アライ プロシェードシステム

 

 最近のヘルメットの流行にサンバイザーシステムがある。
 つまりカンカン照りの日中や朝晩の逆光になるときはスモークシールドの方が断然良いのだが、雨中や夜間の走行ではクリアシールドでなければ危険、という問題を解決するシステムである。
 最近のライダーの中には替えシールドを持って走って、夕方になればシールドを付け替えている人もいるようだが、そんな面倒くさいマネはとてもできん。

 このサンバイザーシステム、大きく分けるとスモークシールドをメットの中に仕込むか外に仕込むかの2種類あるのだが、後者を採用しているのは現在ではアライがほぼ唯一となっている。アライに言わせると、ヘルメット内部にスモークシールドを仕込むと安全性が低下する、ということなのだが…
 まあ帽体は間違いなく大きくなるよな。カブトがレース用のモデルにサンバイザーを装備していないのも、必要性が薄いという理由の他に帽体の大きさとか安全性とかの問題もあるのかも。
 ただ、ツーリングでは必要な時にスモークとクリアを素早く切り替えることができる、という利便性も、安全のための重要なファクターだと思うんだよな。

 まあ、アライのヘルメットを使っている限り、他に選択肢はないので、プロシェードのシールドを買ってきた。
 このシールド単体で7,000円もするんだぞ…

 

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アライ アストロIQ + プロシェード

 

 プロシェードシールドをアストロIQに装着した状態が上の写真。

 この状態でヘルメットを被ると、まあ概ね良好な視界。
 ただ、視界の下の方はクリアシールドなので、例えばメーターはほぼクリアシールド越しに見ることになる。
 また正面はともかく、サイドの方はスモークが被っている面積が小さいので、横目で側方確認をした時など、スモークとクリアの境界付近に視認物がきた場合には、一瞬だが視認が遅れる。

 それとアライではシールドにエアインテークがあるのだが、サンバイザーがそこを避けるような形状になっていて、そこはヘルメットを被った状態ではそこだけクリアなので妙な違和感があり、慣れるのに少し時間を要した。実用上は問題にはならないが。

 

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プロシェード サンバイザーを上げた状態

 

 サンバイザーを上げた状態。
 この状態では視界には何の問題もない。また、アライがアナウンスするとおり、空力的にもちゃんと考慮されているらしく、高速走行中でも妙な空気抵抗などは感じない。

 それは良いんだけど。

 問題はサンバイザーを上げ下げする動作である。

 まず、サンバイザーを上げるとき。
 メインのシールドまで一緒に上がってしまう。
 シールドをロックしていれば良いのだが、そんないちいちロックなんてしやしないってば。ただでさえノブが小さくてやりにくいし。
 まあ、走るうちにメインシールドは上げずにサンバイザーだけを上げる技(単に左手でメインシールドを抑えながらサンバイザーを上げる、というだけ)は覚えたが、素早い操作、という点では不満だ。

 次にサンバイザーを下げるとき。
 サンバイザーは上げた状態でロックがかかるようになっているので、単に下げる動作では下がってくれない。一度前に引き出すような動作をしてロックを解除してからでないと下げることができないのだ。
 これもそんなに時間がかかる操作ではないにしろ、素早い操作という点ではやはり不満だ。

 そしてそのサンバイザーのロックだが、きちんとかかっていないときは開けていたメインシールドを下げた時に一緒に下がってしまう。
 確実にロックをかけるには、サンバイザーを上げてから手前に押し込む動作が必要。

 うーん、なんとなく操作性は不満だなー
 インナーバイザーのカブトなどでは、単にレバーを上下させるだけでバイザーの上げ下げができるのに、外側にしただけでこんなに面倒なことに。
 それにアウターバイザーにしたメリットを、使用感的には一切感じないのが辛いところ。

 

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プロシェード フルオープン状態

 

 それと、サンバイザーを上げた状態でメインシールドを開けると、上写真のような状態になる。
 この状態で走れば、さすがに異様な空気抵抗を感じる。
 まあシールドを閉じれば良いのだが…

 総じて、インナーシェードと比較してこのシステムの優位点が見当たらない。帽体の大きさ、安全性について等、アライにも言い分があるだろうけど、良好な視界と操作性、というのも安全のための重要な要素だからなぁ…。
 強いて言うなら、アライのシステムは純粋にシールドだけで実現できる機能なので、ヘルメットのモデルを選ばない、ということくらいか。インナーシェードの場合はモデル特有だから、対応していないモデルではどうにもならんもんな。

 このモデルはアライの1世代前のSA-Iシールドなので、現行のVAS-Vシールドシステムでは、バイザー面積が少し増えていたり、メインシールドのロック操作が現行より簡単になっていたりと、若干だが改善はされているらしい。ただ、根本的な問題はなんら解決していない(バイザーのロックや、根本的にバイザーでカバーできる視界がインナーシェードより狭い、とか)ので、次のヘルメットはカブトにしようかなぁ…なんて思っていたりする。

 

 

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