山道具を買おう その1
低山から夏のアルプスまで
山に限らず、何か新しい趣味を始める時には、まず道具を揃えなければならない。
どの趣味もおしなべて本気になればなるほど金がかかるという図式になっている。登山は比較的金がかからない趣味という人もいるが、けっこうとんでもない話である。そういう人の言い分は、「道具を揃えてしまえば後はそんなにかからないから」と言うのだが、そういう人は私のように自宅から車で1時間も走れば登山口に行けてしまう人なんだろうな。
で、最初からひととおりの道具を揃えたらけたたましいお金が飛んでいくので、とりあえず何から買っていくべきか?という順番に書いてみようと思う。
その前に一言注意がが必要である。私は大のモンベルびいきである。それというのも、どこを向いてもバカ高い登山用具の中で、モンベルは相当安いのである。安いからといって性能が落ちるのかといえばぜんぜんそんなことはない。どのアイテムをとってみても、価格と性能のバランスは非常に良い。モノにもよるがモンベルと同等の性能を持った他社メーカーの品物はたいていモンベルより2〜3割高い。倍の値段を出せば確かにモンベル製品より明らかに高性能な物が買えるが、その性能がホントに必要かと考えればかなり疑問だったりする。
というわけで、火器類やクライミングのギア類など、一部を除いてほとんど全ての登山用品はモンベルでOK、だと思う。なのでモンベルクラブの会員にはなっておいて損はない、です。
とはいうものの、「着るものはノースは譲れない」とか「パタゴニアのフリースでないと絶対嫌だ」という拘りを持った人もいるだろうし、それは好きにすればいいと思う。ま、ウエアをモンベルで揃えるのとパタゴニアで揃えるのでは10万くらいの差が付いてしまうけど、財力のある人は止めはしない。
・・・でも正直、頭の先から爪先までモンベル、というのは気持ち悪いね。
なお、文中の表は、あくまでも「このクラスのモデルなら価格帯はこんなもの」という目安のために作製しており、別に特定のモデルを強く薦めているわけではない。
1.ヘッドランプ
というわけで、「真っ先に買うべき物」はヘッドランプなのである。
なぜかというと、山に登れば道に迷って夜になる、あるいはバテたり怪我をしたりして夜になる、という局面が必ずあるからである。10年山をやってるけどそんな経験はない、という人もいるかもしれないが、それは単に運が良かっただけである。どれだけ経験を積もうと慎重に行動しようと、山は人間の能力や経験を越えたものだからして、予想外のピンチは必ずあると思っていた方がまともである。逆にそういうピンチを招いた経験がない人は、例え20年山に登っていたとしても「ベテラン」ではない。
というわけで、山で夜になった時はヘッドランプがないと手も足も出ない状況に陥りがちなので、例え家の裏山に登る時でもヘッドランプはザックに入れておくべきだと思う。
両手を開けることができない懐中電灯は役に立たない状況もあるし、うっかり手を滑らせてロスト、ということもあるので、ヘッドランプをまず真っ先に買うべきだと独断だが断言しておこう。
カーマやムサシなどのホームセンターだと1000円を切るものもあるので、安いものである。1万円ほどするヘッドランプもあって、それは確かに明るくて光量調節もできたりして素晴らしいのだが、1000円のヘッドランプと比べて10倍素晴らしいか?といえばそれほどでもない。ので、裕福な人は良いモノをそうでないひとはそれなりのものを買えばいい、と思う。
で、ザックの中にはいつもヘッドランプと予備の電池を入れておくこと。
余談だが、ヘッドランプは「ヘッデン」と略して呼ぶのがベテランっぽく聞こえて格好いいかも。
ただしこの呼称は比較的最近になって定着したもので、私が学生時代は「ラテ」という呼称の方が一般的だった。もしかしたら大学山岳部の間でだけかもしれないが・・・
2.レインウエア
次にレインウエアである。こいつは少々値が張ることを覚悟した方が良い。
山で「雨に濡れる」ことはダイレクトに生命の危険と結びつく。条件さえ揃えば秋口の1000m級の低山でも凍死ということがあり得るのである。
安物のレインウエアと高いレインウエアの違いは「透湿性」である。防水性に関しては、500円のビニールカッパでも実は満点だったりする。
透湿性とは自分の身体が発散する水蒸気をどれだけウエアの外に放出してくれるか、ということで、基本的に防水性と透湿性は二律背反の関係にある。すなわち、防水性が高ければ透湿性は限りなくゼロになる。そこを特殊なメンプレンを使ったりコーティングで両立させているのが、「防水透湿性素材」というやつで、ゴアテックスが最も代表的な防水透湿性素材である。
