1〜2用テントの比較検討

 ムーンライトテント1は非常に良いテントで気に入っていたのだが、長男と2人で泊まったときはさすがに狭かった。そこで軽量な2人用のテントが欲しくなったのだが、そうなるとムーンライト1はまず出番がなくなるのは必至と思えたのでヤフオクで売り払ってしまい、新たに1〜2人用のテントを購入することにした。
 で、どこのテントを買おうか非常に楽しく迷っていたわけであるが・・・

 まずこの時点でムーンライトの2型は最初から候補に入らなかった。何故かって重いのである。2.6kg、ペグや張り綱まで含めると2.8kgはあんまりである。1〜2人用といっても半分以上は1人で使うことになるので、なるべく軽い方が良い。同じ理由でヘリテイジのライトエスパースも落ちた。残る数機種の中から選んだわけであるが、それらのテントのスペックは以下のとおりである。

メーカー

モデル名

サイズ

重量

価格

モンベル ステラリッジ2型 130(W) x 210(L) x 105(H)cm 1.79kg \40,950(込)
アライテント エアライズ2 130(W) x 210(L) x 105(H)cm 1.68kg \40,950(込)
ダンロップ VL21 120(W) x 205(L) x 100(H)cm 1.65kg \48,150(込)
ヘリテイジ エスパースソロ 100(W) x 210(L) x 105(H)cm 1.50kg \35,000

 エスパースは幅が100cmあるいは110cmの次のモデルはいきなり150cmになってしまうので、今回のような「ソロ主体だけど2人泊まるときもそこそこ快適なテント」と考えると非常に選びにくい。特にここで挙げたエスパースソロは出入り口反対側の背面に非常に大型のベンチレーターが低い位置に設置されている。これは風通しが良さそうで良いな、と思う。この手のドーム型テントの最大かつ致命的な弱点は通気性の悪さだからして、このエスパースソロは良さそうである。さらにフライシートも前後にスペースを稼ぐことができ、前室は今時のテントなら当然だが、大型吹き流しを生かす後室まで利用可能な設定は非常に魅力的である。
 このように非常に魅力的なテントなのだが、「エスパースソロ」と言うだけあってサイズ設定が100cmしかない。他のモデルだと急に重くなったり高くなったりで、どうも上手くハマるモデルがなかった。これも120cm幅モデルがあれば即決で決めたのに・・・
 あまりに惜しいので表には載せてみたが、実際は残る3機種の中から選んだわけであった。

 残るモンベル、アライ、ダンロップの3機種の内、モンベルとアライはフロア面積が130x210cmと全く同じである。ついでに価格も同一であり、しかも値引きがなく定価販売というところまで同じである。
 ただ、モンベルは同じステラリッジの4型を既に所有していることもあり、面白味に欠けるのと同モデルのサイズ違いを持っているとポールなどのパーツを間違えて持っていきそうなので、最初は候補から外していた。従って、アライとダンロップのどちらかから選ぶつもりだったのである。

 ダンロップは他2機種と比較すると、サイズが120x205x100cmと少しずつ小さい。価格は定価だと最も高いのであるが、値引きがあるので実際は4万円を切る値段で購入可能である。
 私はテントにはムダな空間があると重量面でも保温効果でもマイナスだと思っている。夏は逆に多少広い方が暑苦しくなくて良いのかもしれないが、夏といえども高山帯の朝晩は冷えるので、やはりムダに大きいテントは嫌だと思う。なのでカタログで検討した時点ではダンロップ購入に傾いていた。
 というわけで、いよいよ販売店へ。

 ショップでは例によってアライとダンロップの両方を設営させてもらった。
 アライのグリーンのフライは魅力的である。ムーンライト1もそうなのだが、室内にいるときのグリーンの光って、なかなか落ち着くので好きなんである。ただ、極端なことを言うとアライのアドバンテージはそれだけだった。
 細かいところの造り込みはちょっとアライだけに荒い(シャレになってない?)。シームテープ、特にフロア四隅のシーム処理は少々雑で、激しい雨の時にはそこから浸水しそうだった。まあ、カタログにはちゃんとそう書いてあって防水性を補強してくれと言うことでシームコート液が付属しているあたりは良心的なメーカーだと思うが。天頂部に細引きを通したりするためのループもあるのだが、なんだか荷重をかけるとシームテープを破損してしまいそうな取り付けになっているのも非常に気になった。
 その点、ダンロップはさすがに造りは良かった。シームテープもピシッと処理されている。四隅の処理は多少頼りないかなと思ったが。
 また、出入り口の設計は、妙に凝ってない分ベストだと感じた。単純に縦と横の2本のジッパーで開くだけである。他の機種は逆Uの字に1本のジッパーで開閉するようになっているのだが、これはダンロップが圧倒的に使いやすいと思う。メッシュと本体生地が一体になっていて、1回の操作で両方開閉できるのもダンロップだけである

 サイズ設定と出入り口の使いやすさで、もうほとんどダンロップに心は決まった。
 ただ、ちょっと気になったのはフライシートの短辺側の中央にペグダウンするためのループがないことだった。ここにループがないと、フライをインナーから離すことができないので、雨天時にはまずここから浸水するし、晴天時でも夜露でインナーテントまで濡れてしまう。でも、アライもそこは同じだったし、小型テントなら仕方ないのか?
 ちなみにダンロップのVLシリーズは、3人用のVL31からはちゃんとフライにペグダウン用のループが付いている。幅が150cmだろうが120cmだろうが、必要なものは必要なのだが・・・
 第一、VL21はスリーブ式なんだよなぁ。吊り下げ式でないダンロップなんてダンロップじゃないやい!と言いたくもなるのだが。
 11と21は設営が簡単なスリーブ式にしました、とカタログには書いてあるのだが、そもそもダンロップは吊り下げ式のメリットを「設営が簡単」と言っていたのではないか??

