20年ぶりのリターンライダー
(ホンダ CB223S)
前振りが長くなった。
まあそんなわけで20年くらい乗っていなかったのだが、徐々に「バイク乗りたい病」が進行していて、ついに閾値を超えたのだ。
なんで超えたのかというと・・・
1.弟のApe
弟が今、葉山に住んでいる。葉山というと海のイメージなのだが、弟の家は少し山に上がった住宅地にある。だがその山を下りれば葉山の御用邸、海岸沿いをちょっと走れば鎌倉、そして湘南の海、というロケーションなんである。
たまに弟の家に遊びに行ったときは、弟が持っているApe50を借りて湘南の海岸沿いに走ったりしていたのだが、これがまた楽しいんである。
これで二輪で走る楽しさをちょっと思い出した。
また湘南の海岸沿いはなんせ駐車場が少なく、「この景色、いいな」と思っても駐車できずに素通りせざるを得ない、なんてことが普通なのだが(コンビニの駐車場が有料なんて初めて見た)、Apeだと何とか停めることができるのだ。
なので、「小回りが利いてどこにでも停めることができる」という点で湘南を走るのはApeに限る、と思っていたので、弟が二輪に目覚めてVT(確か昔のVTZ250だったような)を買った時も、まだそれほど羨ましくはなかったのだ。「え〜?VTだったらあそこの歩道には停めれないぞ」なんて。
2.地鉄の駅巡り
今年の春から富山地方鉄道の駅舎巡りにハマッていたのは、このサイトにそういうコンテンツを作ってしまったことからも周知の事実だと思うのだが、この地鉄駅巡りには原チャリが大活躍した。
地鉄の駅って周囲の道路から入る標識がない駅が多いんである。なのでUターンすることも多いし、そもそも駅前がとても狭くて車ではちょっと入りにくい駅も多々ある。
というわけで、地鉄の駅巡りには「小回りが利いてどこにでも停められる」すなわち原チャリがとても有利だったのだ。
原チャリは長男が高専時代に乗っていて家に置いていったスクーターがあったので、突如として原チャリの走行距離が伸びだしたわけである。
で、ここでもまた二輪で走る楽しさを少し思い出した、と。
3.R148
9月に車でR148を走る機会があった。
R148とは糸魚川から姫川沿いに長野県の白馬村、松本に至る道なのだが、特に大糸線沿いの白馬村まではとても気持ちが良い道なのである。昔、バイクで何度も走ったなぁ。
そこを車で走りながら、「この道はバイクで走らなきゃ嘘だろー」なんて思っていた。この瞬間が閾値を超えた瞬間だったような気がする。
そんなことを思ったのは、それまでにもう十分閾値近くまでバイク乗りたい病が進行していたからなんだろうけど。
4.長男がバイクを買った
大阪に住んでいる長男がバイクを買った。
富山にいるときから普通二輪の免許は持っていて、こちらでも大昔のXLR250なんぞに乗っていたのだが、その当時は私のバイク乗りたい病がまだ閾値よりだいぶ低かったのか、そもそもオフロード車にとほざの興味がないからか、別に何とも思わなかったのに。大阪に行ってからも125ccのスクーターに乗ったりしていたが、スクーターにもあまり興味ないし、別に動じなかったのだ。
それがある夜、長男から電話がかかってきて、「今、バイク屋にいてゼットゼットアール250ってバイクが安くて買おうかと思っているんだけど、このバイク、どうなの?」って言う。
いやいやそれはZZRって書いて「ダブルズィーアール」って読むんだよ、とか言ってるうちに(私が現役ライダーだった時代に発売されたマシンだ)、何か自分の中でスイッチが入ったのが判った。
かくして、自分も20年ぶりにバイクを買ってしまったわけなんである。
いつも我ながら不思議なのだが、こういう突発事態にどうやって金を捻出しているのだろう?