つまり、平たい話が「悪いことは言わないからカッパはゴアのを買っときな」ということなんである。
ゴアのレインウエアは各社から出ているが、まあ普通に考えると価格性能比で選ぶとモンベルのストームクルーザー(約26
000円)ということになるだろう。少しだけ重くなるけどレインダンサー(約20
000円)も良い。これだけしっかりした造りのゴアの雨具が2万円を切っているということは、実はかなり驚きなのである。(レインダンサーは04年にモデルチェンジし、なんとストームクルーザーより軽くなってしまった)
他に各社オリジナルの防水透湿性素材のレインウエアを出している。東レのエントラントとかモンベルならドライテックなどである。私はドライテックとエントラントしか使用経験がないが、エントラントはかなり蒸れる感じだった。ま、これはかなり昔の話なので、今では多少改良されていることだろうが。
ドライテックはゴアとそれほど使用感は変わらない。安いのでけっこうお勧めかも。
各メーカーともいろいろ特徴を出そうと努力していて、ノースフェイスのレインテックスのように極端に薄い生地を使って軽量化しているモデルなどもあるが、生地の薄さは耐久性とも関連してくるので、最初はオーソドックスなものから選んだ方が良いだろう。ゴアテックスのパックライトという素材を使った軽量雨具も各社から出ているが、詳しくは述べないがこれも耐久性はちょっと不安である。ゴアテックスウエアの特徴や扱い方等が判ってくれば、極薄ウエアもパックライトも選択肢に入ってくるかもしれないが、最初はオーソドックスな3レイヤーのモデルが無難だと思う。
ゴアの製品は雨具に限らずメンテナンスが多少難しい、というよりきちんとした知識を持たなければならないが、丁寧に使えば10年くらいは軽く保つので、3万円近い投資も安いものである。
結論:オーソドックスなゴアテックス3レイヤーのものを購入
| メーカー | モデル名 | 価格 | 備考 |
|
モンベル |
ストームクルーザー |
27,090(込) |
ゴアテックス3レイヤー |
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モンベル |
レインダンサー |
20,790(込) |
〃 |
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モンベル |
レイントレッカー |
15,330(込) |
ドライライトテック |
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モンベル |
スーパーHDBRレインウエア |
9,345(込) |
スーパーハイドロブリーズ |
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ザ・ノースフェース |
レインテックス |
33,600(込) |
ゴアテックス3レイヤー |
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カモシカスポーツ |
オールウェザーライト |
19,800 |
〃 |
(04年の状況)
モンベルのレインダンサーがモデルチェンジしてストームクルーザーより軽くなってしまった。
両者の違いは、ストームクルーザーが30デニールのバリスティックナイロンのゴアテックス3レイヤー、レインダンサーは40デニールのフルダルナイロンの同じくゴアテックス3レイヤーとなっている。重量は650gと630gで、僅かだがレインダンサーの方が軽い。
太い糸を使いながら、なぜレインダンサーの方が軽いのかというと、おそらくストームクルーザーには立体裁断が採用されているせいであろう。
実質的に立体裁断の有無のみで他の構成要素はほとんど同じなので、この価格差だとレインダンサーの方がお買い得という気が・・・
また、04年にはモンベルオリジナル素材のハイドロブリーズも「スーパーハイドロブリーズ」にモデルチェンジした。防水性能は数値上はハイドロブリーズと変わらないが、透湿性能が向上している。ドライテックとほぼ同レベルになっているので、けっこう使い物になるかもしれない。
どうも私にはネーミングが昔懐かしい防水性はパーフェクトだが透湿性ゼロの「ハイパロン」を思い出してしまうのだが・・・
3.靴
3番目は靴かザックか迷うところではあるが、ザックは何かしらちゃちなものでも既に持っている、という前提なら靴の方を優先すべきだろう。何にもないのなら、もちろんザックが先である。
