フリースに3万円だとぉ?

 パタゴニアは高い。昔間違ってタカゴニアと憶えていたくらい高い。
 高いという点ではノース(The North Face)も負けちゃいないが、ノースはしょせんゼビオで売られているブランドで、定価はともかく値引きがあるのに対し、パタゴニアはほぼ定価販売である。
 ゼビオといえば富山のゼビオではパタゴニアも売られているのだが、型遅れの一番安いフリースとかパタゴニアにしては値頃感のあるダウンジャケットくらいしか置いておらず、どう見ても腰が引けている。ちなみに高いと言うことでいえばパタゴニアのさらに上を行くアークテリクスもゼビオで売られている。
 よもや実物にお目にかかれるとは思ってもいなかったアークテリクスの7万円もするゴアテックスジャケットがゼビオに置いてあった。しかも5着くらい。手に取ってつぶさに観察してみたが、確かに造りはいいなとは思ったが、それにしても7万円もするものにはとっても見えませんでした。
 きっとあの胸の"ARC'TERYX"というワッペンが4万円くらいするのであろう。

 それはともかく、アークやノースにはほとんど興味がない私ではあるが、パタゴニアは一度機会があれば買ってみたいとは前から思っていたのだった。なんでかって・・・ただの雰囲気なんだけど。
 でもまあハードシェルはバカ高くて手が出ないし、第一日本の冬山はあちらとは違って雨も降ればヤブこぎもあるんである。雨はともかく、6万もするジャケットを着てヤブに突入する勇気は私にはない。雪上でスタンディングアックスビレイをする勇気も私にはない。
 ソフトシェルは面白そうなのだが、パタゴニアのソフトシェルはフード付きでいかにも「アウター」というデザインのが主流なので、雨が降ったらカッパを着なければならない日本の山にはどうも使い勝手が悪そうである。
 ということで、相対的にはともかく絶対的にはまだ安いフリースが1枚欲しいな、と思っていたのであった。

 パタゴニアのフリースは、モデルがたくさんあって整理しづらいのだがとりあえずバリバリの山用としてはレギュレーター、つまりRシリーズがメインのような感じである。R1からR4まであって(R .5なんてのもあるが)、数字が大きくなるほど保温性が高くなるらしい。その辺はモンベルで言う「クリマプラス200」の数字の表記法と同じである。ただ、モンベルは数字が大きくなれば単純に生地が厚くなるのに対し、パタゴニアの場合はどうもそうではないらしい。例えばR4の場合は防風のためのウレタンラミネートをR2とR1の生地で挟んでいる構成らしい。

 どちらにしても正規店で新品を買うほどの財力はない、というかフリースに3万円も出す金銭感覚ではないので、虎視眈々とヤフオクで狙っていたわけである。ヤフオクの場合、パチ物も多く出ているらしいので油断はできないのだが。

 というわけで年末にR4ジャケットを落札した。

patagonia_R4.jpg

Patagonia R4 Windproof Jacket

 右の写真がそのR4ジャケットなのだが・・・


 パタゴニアの場合、フリースはだいたい1万円くらいの価格帯からあって、このR4が一応最高峰ということになっている。定価は3万円。
 なので5,000円から17,000円くらいまでの価格帯のモンベルのちょうど倍という感じである。

 で、このR4ジャケットであるが、着てみてびっくりしてしまったのである。良いわ、これ
 保温性はかなり高く、やはりモンベルのクリマプラス200とは段違いである。まあ保温性に関しては「性能」ではなく「仕様」なので、それだけでどうこう言うつもりはないのだが、凄いと思ったのはこれだけ保温性が高いにも拘わらず、蒸れる感じが全くないことだったりする。
 見てみれば、裏側はメッシュになっている。そのメッシュと表地の間に防風性のフィルムが1枚挟まれているのだが、モンベルのゴアウインドストッパーを使ったフリースが、いかにもナイロンか何かの生地を挟んでいる感じがするのに対し、こちらはそういうゴワゴワした感じは全くない。
 またポケットの中もメッシュになっていて、開放すれば十分ベンチレーターとして機能する。この辺はさすがに単に保温性を追求するだけでなく、激しい運動をすることも想定されて作られていると思う。

 また、袖や胸に見えるラインにはゴムが入っていて、けっこう厚手のフリースの割によく伸びる。腕の特に肘の当たりに軽く締まる感覚はあるが、これは私の腕がテニスをやっているので肘の当たりが急に太くなっていることも関係あるのかも。
 それと裾を絞るドローコードがポケットの中で操作できるという、この手のウエアにはお決まりの機能も装備されているのだが、そのドローコードが普通にポケットに手を入れたときには邪魔にならない位置にさりげなく出ていたりと、アメリカ人のくせに細かいじゃないか、というところである。

 そんなこんなでたいへん気に入ってしまった。確かに高いだけのことはある。
 ま、ではこれを3万円出して買うか?と聞かれれば、いくらなんでも・・・という気はするが、例えば保温性とか防風性も持たせてアウターとしての機能も持たせているあたり、モンベルで言えばやはりフリースで最高峰のクリマウールゴアウインドストッパージャケットと被るモデルだと思うのだが、モンベルの17,000円と比較するとそれ以上の価値は絶対にある、と思う。2万円ちょいくらいならカミさんに借金してでも買うかも。

 非常に気に入ったので、色違いで同じのが欲しいとヤフオクを監視中である・・・

 

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