2016年秋 東北ツーリング

 

日付

走行場所

主な走行路

走行距離

高速

高速距離

10/13

富山〜秋田

北陸自動車道〜R345〜R7

516km

名立谷浜〜聖篭新発田

160km

10/14

秋田〜竜飛岬〜八戸

R101〜竜泊ライン〜県道40

445km

 

 

10/15

八戸〜気仙沼〜猪苗代湖

R45〜県道48〜東北・磐越自動車道

573km

若柳金成〜猪苗代磐梯高原

209km

10/16

猪苗代湖〜魚沼〜富山

R49〜R252〜R8

386km

 

 

合       計

 

1920km

 

369km

 

 去年(平成27年)の秋、竜飛岬に行き損ねた。
 別にそれほど竜飛岬に拘っていたわけではなかったのだが、行き損ねると何度か一度は行かねばならぬ、という気になってくる。
 そこで今年の秋も竜飛岬を目指すことにしたわけだが、休みが2日しか取れなかった。土日と併せても4日しかない。
 4日で竜飛岬を、ということになるとちょっと調べてみると日程的にかなりきつい。帰りは太平洋岸、つまり三陸海岸を走りたかったので、2日目には太平洋岸に出ていないと4日で帰ってこれない。
 つまり、初日にどれだけ走れるかが鍵、ということだな。

 高速を走れば良いのだが、そもそも高速は嫌いだし潤沢にあるわけでもない予算を高速代なんぞに使うのはまっぴらである。
 ETCのポイント還元分が5,000円あったので、それを充てるとして高速予算は5,000円ということで。

 というわけで、初日は高速を使いながら秋田まで走る、というのを目標とした。
 いつもの「旅というよりは放浪」に近いツーリングとはずいぶん趣が違うが、まあ今回は仕方ないか。
 でも、宿を予約せずに走るのはいつもどおりである。辿り着けなかったらキャンセル料が発生してしまうではないか。

 13日は午前2時頃に出発。高速の深夜割引が適用される午前4時ギリギリまで下道を走ることに。
 深夜、走っていると糸魚川あたりから雨が降り出した。12日中は天候が不安定で13日から好転するという予報だったのだが、午前中までは降ったり止んだりするのかな。
 名立谷浜から高速に乗ったが、雨と風が強い。深夜の高速で雨が降ってて風ぶんぶん、という最悪の条件(笑)

 

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高速のサービスエリアで 寒いし雨降ってるし(笑)

 

 高速を走るうち、明るくなってきた。5時半頃、聖篭新発田インターを降りた。去年は新潟を通過した時点で昼を過ぎていたことを考えれば、さすが高速である。このペースだと、途中で眠くならない限り秋田までは楽勝だな。

 山形県にも午前中に入った。不思議に快調でほとんど眠くなっていなかったのだが(妙に寒いせいかも)、昨夜はほとんど寝ていないのだし必ずどこかで眠気は来るはず、と去年と同じ田田という温泉に入って2時間ほど仮眠した。
 ますます快調。

 

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鳥海温泉郷近くにて

 

 午前中、ずっと降ったり止んだりしていた雨は、午後になってほぼ上がった。
 ここから日本海沿いの絶景ロードの始まり〜。このあたりは羽越本線が走っているのだが、鉄道と国道(7号線)、そして海の距離が近い。
 海岸線がほぼ南北に走っているので、海に沈む夕日がばっちりだろうな〜。

 というわけで秋田に到着。まだまだ走れる気もするけど、これ以上進むと宿を確保するのに苦労しそうなので、秋田で泊まることにする。
 ガソリンを給油しながらネットで検索するが、あまりめぼしい宿がない。ならば健康ランドか、と探すとあったあった。このくらいの地方都市はこれだから泊まるところには苦労しないんだよね。

 というわけで秋田市のこまち健康ランドにチェックイン。カジュアルシングルという、仕切り付きの、ネットカフェなんかでよくあるタイプの部屋が確保できた。もう風呂に入って横になったら即、寝れる自信があるのでぶっちゃけ部屋なんてどうでも良い。ところが部屋にはちゃんと布団が敷かれていて、望外の贅沢さ(笑)
 風呂入ってビール飲んで、9時過ぎには寝てしまったのであった。

 翌14日

 館内にいると天候がさっぱり分からないのだが、チェックアウトして外に出ると、一面の濃霧。ありゃりゃ。今日から天気は良いはずなのに。
 しかもやたら寒い。オートバイに付けた温度計は6℃と表示している。寒いわけだよ。
 ところが走り出して郊外に出たとたん、瞬時に、本当に30秒ほどの間に晴れ上がってしまった。どうやら低温のため水蒸気が街に溜まっていたらしい。気嵐みたいなものか。高天原の湿原もよく見る現象だね。

 さて、絶景ロード第二章!