昔はキャラバンシューズか革の重登山靴しかなく、「キャラバンシューズを履くのは素人」というなんだか今にして思えば大きなお世話的な不文律があった。なので山屋たる者、重たい革の重登山靴で真夏の六甲から厳冬期の剱まで行ったものである。
まあ今思えば愚かなことだと思うが、あまり靴選びに迷わなかったのは確かである。
が、今じゃトレールランニングからトレッキング、アルパインまでありとあらゆる種類の靴が出回っていて、もしかしたら初心者が一番失敗しやすいのが靴選びかもしれない。
基本的にゴアテックスやシンパテックスなどの防水透湿性素材を使った靴を選んだ方が多くの場面で快適である。大雨で道が川のようになっていたり沢沿いのルートで水量が多くてちょっとした徒渉があったりして靴の中に水が入ってしまうと、ゴアの靴は却って厄介なのだが(完全防水と言うことは、靴の中の水も出ていかないということ)、それ以外のほとんどの局面では「ゴアって快適〜」と感動すること請け合いである。・・・あ、最初の靴がゴアだったら感動のしようもないか・・・
次にカット(足首の深さ)であるが、これは単純に平坦で整備された道ではローカットが歩きやすく、長時間の歩行や不整地ではハイカットが疲れにくい。
また雪渓などではローカットの靴は足首からガンガン雪が入ってくるし、雨でも同様。
つまり自分が登りたい山のどこに合わせて靴を選ぶか、ということなのだが、小屋泊まりで北アルプスの稜線を歩くくらいだったら、布製のいわゆる「トレッキングブーツ」が楽で良いかも、と思う。これだと低山ハイキングでも快適だし。
ゴアテックスを使った布製のトレッキングブーツは、モンベルのツオロミーブーツやタイオガブーツといったあたりで16,000〜17,000円、その他のメーカーだと15,000〜23,000円といった価格帯である。
注意しておいた方が良いのは、ミッドソールにポリウレタン(PU)を使っているか否か、という点で、かなり多くの靴がポリウレタンのミッドソールである。こいつは経年変化でいつか必ずパカッと剥がれるので個人的にはかなり嫌である。一度も使わなかったとしても4〜5年が寿命と言われている。
むろん、一度も履かなかったとしても4-5年も経てば、そもそもソール自体が硬化してしまっているので、どのみちソールは張り替えなくてはならないのだが、突然パカッと剥がれるのは論外だと思う。ソールが硬化していてもとりあえず帰ってくることはできるが、剥がれてしまってはどうにもならないではないか。
とはいっても、このクラスのトレッキングシューズでポリウレタン以外のミッドソールを持った靴を捜すのは結構大変なので、手入れを丁寧にした上で(湿ったり汚れたままだと寿命が大幅に短くなる)、早めのソール張り替えで対処するしかあるまい。
たまにポリウレタンのミッドソール+ソール張り替え不可能という靴がある。これは靴そのものの寿命が長くて5年と宣言されているのに等しいので、よほどのことがない限り避けた方が無難だと思う。
テント泊の縦走などもやってみたい人や、単にもう少し本格的なのが欲しい人は、やはりレザーブーツだろう。このクラスはヌバックレザーという独特の風合いのレザーを使ったものが主流のようである。相変わらずポリウレタンのミッドソールを使った靴が多いので気を遣うが、それでもこのクラスになるとソール張り替えはできません、なんてモデルはほぼ皆無なので、メンテとソール張り替え時期だけ注意していれば大丈夫である。
このクラスはモンベルのアルパインクルーザー2300と同2500が2万円少々と例外的に安いが、たいてい2万円代後半から3万円台である。
それ以上のスエードレザーを使ったりというモデルになると(4万円台に突入)、これはもうオールシーズン用、つまり冬山対応の靴なので、夏山には少々オーバースペックだろう。保温性はともかく、ソールの硬さが夏山には辛い。
ま、確かにモンベルの靴は安いのだけど、靴ばかりはどうもモンベルというのは個人的にピンと来ない。布製のトレッキングシューズなら、安いからモンベルでも良いか、という気になるけど、例えヌバックでもレザーブーツなら舶来ものが・・・という気持ち・・・
独断と偏見で主なメーカーのブーツの特徴を挙げてみると、モンベルは安くてモノはそこそこ良いのだけどとりたてて特徴がない、キャラバンは値段も手頃でモノも良いのだろうけれどもデザインがダサダサ、シリオは値段も高くはないしモノも良いのだろうけれども山小屋で他人のと間違えそう(シェア高いんである)、ローバーはドイツ製にしてはデザインがおしゃれ、ハンワグは昔ながらの重登山靴、ガルモントはとにかく格好いい、アルモンドは印象薄い、アゾロは昔は一流メーカーだったのに今じゃ妙に軟弱っぽい靴ばかり作ってる、ってところかな。
