2015年3月のZZR250

YZF-R25に試乗した話

 

 ZZRの納車以来、3週間が経過した。
 この間、乗った距離は約700km、燃費は平均で23.7km/hというところ。市内のトロトロ乗りや全開走行がけっこう多かったから、本来はもう少し伸びそうな感じだけど、今のところそれほど燃費を気にせず乗っているから。そのうち、前のCBでやったような燃費限界挑戦ツーリング、やるけど。

 

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雨晴海岸にて

 

 ようやく春らしくなってきた雨晴海岸で。

 距離を乗って判ってきたことだが、これ、マジで程度が良いわ。
 エンジンはメカニカルノイズがやたら大きいのはいかにも旧車らしいけど、これは多分新車の時から。
 下から上まで淀みなく綺麗に吹け上がるし、外装も年式にしてはすごく綺麗。23年前のバイクとは思えないくらい。
 最近、息子の大がバイクで富山に帰ってきて、その後雪が降ったのでバイクを置いて大阪に帰ってしまったので、今息子のZZRが家にあるのだが、年式は息子のバイクの方が5年ほど新しいのに、外装は私のZZRの方が圧倒的に綺麗だもん。

 ま、これから乗り倒せば急速に年式相応になってしまうのかもしれんが・・・

 あ、ちなみに大は富山で就職が決まったので(そもそもバイクで富山に帰ってきたのも面接のため)、無理に大阪に乗って帰る気がしなかったそうで。

 

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コクピット周りはこんな感じ

 

 コクピット周りは、今はこんな感じである。
 スマホホルダーはCBの時と同じデイトナのものなのだが、ハンドルバーに取り付けるクランプの部分が狭くて入らず、同じモデルのリジッド式のものに買い換えるハメになった。

 時計は右ハンドルの隙間にプロトレックを装着していたのだけど、プロトレックはボタンがあまりにも押しづらく、また文字盤も小さくて読み取りづらかったので、ヤフオクで1,500円で落札したメーカー不明の時計に換えた。だがこれはマスターシリンダーの隙間には入らず、トップブリッジに不格好に装着するハメに。
 なんか良い方法、ないかなぁ。

 この時計、新品で1,500円しかしなかったくせに温度計付きなんである。怪しい・・・
 防水とはどこにも書いてなかったので雨の中で走ると一発でダメになるかも。まあ走っていればカウルで雨はあまり当たらないかも知れないけど。
 でも、文字盤も大きくボタンも押しやすいので、使いやすいよ。万一盗まれても1,500円なら気にならんし。

 

 ちょっと走り込んでくると、このバイクの性格がだんだん判ってきた。

 まず、ツアラーって言ってただけあって、あまりグイグイ曲がるバイクではない。基本アンダー傾向。
 ただ、それにしても時々、すんごい曲がらない時があって、いったい何なんだ、と思っていた。狙ったラインにまったくつけず、アウト・アウト・アウトみたいなラインになってしまう時がある。
 よく考えたら、そういうドアンダーが出るときって決まって左コーナーだった。つまり、多分バイクではなく自分の問題か。

 で、ちょっとバイクの挙動に注意しながら乗っていたら、このバイク、コーナリング時のハンドルの切れ込みがけっこう独特なんである。
 コーナリング時のハンドルの切れ込み、というのはこちらでハンドルをこじったりしなくても勝手に蛇角がつく、セルフステアというやつなんだが、コーナーの侵入時にバイクを寝かせていくと、気持ちワンテンポ遅れてグラッとけっこう唐突に大きく切れる、という雰囲気なんである。
 で、左コーナーではそれを無意識に押さえてしまっていたんだろうな。右コーナーはサーキットで走っていたせいか、センターラインがある分左コーナーより嫌らしくて苦手意識を持ちがちだけど、身体の使い方としては左より得意なので、変にハンドルを押さえるようなことはしていない、ということか。
 また、ドアンダーが出るのは左コーナーでも中速以上の比較的速いコーナーなのは、自分のイメージと実車のハンドルの切れ方のイメージのズレが大きくなっている、ということだと思う。低速コーナーでは大きく切れて当たり前で、そういうイメージで走っているのであまり押さえてはいない、のかと。

 現に左コーナーでハンドルを押さえないよう注意して走るようになってから、ドアンダーはまったく出なくなった。意識すればよけいグラッと切れるハンドルが気持ち悪いけど。

 昔乗ってたTZRとかVFRなどのレプリカモデルは、当時のレースシーンがほとんどアメリカ人かオーストラリア人しかタイトルを取れない、みたいな状態が長く続いた時代で、彼らの乗り方が極端なリアステア、「バイクはリアタイヤで曲げる」という乗り方だった。
 当時はウイリーでフロントを浮かせたままS字を切り返していくようなシーンはよく見たし、ケビン・シュワンツが89年の鈴鹿でウエイン・レイニーとGP史に残るような激しいバトルをして勝ったとき、ウイニングランで両手を高々と上げてガッツポーズをしたままでシケインを切り返していったのは、密かに自分も練習したもんなー。
 当時はホンダもヤマハもスズキも、そういうライダーに合わせてレーサーを造っていたので、市販モデルも基本的にそういう「リアで曲げる」マシンが多かったのだ。
 あ、カワサキはちょっと違うかも。カワサキはアメリカン全盛時代が来る前に主要なレースからは撤退していたので、アメリカンやオージーを乗せたマシンでレースを戦っていないから。

