悟りの境地に入れそう・・・
(ヤマハ YB125SP)

 

 悟りの境地には入れなかったわけで、このバイクは買ったものではない。

 実は代車なんである、このバイク。
 別にZZRが壊れたわけではなく、単にタイヤ交換にショップに入れただけなのだが、GW前で作業が混んでいたのかすぐには返らないというわけで代車が出てきた。それがこのバイクである。
 しかもこれ、まだ1kmも走っていないパリパリの新車で、これの慣らしをしてよ、なんてバイク屋のおっちゃんが言うのである。

 ・・・え?慣らしを完了するまで俺のZZRは返してもらえないんですか?

 んなわけはないのだが、慣らしで3日間、300kmを走ったのでインプレッションを書いておこう。

 これ、ヤマハのYB125SPというバイクである。ヤマハは125ccクラスのロードバイクは国内にはラインアップしていないのだが、海外向けに何機種か造っていて、YSP等で逆輸入の形で買うことができる。
 そういうバイクではYBR125が比較的メジャーなのだが、これはRではないYB125である。中国で生産して現地で売られているモノをYSPで取り扱うことになったらしく、ZZRを買ったYSPに2台も新車が置いてあった。これはそのうちの1台で、試乗車にするつもりらしい。

 

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ヤマハ YB125SP

 

 なかなかクラシカルで良いデザインじゃないか。タンクの形状だけでミニSRみたいに見せているのはあざといが、けっこう好きなデザイン。
 考えてみれば、CB223Sもこの系統のデザインだったなー。
 見て判るとおり、キャブ車である。YBRはインジェクションなんだけど、中国では規制がまだまだ緩いらしい。

 このサイドカバーにデカデカと書かれたSPのロゴ、まさかとは思うが、これってもしや「SRと読み間違えられる」ことを狙ってる・・・?
 事実、コンビニで一度、「このバイク、SRですか?」って声をかけられたぞ。

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YB125SPのステップ周り

 

 新車で20万そこそこで買える超バーゲンプライスのモデルだけあって、金がかかってそうなパーツは見事にない。
 極めつけはこのステップ周り。ただの鉄棒がにゅっと出ただけのステップバーなんて清々しいくらいである。

 ちなみにこのモデル、写真だとカブみたいなロータリー式のミッションか?と思ってしまうが、普通のリターン式5速である。
 ではこのシフトペダルは何なのかというと、シフトアップ時に踵で後ろのペダルを踏める、というモノなのだ。
 ビジネスモデル、なのかね?靴の爪先を傷めなくて済む、という。
 そのせいなのか、このシフトペダル、角度的に爪先を下に潜り込ませるのはとてもきつい。乗り始めはしばらく抵抗していたが、すぐに踵で踏むのに慣れてしまった。慣れてしまうとこれはこれでなかなか快適。

 

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YB125SPのメーター周り

 

 このバイクでほとんど唯一、オサレなパーツがメーター。ちょっとカッコいいじゃん。
音叉マークが入った白地のメーターパネルはなかなかである。

 なんとギアポジションインジケーターがあるんだ。欲しいと思ったことはないが、あっても別に邪魔にはならん。
 そしてなんと燃料計までついている。

 しかし。
 この燃料計、あてにならんことったらない。
 満タンにして最初の100kmは微動だにせず、次の100kmで急速に3目盛り落ちる。
 しかも発進や停止、コーナリングによって振れる振れる。針はほとんどエンプティを指しているのに、一向にリザーブに切り替わる気配もない。

 

 さて、走りだが、なんせ慣らし運転中ということで、6,000rpmまでしか回していないのであまり詳しいことは判らない。
 ただ、125ccの慣らし運転なんてかったるくてやってられないのでは?と思っていたが、けっこうなかなかどうして6,000rpmまででもちゃんとそれなりに走るじゃないか。速くはないが、思ったほど遅くもない。ちゃんと交通の流れには乗れるだけの加速をする。

 シートもごく普通のフラットシートだし、これにキャリアでも付ければ荷物も無尽蔵と言って良いほど積めそう。これでトコトコと「旅」に出てみたいな〜、と思ってしまうムードを持ったバイク。

 ただ、そのシートだけど、尻が痛くなるったらない。シートが柔らかすぎることにも一因があるのだろうが、状態直立、ステップは遙か前方というポジションが大きな要因かと。ステップで踏ん張れないので、体重がモロに尻にかかるんだな、これが。
 100km走っただけで尾てい骨が深刻に痛くなった。ポジションをもう少し改良しないとロングライドは辛いかな・・・

 

 3日間でこいつのレスポンスとシフト方法に慣れてしまったので、ZZRを受け取って走り出すとき、エンストしてしまった。
 さらに走り出してシフトアップするときには無意識に踵を踏もうとしていたりして。

 

 

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