平成16年5月28日 ブナクラ谷

06:30 ブナクラ谷取水口 発
08:20〜09:20 ニセ戸倉谷出合
10:30 ブナクラ谷取水口
  2.5万図 「剱岳」「毛勝山」

 忙しい。仕事の方は少し落ち着いたのだが、PTAやら保育所の父母の会やらフレッシュテニス(スポンジボールとジュニア用の短いラケットで、バドミントンコートでやるテニス)の理事会やら試合やらで週末や平日の夜が確実に潰されていく。おまけに5月は週末になると天気が悪く、「明日の土曜日にみんなで山に行こうか」なんて言っていても中止になることしばしばである。
 雨で山行きを中止した翌週の平日が快晴続きだったりして、ちょっとストレスが溜まっていた。
 おまけに6月に入ると最初の週は父母の会、PTA、フレッシュテニスで金〜日曜が全て埋まっており、次の週は出勤日、その次の週は出張の予定が入っていたりで、「このままでは梅雨が明けてしまう」と危機感を募らせていた。
 なんせまだ「残雪の山」で遊んでいないのである。せっかくアイゼン買ったのに・・・

 それともうひとつ、ヤマケイのモニターでノースフェイスのジャケットが当たったのであるが、これのレポートを書かねばならぬ。けっこう普段着にしているのだが、山で使用したレポートも書かなくてはならず、それの締め切りが7/10。梅雨に入ってしまうし、ヘタすると山に行けずじまいになる可能性もあり得るので、とにかく行けるうちに行かないと残雪期が終わってしまう。
 そんなわけで木曜日に天気予報を眺めつつ、午後5時に突然「明日、休むから」と無理矢理休暇を取って山に行ったのであった。

 今年は残雪が少なく、街から見ていてももう夏山とたいして変わらないくらい山が黒い。よって残雪の山で遊ぶにはどうしても標高の高いところに行かねばならない。ほんとは立山に行きたかったのだがアルペンルートが高いのでパス(ちょっと金欠)。薬師は有峰林道がギリギリで開通していないので断念。またこの日の夜はPTAの会合があるので日帰り限定で、白馬方面も断念。
 結局、手近なところで遊ぼうということになった。一応猫又山まで行く、と家族には言っておいたものの、シーズン始めで体もなまってるし、途中の残雪で遊んでいたら時間切れになる可能性も高いし、まあいいとこブナクラ峠までかな、とは思っていたのだが・・・

ブナクラ谷取水口

ブナクラ谷取水口

堰堤の上は雪渓になっていた
堰堤の手前も土が被っているが雪渓である

登山口のハシゴ

上写真の赤点線部分の拡大

このハシゴを登って登山道に入る

 去年ここに来たときは、堰堤のハシゴ横からも放水されていたのでハシゴを登ることができず、左岸の方から高巻いたのだが、この日は素直にハシゴを登ることができた。
 ただしこのハシゴ、最上段が取れているらしく、登りはともかく下りでは最初の1歩がかなり嫌らしい。

取水口堰堤上の雪渓

取水口堰堤の上に広がる雪渓

 取水口堰堤の上は大きな雪渓になっていた。
 もうところどころにクレバスも口を開いていたが、これだけ残雪があれば上の方だって期待できる・・・と思ったのだが・・・


 残雪の上を歩いたのはここだけで、後はほとんど夏道を歩くことになった。
 夏道といっても、元々が「整備された登山道」ではなく、ボランティアによって刈り払われた程度の道なので、雪解け直後のこの時期では踏み跡も薄く、また倒木が遠慮なく道を塞いでいたりするので歩きやすくはない。
 また、どうも道は何本もあるらしく、去年歩いたときとは明らかに違うルートも歩いたりしていた。
 去年は下部の堰堤を2つ越えたあたりからかなり大きな高巻き道を歩かされた記憶があるのだが、今回はその高巻き道への入り口すら判らなかった。もっとも、そのままほぼ河原通しに歩いても別段嫌らしい箇所はなかったので、あの高巻き道が何を避けていたのかは不明である。

 大ブナクラ谷の徒渉は、水量が多くて少し手間取った。
 飛び石伝いに徒渉は可能なのだが、ちょっと距離が遠い。沢用のシューズを履いているのなら何のためらいもなく飛ぶ距離なのだが、今回履いているのは冬用の登山靴である。飛んだ先も濡れた岩なのでどうしようかと思った。
 下の本流の方向を見ると、本流のスノーブリッジが大ブナクラ谷を跨いでいるのでそこから行けそうなのだが、登り返すのも嫌だし結局飛び石で渡った。(帰りは横着して水中の岩に飛んだらモロに靴の中を濡らしてしまった)

 それにしても夏道は歩きにくい。元々歩きやすいとは言えない道なのだが、何と言っても履いているのは冬靴だもの。
 もう少し耐えていけば、ブナクラ峠への詰めではそこそこ傾斜の強い雪渓が出てきて、そこでちょっとアイゼン着けて遊べるから・・・とそれだけを心の支えにクソ暑いヤブ道を歩いていたのに・・・(そう、アイゼンもピッケルも持ってきているおかげで荷物も重いぞ)

ブナクラ峠を望む

ブナクラ峠が見えてきたが・・・なんじゃこりゃあ〜〜!

 いよいよ見えてきたブナクラ峠は・・・・
 雪なんてち〜っともなかった。これじゃ夏山だよ。
 道は左手の斜面に取られているので、峠まで雪を踏む機会がないことは一目見て判った。

 谷が曲がってこの風景が目に飛び込んできたとき、真剣にその場でUターンして帰ろうかと思った・・・


 気を取り直してもう少し登ろうと(心中、引き返すタイミングを計りつつ)歩いていると、戸倉谷の手前の沢(勝手にニセ戸倉谷と呼んでいる)に、そこそこまとまった雪渓が残っていたので、とりあえずここで遊ぶことにする。そう、モニターの証拠写真も撮らねばならない。

ニセ戸倉谷の雪渓にて

モニター証拠写真

 上の写真がセルフタイマーで撮ったモニター(着ている黄色のジャケット)の証拠写真である。
 暑いのでTシャツ1枚で歩いていたのだが、わざわざジャケットを着てピッケルもアイゼンも出し、三脚にカメラをセットしてマニュアルでピントを合わせ、シャッターを押してから全力疾走(アイゼン履いて)で・・・・という阿保丸出しの写真である。5枚ほど撮ったら息が上がってしまった。

 写真の場所は「なんでこんなところでアイゼン履いてるの?」と突っ込まれそうな緩い傾斜なのだが、この下の本流出合い方向はもう少し傾斜があった。ただクレバスもけっこう開いていて、遊ぶにはあまり適当な場所ではなかったのだが・・・でもどちらにしても、この気温で雪がグズグズに緩んでしまっていて、アイゼン歩行はちっとも快適じゃなかった。
 そんなわけで、写真で上の方に見える雪渓にも遊びに行ってみたりはしたのだが、結局遊ぶことは諦めて、もうこれ以上登る気もしなかったのでとっとと下山してしまったのであった。

 これだけ残雪が少ないと、今年は夏になると早くから切れてしまうだろうから、雪渓歩きはあまり楽しめないかも。

 

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