いしその割に造りは良いし、何より国産品で関西のメーカー、ということで昔からモンベルが好きなのだが、オークションでウォッチしているうちに「こ・・これはもっと詳しくならなければ、この玉石混合の世界を泳ぎ切ることはできないっ!」と奮起し、75年創業以来のモンベルのカタログをあらかた集めてしまった。(これもオークションで)

 モンベルは安いメーカーだと思う。というか機能と比較して納得できる価格というか、実際に使い倒せる値段。冬山用のアウターなんか、学生時代はカッパの裏のゴム引きを引き裂いたのを使っていたし、それもザイルで擦れたり岩で擦ったりでシーズンに2着くらいはダメにしていた。そういう感覚で見るとノースフェイスやパタゴニアの5万円のアウター、実際には恐ろしくて使えないよぅ。ま、モンベルの3万円でも使えないかも、だけど。
 ま、それはともかく、現実には「アウトドアの香り漂うタウンウエアブランド」と化した感のあるノースフェイスやパタゴニア(・・・3万円のフリースだとぅ!?)に対し、モンベルは実際にフィールドで使い倒せる道具として適正な品質と価格が設定されている、と思う。
 だが、ヤフオクではそのような感覚が通用しない。まあ人がその道具にどういう思い入れを持って売ったり買ったりしているかなんてことはどうでもいいのだが、困った問題として「競り落とせない」のである。とんでもない値段が付いてしまうのである。売り手が何か勘違いをしていて不当に高い開始価格を付けているモノは無視すれば済む話なのだが、入札に次ぐ入札で値段が遙か雲の上まで上がってしまうのは辛い。・・・ま、売り手の時には意外な高価格が付いて嬉しかったりすることも多々あるが。
 以下、モンベル製品を中心として、それぞれの山道具のオークションにおける傾向と対策を述べたい。

アウタージャケット、ダウンジャケット

 いわゆる冬山用のジャケットである。
 モンベルで昔々ヒットしたスーパードリューパーカというのがあった。最初のモデルは表地が防水透湿性を持ったエントラントで、中綿に薄くシンサレートを入れていたのが当時画期的だった。高校時代に同級生が買って、冬の比良あたりで得意気に着ていた。すんごい羨ましかった。
 このドリューの系統はモデルチェンジの度にかなり大きく変わっている。表の防水透湿性素材はウィックコート、ゴアテックス、ドライテックとモンベル手持ちの素材はあらかた投入され、現行モデルは中綿のないゴアテックスの、ポケットが多い汎用的な冬山用ジャケットとなっている。
 この「防水透湿性素材+シンサレート中綿」というコンセプトは、84年に登場したドロワットパーカが一貫している。
 実際に冬山に使うことを考えた場合は保温性はレイヤードで調節すればいいし、ポケットが多かったり使い勝手が良かったりするドリューやディナリジャケットあたりの方が良いかなぁと思ったりもするが、どうもこのドロワットパーカがモンベル製のアウターの中では一番人気らしい。明らかに他のモデルとは値動きが違う。10年前のモデルでも1万円オーバーは普通である。

 ちょっと問題なのは、売り手も買い手もそもそもモンベルのこの手のモデルの価格を知らないのじゃないか、と思える点である。
 現行のアウターで一番高いのがストリームジャケットとディナリジャケットの3万5千円で、ほとんどのモデルは3万円を切っているし、この10年くらいモンベルのアウターはその価格帯なのだが、オークションの説明に「数年前に4万円近くで購入しました」とか書いてるのがけっこうある。調べてみると8年前のモデルで当時の定価は2万8千円だったりする。

