mont-bell 2018 Spring & Summer and Gear

モンベルのHP

アウトドア&フィッシング ナチュラム

 

 去年は結局更新をサボったので、モンベルのカタログ紹介は2年ぶりだ。
 いつでも書けるしそのうち…と思っているうちに更新のタイミングを失ってしまったのだが、今年もカタログが来たのは2月下旬なので同じパターンに陥りつつある(笑)
 でも今年はゴアテックスの表示等、いろいろ動きもあることだし、と重い腰を上げて更新するのだ。

 

< テ ン ト >

 

 多くのラインアップを抱えるテントだが、今年はさりげなくジュピタードームがラインアップから落ちている。
 それとクロノスドームのバリエーションでクロノスキャビンというモデルが追加された。

 クロノスキャビンは簡単に書くと、クロノスドームをベースに巨大な前室を持つフライシートを装備したモデルで、2、3、4型のラインアップである。クロノスドームが1型、2型、4型というラインアップなので、どちらかというとキャンプやバイクツーリング向きのモデルである。
 ただ芸が細かいのは、サイズがけっこう異なっていて、例えばクロノスキャビンの3型はステラリッジの4型よりテント本体の底面積は大きい。
 このあたり、ちょっとまとめてみる。

モデル名

短辺幅

長辺幅

室内高さ

重量

価格

ステラリッジ 1型

90cm

210cm

105cm

1.28+0.39kg

\27,500+11,500

クロノスドーム 1型

100cm

220cm

105cm

2.19kg

\21,000

ステラリッジ 2型

130cm

210cm

105cm

1.61+0.43kg

\29,200+12,000

クロノスドーム 2型

130cm

230cm

105cm

2.43kg

\22,800

クロノスキャビン 2型

130cm

230cm

120cm

4.30kg

\29,800

ステラリッジ 3型

180cm

210cm

110cm

2.04+0.54kg

\34,700+14,800

クロノスキャビン 3型

230cm

230cm

130cm

5.59kg

\39,800

ステラリッジ 4型

200cm

230cm

120cm

2.23+0.61kg

\37,500+16,000

クロノスドーム 4型

210cm

230cm

123cm

3.64kg

\35,500

クロノスキャビン 4型

260cm

260cm

140cm

6.35kg

\49,800

 * ステラリッジの重量、価格は別売のフライシートを含む、ペグやスタッフバッグまで含めた総重量

 

 まとめると、1型はクロノスドームステラリッジより少しだけ広く長い。そして重量は500gほどステラリッジが軽い。

 2型は幅は同じで長さはクロノス系の方がステラリッジより少しだけ長い。そして重量は400gほどクロノスドームよりステラリッジが軽い。
 クロノス系の2型同士では、高さが少しクロノスキャビンが高いが、底面積は同じ。

 3型のクロノスキャビンは230cm四方もあり、ステラリッジの4型より広い。クロノスキャビンの4型に至っては260cm四方で、これはオートキャンプ用の4人用テントのサイズである。

 ステラリッジクロノスドームの4型同士の比較では、サイズは意外にほとんど変わらない。幅が10cm、高さが3cm違うだけなので、体感的にはほぼ差がないと思う。重量は800gほども違うが。

 こうしてみると、クロノスドームは登山用としても十分に通用するスペックである。特に4型は4人だと重量さも1人当たり200g、3人でも270g弱なので、夏山限定ならば価格差を考えれば第一候補になってもおかしくないほど魅力的。

 新モデルのクロノスキャビンは、2型がちょっと微妙だけど3型4型は完全にオートキャンプ用という感じである。4型でも価格はムーンライトより安いし、テーブルを置けるくらい前室が広いし、良いんじゃないかな〜。
 2型は…どうなんだろう。オートキャンプなら2人でも3型の方が…と思う。130cm幅に2人って、登山なら良いけどオートキャンプでは少し狭いのでは。高さも低いし。
 登山や自転車では4.3kgという重量はさすがにちょっと考えてしまうし、オートバイツーリングなら選ぶ人はいるかもしれないけど、嵩張るので少なくとも自分は選ばない。

 や、それより今、クロノスドーム2型が欲しいのだが。オートバイツーリング用に。

 今はステラリッジ1型でバイクツーリングをしているのだが、やはりバイクでは少し狭い。ヘルメットとか嵩張る荷物もあるからなぁ。
 それにステラリッジの共通の弱点として、風通しが悪いので暑いのだ。山じゃ気にならない、というかむしろ防寒のために密封することが多いのだけど、バイクだとさすがにもう少し風が通って欲しいのに…と思うことが多々ある。
 それと出入口の構造は、やはりメッシュパネルが出入り口のパネルの外側になっていて、中から全閉状態からワンアクションでメッシュパネルの状態にできる方が良いんだよね。ステラリッジだと一度全開にする→内側のメッシュパネルを閉める、という二度手間を強いられるし、そもそもその間に虫が入ってきてしまう