 道は国道7号線から101号線に入り、五能線と並走しながら北上していくのだが、青森県境を越えたあたりから本格的に最果て感が出てきた。
 海岸線は護岸もたいしてされておらず、自然が色濃く残る海岸線で、そのほとんど波打ち際を単線の鉄道が走っている。こりゃ冬なんて電車が波を被るのでは?と思うほど。脳みそが融けて耳から出てきそうな風景だ。

 

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絶景ロード! 前方は五能線驫木駅

 

 この五能線を厳冬期に青森から秋田まで乗ってみたい!!
 できれば深浦あたりで1泊しながら。

 

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五能線驫木駅

 

 この驫木駅は鉄ちゃんに人気がある駅らしい。これは帰ってから知ったのだが、この駅でバイクを停めて写真を撮るなんて、自分の嗅覚もなかなかのもんである(笑)
 確かに味がある良い駅舎だよ。中に入って時刻表を見たら、上り下りそれぞれ1日5本である。

 この100kmあまりの絶景ロード中、コンビニってあったっけ・・・?記憶にないなぁ。
 小腹が減ったので小さな漁港の街のボロいスーパーに入ったのだが、そこに買い物に来たらしい3人連れのおばちゃんがいた。
 おばちゃんたちは盛んに笑いながら話し合っているのだが、どれだけ耳を傾けても何一つ聞き取れなかった
 あまりにも聞き取れないので思わず笑ってしまったら、おばちゃんの1人が話しかけてきた。でもやっぱり何一つ分からなかった
 そこに中学生らしき女の子が入ってきたので、通訳してくれる?って頼んだのだが、彼女の言葉もやっぱり何一つ分からなかった

 鯵ヶ沢まで来ると、なんだかずいぶん都会に来たような錯覚を覚える(笑)
 カモメがやたらたくさん来ているなぁ。
 鯵ヶ沢を過ぎると道は内陸に入ってしまい、なんだかやたら寂しいのだが、いやいやもうすぐ絶景ロード第三章の竜泊ラインに入るのだから、と信号も増えてつまんなくなった道を耐えて走る。そういやR101に信号なんてあったっけ。

 ところが。
 これまで快晴だったのに、R339に入った途端、行く手に暗雲が。まさか降るのか?と思う間もなくいきなりの土砂降り。
 竜泊ラインに入った頃には、ウインターグローブが絞れるほど濡れてしまっていた。

 

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絶景ロード第三章! 竜泊ライン

 

 竜泊ラインは聞きしに勝る絶景ロードだった。地の果てに来た感が満々の道だ。
 雨が降っているのが残念といえば残念だけど、これはこれでムード満点である。
 上の写真はモノクロにしてみた。

 竜泊ロードは海岸線を離れ、山中に。
 きついヘアピンを折り返しながらぐんぐん高度を上げていく。もうちょっと高速コーナーが多いワインディングが好みかな。おまけに雨であまり攻める気にもなれん。

 

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竜泊ロードの展望台

 

 展望台。こりゃすげぇ景色。

 

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あの先っぽが竜飛岬だ!

 

 展望台から北を向くと、遥か彼方に竜飛岬が。ここまで来たか〜。
 つか、これだけ走ってもまだあんなに遠いの?

 とはいうものの、見た目には遠くてもバイクで走れば僅かな距離。
 ほどなく竜飛岬に到着。

 

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竜飛岬の津軽海峡冬景色歌謡碑

 

 スマホに石川さゆりの「津軽海峡冬景色」を仕込んで行ったのだが、この歌謡碑のボタンを押すと曲が流れるらしい。
 どれ、と押してみると狼狽えるほどの大音量でイントロが流れ出した。
 あわあわと狼狽していると、「ごらんあれが竜飛岬北のはずれと♪」・・・ん?2番からかよ。セコいぞ(笑)

 駐車場でカッパを脱いで濡れたウエアを甲羅干ししていると、土産物屋のばあちゃんが「あれ〜、寒そうで可哀想に。わたしが温めてやろうかね」と声をかけてきた。「おばあちゃんがもう30ほど若かったらお願いするんだけどね〜」と答えたら、ばあちゃんはケラケラ笑って言った。
 「もう30若くても、わたしゃ60だよ」

 てことはばあちゃん、90歳なの?なんて元気なの。この会話のテンポはどうよ。

 

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竜飛漁港でコーヒーを淹れてみる

 

 さて、岬で津軽海峡の景色を堪能して、今度は陸奥湾沿いの道を走る。
 その前に竜飛漁港に立ち寄ってコーヒーを淹れてみた。今回はそのためにバーナーとクッカーを持ってきているのだ。
 とにかく海は綺麗。相変わらず寒いけど、天気は良いし幸せ♪

 それにしても気温は上がらない。バイクの気温計で13℃くらい。
 竜泊ロードの雨でウインターグローブも濡らしてしまっていたので、岬から夏グローブで走っていたのだが、夏グローブだと手が冷たく感じる寒さだった。