 まあこのあたりは自分に本気で買う気がないのでまだ他人事で済むけど。
 とはいうものの、高校からの積年の恨みで現行型のドロワットパーカを衝動買いしてしまった。現在、最強の雪かきウエアとして活躍している。
 この手のウエアは、古いモノほど割高感が高い値動きになるので、いっそ新品を安く出しているのを狙った方がよいみたい。
 また、中古だとゴアのメンプレンが剥離しているものが出品されていたりするので油断がならない。出す方は山をやっているわけではなく、単にファッションとして着ていた古着を出しているつもりだったりするので、ゴアのウエアの手入れに対する知識がない場合が多い。普通の洗剤で洗濯機でガーッと洗って「出品する前にちゃんと洗濯もしています」とか書いていたりすると「や、やめて〜!」と言いたくなる。
 ゴアの剥離を写真で見せて「ちょっとシワになっていますが実用には支障ないと思います」なんて書いているのはまだ良い方で(大ありなんだけど)、買ったのが来てみて初めて判る場合もある。売り手に悪意がない場合がほとんどなので(単に知識がない)強いことも言えない。
 この時は、ちゃんと剥離している部分の写真を載せて「この部分、ゴアが剥離しています」と書いた上ですかさず出品した。そしたら安いアウターを買い漁っては毎年2着は着潰しているというバリバリの山屋さんが買ってくれた。(買った時より高く売れてしまった・・)

 ダウンジャケットは他人事ではなかった。
 今年の冬にダウンジャケットが1着欲しくてずっとオークションを監視していたのだが、とにかく値動きが高い。モンベル以外のノースフェイスやマムート、ムーンストーンなんてメーカーのは定価そのものがバカ高いのでオークションに出てくる品もとても手が届かない。ので狙いは好むと好まざるとに拘わらず、必然的にモンベルが中心になってしまう。(好んでいるのだが)
 モンベルのダウンジャケットは「ゴアドライロフトダウンジャケット」、「ベンティスカジャケット」、「アルパインダウンジャケット」、「ローガンダウンジャケット」の4種あるが(インナー用のダウンは除く)、一番数が出てくるのはベンティスカである。
 ベンティスカとゴアドライロフトは外見はほとんど同じで、違いは表地にゴアドライロフトを使っているかいないかとダウン量の違いくらいである。ゴアドライロフトダウンジャケットを買った友人がいたのだが、富山の冬程度の気温では暑くてとても着れない、と言っていた。そりゃ〜、エベレストの頂上に着ていくやつだからなぁ。まあその点はベンティスカも似たようなものなのだが、ダウン量が少ない分、まだ快適である。これ着ていれば富山の冬で雪の夜でもビバークできるな、と思う。(カミさんに家を追い出された時とか?)

 このベンティスカ、96年に出て以来、一度もモデルチェンジをしておらず、定価は16000円から18000円あたりを行ったり来たりしている。(モンベルは毎年1000円単位で頻繁に定価改定をするメーカー) ちなみに現行の定価は16800円である。
 こいつが17000円で落札されてしまうんだ、これが。自分が買おうとするものの定価くらい調べてから入札しないのか??
 まあ、そこまでいかなくても13000円はだいたい突破するので、中古にそこまで出すくらいなら素直に新品買うよ、と思う。モンベルクラブの会員なのでポイントも付くし。
 結局粘りに粘った挙げ句、ようやく8000円でゲットできた。売り手の話から推察すると96年に出たばかりの頃のものらしい(そこまで詳しく教えてくれない売り手も多い)。
 余談だが、来た現物を見て驚いたのは品質表示のタグに「P.T.F.E.ラミネート加工」と記載されていたことだった。え?これってゴアドライロフトのことじゃないの?ゴアテックス社の素材は、ゴアテックスもゴアウインドストッパーもゴアドライロフトも、全てPTFEラミネートなのである。でもどう見ても現物はただの薄いナイロン地である。モンベルに問い合わせてみたら、初期の頃のミスプリだろうということだった。今までに3例確認しているそうだ。レアものなのでちょっと嬉しい。

 ダウンジャケットではアルパインダウンジャケットもたまに出ている。これは去年モデルチェンジして現行の型になった。その前はリバーシブル仕様だったのだが、いずれにしても定価は13800円とか14800円あたりである。これもオークションでは3年前のモデルが1万円を突破したりして、かなり手が出しづらい。定価が安いものほど値動きが高くなって手が出しづらくなる傾向にある。
 またダウンでない化繊中綿のサーマラップジャケットなんかが「ダウンジャケットです」なんて出品されていたりするので油断がならない。

 ヤフオクのカテゴリーは、アウターもダウンジャケットもフリースもTシャツも、全て「アウトドアウエア」というカテゴリーになってしまうので、カテゴリーあたりの出品数があまりにも膨大すぎて丹念に1つずつ捜すのはほぼ不可能である。検索で引っかけるしかないのだが、検索する際はカテゴリー内ではなく、トップからかけた方が良い。
 売り手が何も知らずに、「mont-bellとかいうよく知らないメーカーのものです」なんて書いてアパレルのカテゴリーに出していたりするのも引っかけることができる。そういうのは競争率が低いので、まだ安い値段で落札できる可能性が高い。