 というわけでクロノスドーム2型が欲しい。というか、もう買うか買わないかというより、色はブルーかオレンジのどちらが良いだろうか、という選択に焦点が移っていたりする(笑)

 

< ブ ー ツ >

 

 といってもウインターブーツの話である。…春夏カタログの話なのに(笑)

 というのも、これまで冬に雪が降るとソレルブリザードという防寒ブーツを履いていたのだが、もう10年以上履いているため、さすがに限界が近くなってきた。濡れたところを歩くとどこからか浸水するんだよね。
 それでウインターブーツを買い替えよう、と思ったのだが、既にシーズンも終わりに近かったため、おそらく売れ筋のブリザードは既に欠品していた。
 仕方なくモンベルのウインターブーツを買おうか…と思ったのだが…

 モンベルで一番近いのはアスペンブーツになる。
 ショップで履いてみると軽い!軽いのは良いのだけど…
 裏地がフリース地でシンサレートを中綿に使っているのだけど、ちょっと柔らかすぎるかなぁ。あのブリザードの超極厚生地による丈夫さと、保温材はシンプルにフェルトという単純かつヘビーデューティーな造りが、履き慣れると手放せないんだよね〜。アスペンブーツを履いてみたけど、何となく頼りない…

 というわけで、来シーズンにブリザードを買おう、という結論になったのだった。

 ちなみにヴェイルブーツというモデルがあるが、これはやや短めの丈に履き口にボア、というソレルだとカリブーに相当するモデルである。カミックにも同様のモデルがあるし、辛うじて街で履いてもイケるデザインなので、多分このあたりが最も売れ筋なんだろうな。

 でも、特に今年のような豪雪があると、とにかく問答無用で深雪の中を行動できるのは素っ気ないブリザードのようなブーツなんだよね。ボアがあると、ボアに雪が附着するやんかー。

 

< シ ュ ラ フ >

 

 今季はダウンハガー900のシリーズがモデルチェンジしている。毎年どれかに少しずつ手を入れるようなモデルチェンジの仕方のようだ。
 生地に7デニールの極薄生地を使っているのだが、重量はほとんど変わらない(#1だとまったく同重量だし他の番手でも10-30gほどの軽量化でしかない)のだが、収納サイズははっきりコンパクトになっている。#1だと前モデルの5.1Lに対して今季モデルはなんと3.4L。

 

< ザ ッ ク >

 

 ロールアップシステムという新しいシステムを取り入れたモデルをいくつかラインアップしている。

 ロールアップシステムって、自分が持っているブラックダイアモンドスピード40がそうなのだが(今のモデルは普通のタイプに戻ってしまったが)、要するにメイン気室を閉じるのに従来のようなドローコードで口を締めるのではなく、防水バッグのようなクルクルと3回ほど巻いてバックルで留める、というタイプである。
 これ、けっこう良いと思うんだよ。
 生地やポケットなどの造りが伴えば防水性を高くできるという利点が大きいけど、開閉動作自体もわりと素早くできて(特に開ける方)気に入っていた。

 そしてザック上面からの浸水をシャットアウトできるということは、場合によってはトップリッド(ヘッドとか言う場合も)が不要になる、ということで、スピードもトップリッドを取り外して本体だけで使えるようにもなっていた。

 で、モンベルが今季展開するロールアップモデルは、なんとトップリッドがオプションである。ノーマルだとトップリッドがないのだ。

 …まあ、トップリッドは欲しいけどなぁ(笑)

 ロールアップシステム採用のモデルは、エクスペディションパックアルパインパックグラナイトパックの3モデルで、従来からクライミング系に位置付けられていたモデルである。つまりザック前面やサイドにポケットなどの付属物があまりなかったタイプのモデル。
 確かにその方が、ロールアップ採用による防水性の向上のメリットを最大限に発揮できるので、妥当なモデル展開だと思う。
 さらにこれらのモデルには、アクアバリアサックという、要するに防水インナーパックがオプションで用意されていて、併用すると沢登りにも使えるほどの防水性を確保できるようになっている。まあこれも以前から80Lなどの超大型防水スタッフバッグを使って個人の工夫で実現していたことなのだけど。