ま、金が潤沢にあるわけもないので、中古になるのは必然。
だがそれにしても今のバイクには欲しいと思うモデルがない。バリエーションそのものに乏しいし、250クラスなんて抜け殻のように魅力がないモデルばかりだ。車重180kg台に24psって、70年代かよ。フルカウルの「スーパースポーツ」だって31psって・・・
元々ビッグバイクには興味が薄かったのに、今回バイク乗りたい病の閾値を超えたキーワードが「小回りが利いてどこにでも停められる」だったので、なおさら大きなのには食指が動かなかった。金もないし。
というわけで、今回私のアンテナに引っかかったのが、このCB223Sだった。223ccという中途半端な排気量故か、堂々の不人気車種である。
絶対的に車重が軽い、というのが重要なファクターだったが、その他にもこの嫌みのないデザインも良いな、と思った。こういうデザインを良いな、と思うのは歳を取ったってことなのかなぁ。
それにしても新車価格、高すぎ。250クラスでも60万台のモデルが普通にあるし、学生がバイトして買える額じゃないぞ。
このDB223Sも、元々30年前に出ていたFTRのエンジン、フレームをベースにしたロードモデルで、完全に新規パーツなんてガソリンタンクとシートしかないのでは?と思うほど開発費をかけていないモデルだぞ。それで43万は高すぎるだろ。金があっても新車で買う気になれない・・まあ金がないので中古なんだが。
HONDA CB223S 左側 |
というわけで、これが中古で買ったCB223Sである。走行距離5,800kmほどの程度の良い中古が見つかった。
マフラーは既に交換してあった。多分純正のカスタマイズカタログに出てくるHITACOのトライアンフタイプのマフラーだ。
それとキャリアが装着されていた。
ハンドルはポジションが少し高すぎたので、3cmほど低いハンドルバーを付けた。
純正カスタマイズカタログにあるハンドルにしようと思ったのだが、なんと既に生産中止になっていた。現行車種なのに、さすが不人気車種。
ところがバイク用品店でそっくりなのを見つけた。寸法を測ってみるとぴったり同じ。これ、どちらかがOEM生産で、元々同じモノなのかな。
ま、これ幸いとそのハンドルバーを買って納車までに付けてもらったわけである。
HONDA CB223S 右側 |
別にクラシックというかレトロなものが好きなわけではないので、形としてはノーマルマフラーの方が好みなのだけど、このマフラー、なかなか良い音を出す。うるさくもないし。
ハンドルバー周り |
ハンドルバーにはUSB電源とスマホのホルダーを付けている。USBでスマホを充電しながらナビをさせることができる、ってわけ。
あ、スマホもTorqueに買い換えてしまった。グローブをしていても液晶パネルの操作ができるのがとても良い。
納車から1週間、とりあえず通勤メインだが600kmほど走っている。
燃費は何と平均35km/Lという抜群の好燃費である。カタログ燃費が60km/h定速で41km/Lなのに、特に遠慮せずガンガン全開で走って(パワーがないのでいつでも全開)この数値とは。
パワーはない。16psという数値から予想されるとおりである。いや、予想より若干良いくらいだが。
とにかくアクセルを開けて元気に走って、それでようやく少し流れが速い国道をリードできるくらい。車の方がちょっと本気を出すともうムリ。
高速はまだ走ってないけど、多分追い越しに怯えながら耐えて走ることになるかと。ま、最高速は多分、このメーターのとおりかな。
でもちゃんとトルクが出ているエンジンなので、特にストレスは感じない。5速の上にもう1つギアが欲しくなるけど、加速はスムースだし扱いやすいエンジンである。・・・ま、たった16psで扱いにくかったらやってられんけど。
シャシも何というか、普通である。攻めても普通についてくる。フロントフォークは37mmというけっこう立派な径だし(何と昔乗っていたVFR400Rと同じ!)、タイヤも110/80と130/80という立派な太さである。なんとTZRより太い!
これで走れないわけないじゃん。腕次第で速く走れそう。あ、エンジンパワー以上にはムリだけど。
ただ、エンジンが非力なのは良いのだが、コーナリングでアクセルを開けても十分なトラクションがかからず、アウト・イン・インみたいなラインになってしまいがち。もう少し侵入速度を上げて旋回速度を稼ぎ、脱出の加速に頼らない走り方の方が良いのだろうな。あー、小排気量の走り方の基本だったな、これ。
ま、これで走っていて、「やっぱりもっと走るマシンに乗りたい」と思うようにならないかどうか、自分でも興味津々である。