ちなみに、レザーブーツに関しては腕の良い職人はイタリアにしかいないらしい。で、純国産メーカーであるモンベルのレザーブーツも、生産はイタリアで行っているらしい。また、シリオは日本で企画してイタリアで生産を行っているメーカーである。
とはいうものの、日本にもゴローなどという純国産でブーツを造っているところもある。
なんにしても、どのメーカーがよいと言うよりも、靴の場合は「足に合うか否か」が全てと言って過言ではない。試し履きにはたっぷり時間をかけ、納得いくまで取っ替え引っ替えすることが大事である。店員が嫌な顔をしても怯んではいけない。むしろ嫌な顔をする店員がいるような店では、靴だけでなく他の用具も買わない方が良いくらいである。
それは東京靴流通センターなどでコールマンとかの安物トレッキングシューズを選ぶ時も同じである。
結論:ゴアテックスライナーのトレッキングブーツ
| メーカー | モデル名 | 価格 | 備考 |
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モンベル |
ツオロミーブーツ |
18,690(込) |
PUソール ナイロン+ヌバック |
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キャラバン |
GK-33 |
25,200(込) |
ナイロン+ヌバック |
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キャラバン |
GK-50 |
23,100(込) |
EVAソール ナイロン+ヌバック |
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シリオ |
411-GTX |
21,000(込) |
PUソール ナイロン+スエード |
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シリオ |
511-GTX |
30,450(込) |
PUソール ヌバックレザー |
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ガルモント |
ベーガンGTX |
21,000(込) |
ナイロン+合成スエード |
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ガルモント |
ストラータGTX |
24,150(込) |
スエード+ナイロン |
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ローバー |
メリーナGTX |
19,500 |
PUソール ナイロン+ベロア |
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ローバー |
トロントGTX |
22,500 |
PUソール ナイロン+ベロア |
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モンベル |
アルパインクルーザー2500 |
27,090(込) |
PUソール ヌバック シンパテックス |
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キャラバン |
GK-46 |
28,350(込) |
ヌバック |
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シリオ |
611-GTX |
31,500(込) |
PUソール ヌバック |
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ガルモント |
ダコタヌバックGTX |
45,150(込) |
PUソール ヌバック |
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ローバー |
サレックGTX |
33,000 |
PUソール ヌバック |
4.ザック
その辺の低山だったら適当なナップザックやデイパックでもOKだが、北アルプスの小屋泊まりとかになると本格的なザックが欲しくなる。
