平成21年2月7日 北横岳
9:00 | ピラタスロープウエイ乗車(始発) |
9:15 | ピラタスロープウエイ山頂駅 発 |
10:00 | 北横岳ヒュッテ通過 |
10:15-10:55 | 北横岳山頂 |
11:30 | 坪庭 |
11:55 | 縞枯山荘前 |
12:10 | ピラタスロープウエイ山頂駅 着 |
もうずっとこればかり書いて自分でもこの書き出しが嫌になっているのだが、とにかく忙しい。
特に毎年この時期は忙しい。今年の2月なんか、第1週に筑波に4日間、翌週は三重に2日間、1週おいてまた筑波に3日間と、事務所の席が温まるヒマがない。
年度末でただでさえ忙しいのに、このところ数年はよそから試験研究課題を取っていて、それの実験やデータ分析、報告などがこの時期と重なるからよけい忙しくなるのである。
特にこの2月の第一週は、毎年試験課題の取りまとめ、分析や解析、追加実験などで筑波に行っている。
でも、一番山に行きたくなるのもこの時期なのである。夏は夏で良いけれどこの時期の山はまた別格なのに。
まあ体力も昔よりは落ちてるし、単独で登れる冬山も限られるので、毎年行きたいと思いつつもなかなか機会がなかったわけである。
去年も同じ2月の第一週に上高地に行こうと画策していたのだが、やはり今年と同じタイミングで出張で筑波に行っていた。筑波から帰ってとんぼ返りで上高地、という計画だったのだが・・・あまりに疲れていて断念したのだった。仕事も場合によっては普通の出張より遙かに疲れるのだが、何より連日の飲み会が傷を深くした・・・
行っていればakemiさんと現地で偶然ばったり会っていたはず、というのが判ったのは後日だった・・・
今年も同じ計画である。筑波から帰ってすぐとんぼ返りで山に行くという。毎年そうなのだが、山に行くとすればこの週でしか行けないスケジュールなのだ。
で、今年は去年の轍を踏まないよう、飲み会はセーブしたかというと別にそんなことはなく、連日楽しく飲みまくっていたわけだが、去年までと何が違うかというと今年は先々週も盛岡に4日間も出張していたこともあり、出張貧乏であまり金がなかったわけだ。なので深酒もそれなりのレベルだったのかも。まあその分、身体も出張続きで疲れているわけだが。
ともあれ、今年はとんぼ返り山行、無事決行!である。
実は本当は縞枯か北横岳の小屋に泊まりたかったのだが、決行を決断したのが遅かったので両小屋とも予約が取れず、やむなく日帰りになった次第である。
さて、夜中に車を飛ばして信州入りして、深夜2時頃にあまりの眠さと疲れに車中泊をする気にはとてもなれず、信州健康ランドに転がり込んだ。マッサージ関係がやたら充実していて、もっと早い時間に来ればもっと楽しめたと思うのだが(その分金も使いそうだが)、なんせあまりに疲れていたので風呂に入って仮眠室に転がり込むのがやっとなのであった。
翌朝、健康ランドがある塩尻の辺りは一面の曇り空で、もしや今日はダメなのか?と思ったが、諏訪まで来るとドピーカンの快晴だった。
無事ピラタスロープウエイの山麓駅に到着。
ピラタスロープウエイ山麓駅 |
出張前に既に車に装備は放り込んではいたのだが、手当たり次第なのでちゃんと整理してないのだ。
始発までに30分以上あったので、ゆっくり装備を吟味してザックに入れる。
ピッケルはちょっと悩んで、不要だろうと車に残した。さすがにアイゼンはザックに入れたが。
さて、出発である。
このロープウエイは120人も乗れるというジャンボなゴンドラで、始発ということもあってフル乗車状態だった。大半はスキーヤーorボーダーなのだが、登山者もちらほら。
支柱が何本かあるのだが、ゴンドラがその支柱を越える度にブランコのように前後に大きく揺れるのである。
話は変わるが、ホームで時間待ちの時から、私のすぐ近くにスキーヤーの夫婦がいた。あ、歳格好から夫婦だろうと思っただけなのだが。
その夫婦、奥さん(多分奥さんだと思うんだが)の方が少し鈍くさく、改札のアナウンスが流れた時にはまだブーツを履いておらず、旦那にせっつかれながら慌ててブーツを履いていた。
で、改札を通ってホームでゴンドラを待つ間に、奥さんがブーツのバックルを直そうとしてストックをホームの柵に立てかけたら、ストックは即座に下まで落ちてしまった。そりゃ柵だから当然なのだが(縦棒しか入ってない柵だぞ)。この時も旦那がカリカリしながらストックを拾いに行っていた。
そんなわけでゴンドラが動き出した時は、この夫婦の間にはかなり緊迫した空気が漂っていたのだが、最初の支柱を越えてゴンドラが大きく揺れた時、奥さんが「きゃ〜、怖い」とか言いながら旦那にしがみついていたわけだ。
で、ゴンドラが山頂駅に着いたら2人は和やかに談笑しながらゲレンデを滑り降りていったのだった。
よその夫婦の仲がどうだろうと知ったことではないのだが、あの揺れはロープウエイの演出のひとつなのだろうか?