 エクスペディションパックにはアクセスジッパーが付いていて、前面から荷室内にアクセスできるようになっているのは従来と同じ。ただ、アクアバリアサックを使うと、当然のことながらその内部にはアクセスできないが。
 あと、共通して前面にポケットが付いている。これもストレートジッパーで開閉する、いかにも機能優先で色気がないのはモンベルらしい(笑)
 さらにギアホルダーがオプションで用意されていて、これを使うとスノーシューやスコップなど、大型の道具を外付けできるようになっている。

 ちょっと高くなったけど(グラナイトパック40だと旧モデル\12,800から\15,200になってしまった)、これは良いな、と思う。

 

< ギ ア そ の 他 >

 

 モバイルパワーパックというソーラーモバイルバッテリーが以前からあるのだが、モデルチェンジしてようやく普通に使える仕様になった。
 従来モデルはバッテリー容量も1,700mAhという貧弱な容量で、出力も1Aしか出なかったのだが、今回のモデルで4,000mAh、2A出力対応と、やっと"まとも"になった。まあ、今のスマホは既に3A充電対応になっているんだけどな。これだったらザックにぶら下げて1日充電しておけば、なんとかスマホを充電できるわけで(ソーラーではフル充電まではできないとのことだが)、少し高くなったけど1つ持っておけば何かと助かるかも。

 

< レ イ ン ウ エ ア >

 

 今季からゴアテックスの性能表示が変わった。
 これまでゴアテックスは生地や構成に拘わらず13,500g/m^2-24hという表記だったが、今季から性能表記がモデル毎に異なるようになった。
 まあそりゃそうだ。大昔にやってみた透湿性実験でも、同じゴアテックスでもモデルによって2割くらい違ったものな。貼り合わせる生地によって違ってくるのは当然だろう。
 ただ、これも例によって、なのだが、例えばストームクルーザーなど、性能表記が大きく変わったのに品番が変わっていないモデルがある。つまりモノそのものは変わってないのだろうな。いつものことなので意外ではないが。

 というわけで、やはりまとめてみた。

モデル名

表記

耐水圧

透湿性能

トレントフライヤー  ゴアテックス・パックライト

50,000mm以上

44,000g/m^2-24h以上

ストームクルーザー ゴアテックス C-ニット・パッカー

50,000mm以上

35,000g/m^2-24h以上

レインダンサー ゴアテックス

50,000mm以上

25,000g/m^2-24h以上

バーサライト ウインドストッパー

30,000mm以上

43,000g/m^2-24h以上

レイントレッカー ドライテック

20,000mm以上

20,000g/m^2-24h以上

コンバーチブル・レイン ドライテック

20,000mm以上

15,000g/m^2-24h以上

サンダーパス ドライテック

20,000mm以上

20,000g/m^2-24h以上

レインハイカー ドライテック

20,000mm以上

8,000g/m^2-24h以上

サイクル ドライシェル ゴアテックス シェイクドライ

50,000mm以上

98,000g/m^2-24h以上

 

 …同じ「ゴアテックス」でも透湿性が4割以上違う。
 というより、数値そのものが大きすぎる。これまで13,500g/m^2-24hだったんだぞ?一気に3倍以上ですか。

 ちなみに従来の透湿性表記はB-2法だったのに対し、今季モデルの表記はB-1法という違いはある。それにしてもだ。

 もう一度透湿性実験をしてみたいところだけど、以前の実験より大幅に発生水蒸気量が多いシステムを組まないと、とてもこの数値の検証はできないな…。

 数値そのものより、興味を引いた点がいくつか。
 従来は「防水素材ではない」と但し書きがされていたウインドストッパーが堂々と防水透湿性素材としてレインウエアに使われている。しかも30,000mmとお釣りがくるほどの耐水圧と43,000g/m^2-24hという下手なゴアテックスより良好な透湿性能とされていたりする。
 ちなみに昨年のバーサライトはドライテックの2.5レイヤーで168g(Men's M)だったのに対し、今季モデルはウインドストッパー2レイヤーで134gとただでさえ超絶的に軽いと言えたモデルが大幅に軽量化されている。これは15デニールから10デニールというナイロン生地の軽量化が大きいと思われるが。

 あ、ピークシェルがなくなっている。
 まあそりゃ、バーサライトとモロに被るモデルだったものな…

 また、自転車用で面白いモデルが。
 サイクル ドライシェルというモデルなのだが、ゴアテックスのメンブレンを何と表面に貼り合わせるという荒業をしている。そりゃ撥水処理をしなくても永久的に抜粋性が持続するだろうから、透湿性能は良くなるだろうけど…
 まあ登山用には無理だろうな。ザックを担いだら一発でダメになりそうだもの。

 

 

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