 この日の宿は八戸市内のビジネスホテルに取っていた。珍しく昨夜のうちに予約していた。どのみち八戸あたりまでは出ておかないと、日曜日までに富山に帰れないので。
 で、青森市内でさくっと宿の位置をスマホのナビに入力して、ルートをよく確認もせずに「後はナビ任せ♪」とお気楽に走り出したのであった。午後3時半を回っていた。

 すると、なんだか道が山の方に向かって登っていくのだ。しかも山の方には黒い雲が。
 あれ??同じ海沿いの街に行くのに山越えするの?しかも青森から南の山って"あの山"じゃなかったっけ?とか思っていると、道端に「後藤伍長発見の地」という標識が。

 八甲田山じゃん!

 夕方から八甲田越え?この寒いのに。雨降りだしたし。
 気温計はあっという間に6℃を表示した。この寒いのに夏グローブだよ。
 八甲田山なのでじっくり見たいのはやまやまなのだけど、時折ガスが上がって見える山はとても綺麗なのだけど、バイクを停めて降りる気にはとてもなれなかった。降りたらもう二度と乗れん、と思うほど寒かったのだ。
 十和田まで来て気温が10℃になったときは、なんて暖かいんだろう、と乗ったまま寝そうになった(笑)

 というわけで八戸まで一直線。
 宿にチェックインしていそいそとみろく横町に繰り出し、店のお姉ちゃんに「青森って八甲田を越えないと街と街の行き来もできんの?」などと絡んでいたのであった(笑)

 翌15日

 朝の気温は7℃。もうこの程度の寒さには慣れた。

 市街地を抜けて海に出るとたいへーよーだ!

 

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たいへーよーだー!

 

 今日の予定は三陸海岸を可能な限り海岸線に沿ってひたすら南下する。翌日には富山に帰らねばならないので、福島市か郡山市までは走らないと・・・とすると、どこかで高速に乗らないと無理かな、などと考えながら南下。

 

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鵜の巣断崖

 

 鵜の巣断崖に寄ってみた。断崖と聞けば行ってみたくなるもんでしょ(笑)
 でも親不知の方が壁の高さは高いかなぁ。

 

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宮古にて

 

 三陸なので東日本大震災の被害の跡はそこここに見られる。というより、海に近い平野部はどこもまだほとんど更地で、街を作るよりまず先に防潮堤を最優先で建設しているような感じである。
 でも凄いスケールの防潮堤だぞ。進撃の巨人の壁みたいな。どの街からも海が見えなくなってしまうな・・・
 山田湾なんて、本当に美しい湾なんだけど、それが街から見えないというのは、理屈は分かるけど無念だ。

 

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高速に乗った

 

 気仙沼まで南下してきたところで午後3時半になった。それまでに猪苗代湖の宿を取っていたので、そろそろ高速を走ることを考えないと。
 内陸の方角に走り、東北自動車道に乗って暗くなった高速をひた走る。

 寒い!!南下するに従って寒くなるぞ。内陸の方に進んでいくからか。
 磐越に入るとさらにさらに寒くなり、いつもは夕方宿に入るまでにガソリンを満タンにしておくのを、その余裕もなく宿に転がり込んだ。

 宿はいわゆるゲストハウスで、大きめの普通の家の各部屋を使わせてもらう、といった雰囲気である。
 とりあえず部屋でコーヒーを淹れてみる(笑)

 

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宿の部屋でコーヒーを淹れてみる

 

 翌16日

 いよいよ最終日。
 宿を出ると濃霧。でもこれも秋田と同じで、貯留した水蒸気だった。
 日が差すと一気に晴れ上がる。

 

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磐梯山

 

 ところが上の写真を撮った同じ位置で、反対を向くとこんな感じなんである。

 

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反対側。押し寄せるガス

 

 ガスが押し寄せてくる。
 逃げるように出発。只見線沿いを朝風呂に入りながら快適に走る。

 

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只見線 会津横田駅

 

 只見線の会津横田駅に寄ってみた。
 既に廃線になったのかと一瞬思ったが、そんなはずはない。調べてみるとこの駅を含む一部だけが豪雨で寸断されたままになっているのだそうだ。
 町の共同浴場に入ったときに管理人のおっちゃんに聞いたのだが、地元では今でも熱心に復旧の嘆願をしているらしい。

 

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同じく会津横田駅

 

 しかしもうすっかり自然に還っているなぁ・・・・これを復旧するのは大変だろうなぁ・・・

 

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日本海に帰ってきたよ・・・

 

 というわけで、4日間で1920km、走り切った。

 やはり西津軽が最高だった。絶景ロードだよ、あれは。
 もっとじっくり走りたいし、海に沈む夕日もゆったりした気分で眺めたいし、八甲田山もゆっくり見ながら走りたいし、しばらく東北にはまりそう(笑)

 

 

 

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