このザック、結局は1つでは絶対に終わらない道具なのである。複数必要なのである。私は子供用のザックを除いて、一部カミさんと共用だが5つザックを持っている。
つまり、日帰りか小屋泊まりかテント泊か、それも2〜3日か1週間以上か、で必要とするザックの容量が決まり、それぞれの容量のザックが必要となってくるわけである。なので登山のバリエーションが増えれば増えるほど、ザックも多くなっていく。縦走と沢登りではザックに求められる機能もかなり違ってくるので。
ザックは大きく「デイパック」と「アタックザック」に分けられる。キスリングとフレームパックは無視する。
デイパックとは、チャックでフルオープンさせて荷物を出し入れするタイプのもので、アタックザックは細長くて上から荷物を出し入れするタイプのもの、とする。
容量別に分けると、日帰り山行には20L程度、山小屋泊山行には40L程度、テント泊山行には60L程度、1週間以上のテント泊山行には80-100L程度のザックが必要になるだろう。ある程度は大は小を兼ねるので、とりあえず登山を始める時に「夏は北アルプスに行きたい!」というのであれば40Lクラスのザックを1つ買っておけばなんとかなる。
というわけで、一番優先順位が高いと思われる40Lクラスのザックだが、モンベルだとグラナイトパック、チャチャパックあたりがお勧めモデルである。どちらも1万円程度。一応、グラナイトパックはスキーやクライミングなどのテクニカル用途、チャチャパックはまさに小屋泊まり縦走などを想定したモデルになっている。
どこが違うのかというと、余計なストラップや外部収納は設けずシンプルに作っているのがテクニカル用のザックで、水筒や地図などを入れておける外部収納やポケット類を設定しているのが縦走用のザックである。もちろん小屋泊まり縦走にはチャチャパックの方が使いやすいだろう。グラナイトのシンプルさも捨てがたいが。
チャチャパックは容量別に45、35、30の3モデルがある。30は小柄な人のためのショートモデルオンリーの展開なので、普通は45と35のどちらを買おうかということになるのだが(45や35にもショートモデルはある)、容量だけでなくポケット類の仕様も異なるので結構悩ましい。まあお好きな方を、ということになるか。
ただ、初心者はどうしても似たようなモデルだと「容量の大きい方」を選んでしまいがちだが、ここは発想としては逆に「小さい方」を優先的に考えた方がよい。大は小を兼ねるとはいうものの、大きいザックを使うとどうしても荷物をたくさん入れてしまいがちだからである。本来、2泊3日程度の山小屋泊まりの山行なら、20Lのデイパックでなんとかなるのである。山小屋泊まりだと日程が増えても基本的に荷物は増えないので(行動食くらい)、例え1週間の縦走でも35Lのザックでお釣りが来るはずである。
このクラスのザックだとフレーム入りのモデルが多い。また、背面長別にモデル展開されていたり背面長の調節ができるものもある。購入時にはとりあえずそのあたりは確認しておいた方がよい。
また、モンベルのモデルはフレームを背中の形に合わせて曲げることができ、それで身体にフィットさせるので、購入時に店員にやり方を教えてもらいながら合わせてもらった方が良い。
次にデイパックであるが、これがなかなかバカにできないジャンルなのだ。
デイパックなんざその辺のディスカウントショップで980円で売っていたりするが、それらとちゃんとしたメーカーの品物はやはり雲泥の差がある。
20Lほどのデイパックだと、小屋泊まり2泊3日くらいの縦走までできてしまったりするので、それほど高いものではないし(モンベルのランドナーパックで7000円程度)余裕があれば1つくらい買っておくと面白いと思う。
デイパックで面白いのは、オスプレーというメーカーが出しているエクリプスというモデルで、デイパックのくせに40L以上の容量を持つモデルがある。これは本来スキーやスノーボード用のデイパックらしく、それらの装着ツールがやたら充実していたりするが、もちろん縦走に使っても面白い。荷物の出し入れに背面のチャックをガバッと開けなければならず、少々使い勝手が悪く感じるが、このモデルはとにかく荷物を無造作に放り込んでおけるのが良い。
その代わり、いわゆる「パッキング技術」は覚えることができないザックだが・・・
結論:まずは40Lクラスのザックを1つ購入
| メーカー | モデル名 | 価格 | 備考 |
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モンベル |
グラナイトパック40 |