テント

 テントは「スポーツ・レジャー>アウトドア>テント・タープ」のカテゴリーなのだが、ここほど玉石混合なカテゴリーも珍しい。
 テントと一口に言っても山岳用のテント、ツーリングテント、キャンプ用テント、子供用のオモチャテント、学校運動会などに使うテント、これらがいっしょくたに1つのカテゴリーに出品されているのである。ちなみに山岳用テントは「登山用品」のカテゴリーに出品されている場合もある。
 ほんとに玉石混合なのはキャンプ用テントである。まあ元々キャンプ用テントってコールマンの4万円のテントとスーパースポーツゼビオオリジナルの1万5千円のテントの違いって、実際に寝てみてもさっぱり判らないほど、あまり値付の適正感に乏しい分野なのだが。
 それにしても、カーマの隅っこの「アウトドアフェア」で3980円で叩き売りされているテントが堂々と6000円で出品されていたりするあたり、なかなか油断がならない世界である。

 まあ、キャンプ用テントは重いし背が高くて耐風性が最弱なので元々眼中にないのだが、山で使えるテントとなると、これはけっこう難しい。
 よく出ているのはモンベルのムーンライトシリーズである。一番多いのはムーンライトTで、次にVとX、Zがちらほら。Uは滅多に出ない。
 ステラリッジシリーズもたまに出るが、いずれにしろモンベルは業者でない一般人が中古で手放すのがほとんど全てである。モンベルのウエアの場合、業者が新品を安く出しているのが多いのとは対照的である。どういう流通ルートになっているんだろう。
 ステラとムーンライトはかなり傾向が異なり、ステラは買ってはみたものの、ほとんど使わずに新品同様で手放す、というパターンが多い。当然、開始価格もされなりだし値動きも激しいが、それでも新品よりは確実に安く買えるので狙い目である。私もまったく未使用のステラ4をヤフオクでゲットした。グランドシートも付いていて、定価だと5万円を越えてしまうが、それが4万円以下で手に入った。良い買い物だったぁ。

 ムーンライトはちょっと難しい。バリバリに使い倒した中古が多いのである。写真と説明文で程度を見極めるのがやや難しいし、値動きはそうやって推測したモノの程度とはほぼ無関係に動くので、狙ったモノを落とすのは困難である。
 しかも高い。ムーンライトTは定価で21000円ほどなのだが、10年前のモデルでも16000円くらいまでいってしまうことも珍しくない。
 ムーンライトシリーズって20年以上前に出ているのだが、それ以来ほとんど外見が変わっていないので、オークションの説明文や写真で年式を判断するのが難しいのである。10年ほど前のモデルチェンジで、ポールバッグがメインバッグの中に収納できるようになった。つまり、明らかにポールバッグがメインバッグの中に入らない、と判断できる出品物は10年以上前のモノ、というくらいしか客観的に判断できる材料がない。
 年式が新しくて綺麗なら16000円出すか?と聞かれれば、まあ出す人がいるから落札されるのだが、私だったら新品を買う。
 まあ、ムーンライトTなら、常時5つ6つは出ているので、全部ウォッチリストに入れて値動きを見ながら安く落とせる時にすかさず落とすしかない、かと思う。私がムーンライトTをゲットした時もそうした。12000円で落札した。年式はちょっと古いので、私の感覚だとちょっと高めなのだが、それでも現物は年式の割には程度が良かったので辛うじて許容範囲である。

 アライテントは業者が出しているのばかりで、中古の出品物をほとんど見ない。それもあまり安くない。手数料や送料を含めると定価とそれほど変わらないくらいの値段である。出品されているのはよく見るが、落札されたのを見た記憶がほとんどない。
 エスパースも見ない。これはヤフオクを始めた1年半の間に1つ見ただけである。