 今のマシンはまた少し様子が違うよね。
 シート高をとって高めに座らせて、それでフロントフォークを太く倒立にしたりしてとことん剛性を上げる、というのは、どちらかというとフロントで曲げる、というジオメトリだよな。フロントの剛性はブレーキング時にも大きくモノを言うからともかくとして、リアステア型のライダーならもう少し低く座りたがると思えるのだけど。

 フロント依存型の乗り方、つまりハンドルを操作してフロントの旋回性を引き出す、みたいな乗り方をすれば、このZZRの挙動も気にならなくなるのだろうか。そんな乗り方、よく判らないけど。

 まあなんにしても、ちょっと気持ち悪いフロントの挙動を気にしなければ良い話なので、特に問題ない。レースやってるわけじゃないので、最終的にバイクに気持ちよく走ってもらえるように乗れば自分も気持ちいい、というだけの話だから。

 そもそも今のタイヤ、元々グリップが低いタイヤなのか経年変化でグリップが落ちているのか、はたまた前のオーナーが大人しい人であまり攻めて走ってなかったため、特にリアタイヤは真ん中だけ偏って減っているせいなのかは判らないが、全体的にグリップが低い印象。特にフロントはコーナー出口でパワーをかけると外に逃げていく感じがある。けっこう何でもないところでフロントもリアもズルッと来るときもあるし。
 だから近いうちにタイヤを替えて、それからだね。

 

 ところで先週、ヤマハのニューマシンであるYZF-R25に乗った。ZZRを買ったのがYSPなので、試乗車が置いてあるんだよ。
 試乗コースが決められていて、そのコースには直線と交差点しかなかったので、内緒でちょっと回り道してちょっとだけコーナーの挙動も体感してみた。

 まず驚くのは、そのエンジン音のおとなしさ。今の騒音規制ってこんなに厳しいんだ、と実感するわ。
 アイドリングだとほとんどスーパーカブの音と変わらない。なんとも頼りなさ気な優しい音。実用バイクの音である。これなら確かに深夜の住宅地でも気にならないけど・・・

 エンジンはほんっとに素直。ぶっちゃけ、全域でトルク感はそんなにない。ZZRの方がどの領域でもやっぱスペック通りパワーが出ている感じはする。特に中速域の5,000〜8,000rpmあたりはZZRと比べるとスカスカと言って良い印象。ZZRは特にこのあたりがけっこうトルク感あるから余計そういう印象を受ける。
 でも、とにかくストレスなしに吹けていくので、結果的に同じ道を走ってもR25の方がスピードが乗る。ZZRは回転を上げると音も振動も激しくなるので、気合い入れて走るときでない限り、7,000〜8,000rpmあたりでメンタル的なレブリミッターが動作するんである。R25だと特に気合い入れなくても流して走っている感覚で14,000rpmまで回せてしまうもんな。気合い入れて走ったら、多分ZZRの方が速そうだけど。
 それと、アクセルをオフしてから再び開ける時のもたつきのなさ、しゃくり上げるようなテンポのずれのなさは、さすがインジェクション車。これに乗るとZZRがいかに癖が多いバイクかよく判る。

 コーナリングは、2つ3つのコーナーをそこそこのペースで走っただけなのでよく判らないのだけど、これもとにかく素直。気になるフロントの挙動も一切ないので、何の不安感もなく深くマシンを倒せそう。エンジンもブレーキング&アクセルオフからパーシャル、そしてアクセルオンに至るまで、自然に優しくレスポンスしてくれるので、ライダーは体重移動だけしていればok、みたいな感じかな〜。

 でも、あんまり楽しくはなかった・・・いや、楽しかったのだが、わりとすぐ飽きそうな気がする。
 こんなにマシンの方からすり寄ってこられるとなんか気持ち悪い何とかこいつを手懐けてやろう、と思うようなところが何もない、というか。まあ買って毎日乗っていればそういうところも出てくるのかも知れないけど、でも初見で「こいつ、手強いな」と思えなければ購入意欲も湧かないというか。

 まあ、このクラスそのものが「免許取り立ての初心者が乗るクラス」になってしまっているので、R25に物足りなくなったら大型に乗れ、ということなのだろうけど、でも大型の手強さはまたちょっと違うだろう。そもそもエンジン性能をフルに開放してやれる場所が公道であるのか?というところからの話だから。

 開発者のインタビュー記事なんかを読んでも、やたら「免許を取って最初のバイク」ってセリフが出てくるし、例えばカワサキニンジャSLなんかすごく面白そうなバイクなのに、広告のコピーが「僕のファーストチョイス」だから気が萎える。

 ああ、そうそう。
 R25のリアサスはリンクも何もない直付けのモノサスなんだけど、これはちと手抜きなのではないか。
 試乗コースで少し路面がうねっているところがあって、そこはZZRでは気にしたことはなかったのだが、R25でちょっとスピードを出してそこを通過すると、フワフワと長い周期で何回かリアサスがバウンドするように動いた。これはサーキット走るならリアサスは換えた方が良いのでは。公道でも荒れた路面を攻めたりすると、割と低い速度域からマシンが暴れそうな気がする。
 こういうところは手を抜いて欲しくないのだけど、どうせ初心者はそこまで攻めないから、ということなの?

 まあ、このR25を機に、もう少しこのクラスが盛り上がると良いんだけど。

 

 

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