11,550(込) |
シングルフレーム 35Lモデルもあり |
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モンベル |
チャチャパック35 |
10,500(込) |
シングルフレーム 45L、30Lモデルあり 収納機能充実 |
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ダックス |
チベッタ(40) |
14,500 |
フレーム 背面長調節可 |
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ダックス |
ムスターグ・アタ(40) |
22,500 |
スキー・クライミングギアホルダー充実 |
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ダックス |
メティス |
14,000 |
フレーム 2気室 背面長調節可 |
|
ダックス |
ノースアメリカン |
16,500 |
背面長調節可 |
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ロウアルパイン |
アルパインアタック40 |
11,500 |
ギアホルダー類充実 |
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オスプレー |
セレス38 |
14,800 |
フレーム ギアホルダー類充実 50L、70Lモデルあり |
|
オスプレー |
エクリプス42 |
17,800 |
背面ジッパー式 ギアホルダー類充実 36L、32Lモデルあり |
とれあえずこれで「三種の神器」は揃ったわけである。
その他に「必須」というわけでもないけれど、あれば助かる道具をいくつか挙げてみる。やはり優先順位の高い順に。
5.スタッフバッグ
要するに「防水袋」である。日帰り山行ならビニール袋で代用しても良いのだが、日数をかけた山行だとまず破れてゴミになるので、耐用年数は半永久的であることだし、少しずつで良いから揃えていきたい。各種サイズのものが数枚ずつ必要なので、単価がせいぜい数100円から1000円程度とはいえ、一度にとなるとけっこう辛いので・・・
普通のスタッフバッグは口をドローコードで絞るだけであり、完全防水は期待できない。ビニール袋と併用して防水性を高める必要があるが、口を何回か折り返してバックルで留めるタイプのスタッフバッグ(ドライバッグという言い方をすることもある)も、値は少し張るが2枚ほど購入しておくと良い。
6.ザックカバー
雨天時にザックを覆うカバーである。だが私は「あまり使わない派」である。というのも、ザックの中でスタッフバッグやビニール袋でそれなりの防水対策はしているからで、ザックカバー自体が小さく軽いとはいえ荷物になること、装着時に荷物の出し入れが面倒になることなどの理由で積極的に使いたいと思ったことがない。
ただ、行動時はそれでも良いのだが、テントなり山小屋なりの宿泊地に着いた時は、ドボドボに濡れて滴が垂れているようなザックは中に持ち込みづらいので、やはり億劫がらずに雨が降ったらザックカバーを着けた方が良いのかも。
購入時はザックの容量に合わせること。ザックカバーに関しては大は小を兼ねない。大きすぎるカバーだと、ザックカバーの中に水が貯まり、かなり大量の水も背負うハメになる。
7.地図及びコンパス
ほんとはこの2つは1番でもおかしくないほど優先順位が高いのだが・・・
なぜこの位置に書いたのかというと、地図とコンパスは使えなければ持っていないのと同じだからである。
コンパスはオイル入りのシルバーコンパスで決まりである。
また、地図専用の防水バッグも購入しておいた方が良い。雨に日に防水対策をしていない地図を出すのは非常に嫌なものだが、地図が必要となる時は雨が降っていることが多いからである。
地図はいわゆる「登山地図」でも構わない。2.5万図に馴れると4万分の1程度の登山地図には不安が残るが、昔は2.5万図が出ていない山域も多く5万図がメインだったことを考えれば贅沢というものだろう。ただ、地図が読めるようになってくると2.5万図でなきゃ嫌だ!とか言いたくなってくるが。
とりあえずウエア類は別にしてこれだけ揃えれば、夏の北アルプス(南アルプスでも良いけど)に登る装備は揃ったことになる。まあ登山用具店をうろついているとまだまだ欲しいものも出てくるだろうが、物欲に身を任せることができるか否かは財力にも依ることだし。