パタゴニア
トレントシェル・プルオーバー
パタゴニア メンズ・トレントシェル・プルオーバー (#83930) H2No 2.5レイヤー 50デニールナイロン |
今年の春のパタゴニアカタログの紹介で「自転車用に買おうかな」と言っていたトレントシェル・プルオーバーを買った。シーズンが過ぎて好日山荘のクリアランスセールで2割引になっていたのだ。それにしてもパタゴニアもずいぶんと値付けが安くなってきた、と思う。
今回は自転車用ということを念頭に置いて選んだので、とにかくまずは軽いことが最優先である。トレントシェル・プルオーバーは286gである。まあこの価格で300gを切っていれば文句の付けようがない。
軽量化の代償としてプルオーバー、すなわちフロントジッパーはフルレングスではないのだが、これも自転車用途なら問題ない。チャリに乗ってフロントジッパーをフルオープンにすることなどないからである。山でも雨中でフロントをフルオープンすること必要は薄いので、軽量化の代償として受け入れることは十分可能な仕様だろう。
それにフルレングスのジッパーは、前傾姿勢が強いロードチャリではちょっと邪魔かな、という懸念もあるので、今回はむしろプルオーバー歓迎、である。
それともうひとつ。
ポケッタブル、すなわちスタッフバッグに収納するのではなく、ポケットの中に収納できる仕様には今回は拘った。超軽量ウエアは一般的にポケット類が少ないため、着ているときにスタッフバッグの扱いに困るのだ。ポケッタブルならスタッフバッグがないので数少ないポケットを使わずにすむ。
というわけで、少し真剣に考えてみたが、価格も安いことだし(クリアランスでさらに安くなっていたし)仕様の条件も満たしているし、購入したわけである。
トレントシェル・プルオーバー
フロントジッパーはけっこう長く、鳩尾のあたりまである。換気や温度調節に最低限の長さと言って良い。
ジッパーは止水ジッパーではなく、フラップが付く。
そのフラップも二重になったダブルフラップではなく、シンプルなシングルフラップである。ただしジッパーの内側にもかなり大きなインナーフラップが付けられている。
袖口にもベルクロなどで調節できるシステムは採用されておらず、単純なゴムで軽く絞るだけの仕様である。
ウエア外側にはポケットは付けられておらず、左胸のジッパー内側にポケットが1つ付けられているだけというシンプルな造りである。
その内ポケットにウエアを裏返しながら収納するようになっている。
収納した様子が下写真だが、思ったより収納サイズは大きかった。ウエストバッグにはもちろん十分入るが。ポケットの大きさは余裕があるので、もう少し絞りたいところなのだが・・・まあポケットをこれ以上小さくするわけにもいかないか。
それより気になるのは、写真に写っている反対側はH2Noの防水生地面なのである。2.5レイヤーなので、これはちょっと気に入らない。ここはウエアの表面なのでどうしようもないのだが。
トレントシェルはそもそも、パタゴニアのラインアップの中ではバリバリのテクニカルウエアではなく、街着も意識した少しゆるいウエアである。なので防水性もそれほど躍起になって向上を図っている、というムードではない。わりとあっさりした造りに見える。
でも、少しロングテールデザインになっていたりするあたり、チャリ用途を念頭に開発されているわけではないのだろうが、チャリ用途を念頭に見た場合、けっこうツボにはまった造りになっていたりするのだ。ロードチャリで強い前傾姿勢をとっても腰は出ない。いいな。
フラップの造りは最初「?」と思ったが、よく考えるとプルオーバーだとこれしかないわ。
ダブルフラップは内側のフラップを少し折り返して「雨樋」の役割をさせるのがオーソドックスな仕様だが、プルオーバーだと雨樋を伝って落ちてきた水は、結局ジッパーエンドからウエア内に進入してしまうではないか。同じ2枚フラップなら、ジッパー内側に配置した方がまだマシというものだろう。
価格が安いためか軽量化を優先したためか、はたまたデザインを優先させたためか、技術的に難しいところはシームテープも省略されている。フード先端とかインナーフラップの取り付け部分、裾などのあまり大きく影響はしないところばかりではあるが、モンベルの主力モデルのような偏執狂的なまでに防水性に拘った仕様ではない。
でも、それもまあチャリ用途なので問題ないのである。完全防水なんて最初から期待していないし、それより軽くてコンパクトな方が大事だもの。
でも、山にも使えそうだけどね。北アの主稜線の縦走だったらモンベルの主力モデルか、パタゴニアでももっと他のモデルを選んだ方が無難だとは思うが、軽いと言うだけで敢えて選択する理由はある。今持っているパンツ(モンベルのバーサライトパンツ)と組み合わせれば、上下で460gという軽さ。
フードは相変わらずパタゴニアらしく良い。
調節ポイントは顔周囲と頭周囲の2方向だけだが、フードがコンパクト(ヘルメットの使用を前提としていない)ためか、調節した際のフィット感は抜群である。後ろを振り向いてもフードが完全に付いてくる。これならチャリに乗ってフードを被っても後方確認が可能だ。ヘルメットはフードの上から被るか。
このウエア、もう少し薄い生地で軽く(200g代前半)、またパタゴニアお得意の溶着で作ってくれないかな。作ってくれたら価格が倍でも欲しいぞ。