 アライもダンロップも、スリーブの片方が袋小路になっていて、すなわち1人で設営するときに片方からポールを押し込むだけで、反対側に回ってポールをグロメットに固定する必要がない、と言っている。
 しかしショップで設営してみたときですら、そんなに素直に最奥までポールが行ってくれるわけではなく、結局反対側に回ってポール先端の位置を確認しなければならなかった。まあそれはスリーブエンドが十分強靱に作ってあれば、強引にポールを押し込めばなんとかなりそうな気もするが。
 また、片方が袋小路ということはポールを差し込む入り口が限定されるわけで、フィールドでテントをスタッフバッグから出して広げたとき、自分の反対側にポールの入り口があればやはり移動しなくてはならない。まあこの場合移動は一度で済むが。なんにしても片側袋小路式が劇的に設営を簡単にするとはとても思えなかった。

 まあそのあたりはアライもダンロップも同じだし、それならサイズ設定の絶妙さと細部の造りの良さ、それに価格でダンロップに決まりでしょう。
 というわけでほとんどダンロップに決まりかけていたところに、店員の「ステラ2もあるんですけど、設営してみます?」の一言が。
 せっかくなので設営してみた。するとやはりというかなんというか、細部の造りの良さは圧倒的にモンベルが良いのである。フロア四隅の処理なんて見ていて感心するくらいである。フライ裾中央のペグ留めするためのループもきちんと装備されている。
 また、ステラのフライシートはゴムコードで装着するようになっている。アライとダンロップはバックルである。
 テントは気温変化によってけっこう生地が伸び縮みするので、設営したときにピシッと張れていても夜になったり雨が降ったり強い日差しに当たったりでかなり「張り」が変化するものである。もともとピシッと張っていたところに気温が下がって生地が縮むと、フライの生地などに不要なストレスをかけることになるし、気温が下がって緩むとフライとインナーが接触してしまったりする。なのでバックルでフライを固定する形式のテントは、天候が変化するたびにマメにフライのテンションを調節してやるのがベストなのであるが、ステラのフライはゴムコードで装着されるので、ある程度の生地の伸び縮みはゴムコードが吸収してくれるのである。これはシンプルで気づきにくいが、かなり有効な装備なのである。
 また、ポールを本体に留めるグロメットも2個ずつ装備されている。これも気温によってテント本体の生地が伸び縮みしても設営が容易にできるようにという配慮からであり、これも目立たないがかなりありがたい。まあ袋小路スリーブには、テント壁面の立ち上がりを良くする効果もあって、これはこれでかなり有効なのだが。

 そんなわけで、半ば意図的に避けていたステラであるが設営して直接比較検討してしまうと選ばないわけにはいかなかった。
 つまり、ステラ2を購入してしまったわけである。VL21のフライ裾中央にループが装備されていればダンロップを購入したのに・・・多少のことには目をつぶれても、フライがだらしなくインナーと接触してしまう仕様だけは許せなかった。

 購入して自宅で改めてまた設営してみたが、確かに新鮮味はほぼゼロである。
 ちなみに私が持っているステラ4とは年式が違うので、ポールやフライが多少違う。でも多少である。新鮮味はない。

mont-bell_stellar2.jpg

モンベル ステラリッジテント2型

 シンプルなスリーブ式。
 ポール留めのグロメットが各2カ所ずつ設置されていたり、フライをゴムコードで装着する等、気温変化に対する生地の伸縮に対しての考慮が行き届いている設計。
 出入り口は逆U字型。開閉はメッシュとドア本体の2アクションになる。
 この3機種の中では、フライシート短辺側の裾中央に張り綱が取れる唯一のモデル。
 ベンチレーターは背面に1カ所。

dunlop_vl21.jpg

ダンロップ VL21

 片側が袋閉じになったスリーブ式。
 サイズが他の2モデルと比較してやや小さい分、最軽量となっている。
 出入り口はジッパー2本で開閉するシンプルなドア型。2アクションになるが、メッシュとドア本体は1アクションで操作できる。
 フライシート短辺側の裾中央に張り綱は取れない。この1つ上のVL31からは取れる仕様になっているが・・・
 ちなみにVL31から上はダンロップお家芸の吊り下げ式になっている。
 ベンチレーターは背面に1カ所。

arai_airrise2.jpg

アライテント(RIPEN) エアライズ2

 片側袋閉じのスリーブ式。
 短辺側に出入り口が付いた唯一のモデル。(他のショップオリジナルブランドはこのタイプ多い)
 出入り口はシンプルな逆U字型。
 モンベルやダンロップを見てしまうと、シームテープ処理等の造りがやや粗く見えてしまう。
 ただ、シームコート液が付属しているので丁寧にメンテナンスできる人にとっては問題とはならないか。
 ベンチレーターが側面に付けられており、出入り口と直角方向になるため、通気性が悪いという苦言は、割と多くのユーザーが口にする欠点。

 

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