 曲者はダンロップ。
 新しいVシリーズやVLシリーズはほとんど出ないのだが、むっちゃ古いモデルが中古でわりと良く出てくる。オレンジのインナーに青のフライシートの、写真を見た瞬間に20年前にタイムスリップしてしまいそうなあれである。昔から山に登っている人は写真を見た瞬間に「欲しいっ!!」って思うこと請け合いである。
 そう思う人は多いんだろうな。とんでもない値段が付く。20年前のテントだぞ。2万円を越えてしまうこともしょっちゅうなんである。信じられない。
 まあ気持ちは判る。私も欲しいもの。現代の基準では少し重いかもしれないが、あの分厚い生地が安心感を生むのである。フライはフルフライではないので雨が降れば両サイドに寝ている人はズブ濡れになるのだが、そんなことは問題ではないのである。あのオレンジの布の下にいるだけで、外が嵐だろうが吹雪だろうがスヤスヤと安らかに眠れそうな気がするのである。そういう人がたくさんいるから、ああいう値段になってしまうんだろうな。

 全体的に山岳用テントは値動きが高いので、ツーリングテントを狙うのも良いかもしれない。ただし、一口に「ツーリングテント」と言っても、1人用で3kgを越えてしまうようなものもあるので、スペックはよく確認した方がいいだろう。
 ダンロップのちょっと古い型の、「くさび型」の1〜2人用のテントはよく出ている。ムーンライトTのパクリっぽい形のものである。これも比較的高値で動いているが、1万円以下で落とせる場合も多々ある。(私は結局手を出していない)

ピッケル、パイル、ハンマー

 ちょっと手を出しにくい分野である。
 「登山用具」のカテゴリーに出品されているのだが、パイルやハンマーは恐ろしく古いのがほとんどで、それも「中古度」から考えれば異様に高い値段で動いている。まあ、最近登山用具店で見かけるハンマーやパイルは、正直よく判らなくて「今のクライミングって、俺の知っているクライミングとはかけ離れたものになってしまったのだろうか」と淋しくなるのだが、ヤフオクに出てくるのは見慣れたものばかりなので、ほっとする。で、ついつい頑張ってしまうんだろうな、みんな。まあ私も20年前ですら6000円ほどだったハンマーを2000円で売ったのだが。沢と雪渓用にスピッツェの付いたハンマー(パイル)が欲しいのだが、なかなか値段との折り合いが付かない。そのうち好日山荘で新品を衝動買いしそうである。

 ピッケルはもっと奇々怪々である。
 おそらくアンティーク趣味の人が飾りとして買うのだろうが、大昔のウッドシャフトのピッケルがもの凄い値段で落札されていく。門田とかスチュバイとか、メーカー名を見ただけで遠い目になってしまいそうな。中にはメーカーも年式もまったく判らないものが出ていたりするが、それでも古いウッドシャフトのピッケルというだけで1万とか2万なんて値段で落札されている。
 あの高校時代に輸入試供品の余りを買った、日本でただ1本のファダースを今持っていれば・・・新品のピッケルが2本買えるくらいの金になっていたろうに・・・悔しい。大学の部室に置きっぱなしにしてしまった。
 大学時代はシモンを好んで使っていて3本ほど買っていた。冬の滝谷で落としてしまったり電車に忘れたりで残っていたのは1本だけだったのだが、それを去年ヤフオクで売ってしまった。別にピッケルを使う山をやるわけでもないのだが、ないと妙に淋しい
 で、しばらくヤフオクで捜していたのだが、出てくるのは異様な高値の使えもしないウッドシャフトばかり。たまに現役モデルが出てくるとカジタックスばかりだった。カジタックスは嫌いなんである。
 高校時代にカジタックスが驚異的な軽さと驚異的な安さで登場したのだが、なんかその頃「貧乏人はカジタックスを買え!」みたいなムードがあって嫌だったのである。ま、貧乏人だったのだが。また、一時異様なほど売れて、誰も彼もがカジタックスを持って山を歩いていた。混雑する5月の剣沢のテント場などでテントの横にいい加減に転がしておくと、何が誰のカジタックスか判らなくなったりして。「人と同じなのが嫌」なB型なのでそれも嫌だった。

シュラフ

 ナンガやイスカのシュラフは業者が新品をよく出している。ただ、これも定価が高いので開始価格が当然高く、あまり動いていない。
 モンベルも新品が比較的良く出ているが、こちらは業者ではなく個人が「買ったけど使わない」と出す場合が多い傾向にある。
 モンベルの他の製品の例に漏れず、シュラフも値動きがヘンである。売り手も買い手も値段、知らないの?と思う。新品定価より高い値段で落札されたケースを数回見た。モンベルって安いんだよ。夏のアルプスくらいに使える化繊の#4あたりだったら、定価で1万円ちょっとなんだよ。なんで11000円までいっちゃうの??
 スーパーストレッチでない古い型のモデルでも、平気で8000円近くまでいってしまうので、とても手が出せない。

 シュラフもディスカウントショップで1980円で売ってるものが2000円で出ていたりするので、なかなか油断がならない分野であるが、それでもサウスフィールドは比較的狙い目かもしれない。
 どういう流通になっているのか、サウスフィールドの中綿量300gのダウンシュラフがよく出てくる。ダウン量300gといえば、モンベルでいえば#4である。モンベルのダウン#4は定価17500円、快適睡眠温度は−1℃、仕様限界温度は−11℃となっている。まあサウスフィールドのは同じダウン量でも、使っているダウンの質は確実に落ちるだろうし、ネック周りの絞り方とかがおおらかな造りなので、同じダウン量のモンベル製品よりは確実に寒いだろうが、それでもまともに使えるダウンシュラフが6000円前後でゲットできるのは魅力である。私は2つゲットした。正月の年越しキャンプで使った時は、外気温は氷点近かったが私は普通に寝れた。カミさんは寒いと言っていたが眠れないほどではなかった。
 ま、寒さの感じ方は個人差があるし(私は腹周りに脂肪をたくさん巻いているから寒くないと言う説がある)、寝る方法にもコツがあってペラペラのシュラフで冬山に行っていた私は、多少シュラフが薄かろうが「羽毛に包まれているだけで幸せ」なのだが。
 ダウンシュラフの利点は実は「暖かい」ことではない「同じ暖かさなら圧倒的に小さく軽い」ことなのである。濡れには弱いし、実は山で使うには扱いはけっこう神経を使うことも多い。なので、夏のアルプス程度に使うのであれば、ほんとはモンベルの化繊の#4(10800円)か#3(11500円)あたりを新品で買うのが実は一番賢い選択だと思う。とはいうものの、やっぱり小さくパッキングできるのは魅力。まして家族登山だとカミさんや息子共はボッカとしてはほとんど戦力計算できないので、結局4人分の幕営荷物のほとんどは私が担ぐのである。ので、ここはやっぱり腐ってもダウンである。

 このサウスフィールドのダウンシュラフ、いろいろな出品者からけっこう頻繁に出品されている。「サウスフィールド」というメーカー名は書かれていないことが多いので、検索一発で引っかけるわけにはいかず、「寝袋、寝具」のカテゴリーを丹念に捜す必要があるが、それなりに良い買い物ができる、と思う。

靴、ザイル、ハーネス

 これらはオークションで買うべきではないでしょう。
 ザイルやハーネスなどの登攀具は、安全性の問題から、靴は足に合うかどうか判らないから。靴はメーカーの通販も難しい、と思う。メーカー通販の場合はサイズが合わなかった場合の返品も受け付けてくれるが、それでもその手間ヒマを考えたらショップに行って数時間かけて選んだ方が早い。
 ましてやヤフオクで「ノークレーム、ノーリターンでお願いします」なんて書かれていると、「誰が買うか!」と思ってしまう。
 靴に限らず、私はこの「ノークレーム、ノーリターンでお願いします」という言葉が大嫌いである。私が売る時は、モノの状態はできるだけ丁寧に写真と文章で説明して、それで判断できなかった不具合がもしあれば返品にも応じる、というスタンスで出品している(実際にそういうトラブルは経験していない)。
 そういうことって知らない人同士がモノと金をやりとりする時の基本だと思うんだが?
 私が買う時は、とりあえず「ノークレーム、ノーリターンでお願いします」と書かれているものと「落札手数料の負担」を落札者に負わせているものには入札しないことにしている。

 なんにしても、山道具のオークションは相手も山に登っている人なので、モノの売り買いと同時に友達になれたりして、それが楽しい。取引が終わった後もメールをやりとりして「どこ行った」とか話している人は何人かいたりする。

 

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