始発のロープウエイに乗ってきた登山者はそれほど多くはなかったので、ほんとにこれで小屋の予約がいっぱいになるほどの人が来るのだろうかと訝しく思いながらスタートである。
北横岳ヒュッテへの登りから坪庭を見おろす |
天候はドピーカンの快晴。気持ちが良いぞぉ。
でも気温もさほど低くはないので、調子よくハイペースで歩くと大汗をかきそう。意図的にペースを抑えながら歩く。
ちなみにウエアは、アンダーウエアがモンベルのジオラインアンダーウエアのEXP、ミドラーがパタゴニアのR2ジャケット、アウターがパタゴニアのディメンションジャケットである。気温は山麓駅の駐車場で−3℃だったので、このあたりでは−5℃くらいか。この時期のこの界隈の山にしてはかなり暖かい日である。
なのでこんな格好でペースアップしたら大汗かきそう。
ちなみに手袋はモンベルのシステム3グローブ・レザーパームを持ってきていて、アイゼン装着などの細かい作業用にシャミースインナーグローブという薄手の手袋を持ってきていたのだが、結局システム3をザックから出すことはなかった。
北横岳ヒュッテへの登山道にて |
スノーシューを担いでいる。
とてもよく道が踏まれていて、使うまでもないわけで。
この写真はここで行き会った人に撮ってもらった。
行き交う登山者の何割かはスノーシューを履いていて、残る何割かは軽アイゼンを装着している。ピッケルを持っている人は何人かいるが、いずれもザックに装着したままで手に持っている人はいない。
スノーシュー・・・いらないぞ。こんな踏まれた雪の上でスノーシューを履いても邪魔なだけだぞ。
北横岳ヒュッテ |
森の中を歩くと北横岳ヒュッテに到着である。
良い雰囲気の場所に建っているので泊まりたかったのだが、次回にお預けである。
というわけで北横岳ヒュッテをスルーしてさらに歩く。
上から降りてきた人に聞くと、稜線では強烈な風が吹いていてとても寒いそうである。冬山はそうこなくっちゃ。
よく踏まれた雪道は歩きやすいせいか、夏の標準コースタイムより早い時間で頂上に到着。
なるほど、かなりの風じゃ。
北横岳山頂 背後に南八ヶ岳、右奥には南アルプスが見える |
ほんとに抜群の眺めである。下のパノラマ写真でだいたい180°くらいなのだが、その反対も視界は全開なので、360°の大パノラマである。
富士山だけは南八ヶ岳の背後に隠れているのか見えなかったのだが、南アルプス、中央アルプス、御岳に北アと中部山岳地帯の山は全部見えているのではと思うくらいの展望である。
ロープウエイ山頂駅から1時間半歩くだけでこんなモノを見れてしまって良いのか、と思ったくらい。
ちなみに頂上部はさすがに少し傾斜も強く、雪面もちょっと堅かった。「クラストしている」というほどではないのだが。馴れない人はアイゼンが欲しくなる程度の傾斜と雪面だったが、ピッケルは不要。
北横岳山頂からのパノラマ (クリックすると大きなサイズの写真が別ウインドウで開きます) |
このパノラマ写真に、赤岳などの南八ヶ岳、南アルプス、中央アルプス、御岳、乗鞍、槍・穂高連峰、常念岳あたりまで写っています。
槍・穂高連峰 |
望遠レンズを持ってくれば良かったと少し後悔した。奥穂高や大キレット、槍ヶ岳がこの焦点距離でここまで判るくらい写るということは、望遠レンズだとかなり面白い写真が撮れたのに・・・
ただ、風が強くてカメラブレを抑えるのは難しい。三脚を立てている人でもけっこう振られていた。
風が強くて寒い割には(それでも2月の八ヶ岳としては非常に暖かい日だとは思うが)山頂に長い時間いたのだが、下から続々と人が登ってくるわけだ。後のロープウエイで来た人達だな。
そのうち山頂が大賑わいになってきたのでそろそろ下山することにした。そりゃあ山小屋が泊まれないわけだわ・・・
部分的に雪が堅くてキックステップを使うところもあったが、雪面の下りは早い。
北横岳ヒュッテまで降りたところで休憩する場所はないかと少しウロウロしてみたのだが、良い場所は全て占拠されてしまっていたので仕方なく下山を続行した。そのウロウロした時間を入れても30分ほどで坪庭まで降りてきてしまった。登りのすれ違いがやたら多かったのにも拘わらず。
坪庭 |
坪庭は溶岩台地だということで、夏は岩がゴロゴロしている場所らしいが、この季節は一面の雪原である。
雪がもっと多くてトレースがなく、ホワイトアウトしていれば、無事に通過するのが難しい場所なのだろうが・・・
坪庭から北横岳や登山ルートがよく見える。頂上部の右手のこんもりしたピークあたりに北横岳ヒュッテが建っている。
その右手の山腹にルートが斜めにジグザクを切っているのもよく判る。
この下の写真は等倍で見ると、登山者も写っていたりする。
坪庭から北横岳 |
このまま帰るのはさすがに物足りないのだが、今さら縞枯山などに登り返す気も起きないのでどうしたものかと思ったのだが、せっかくなので縞枯山荘あたりまでは行ってみることにした。
坪庭の周遊ルートからロープウエイ山頂駅〜縞枯山荘の道に合流するあたりが急傾斜で、ひょっとしたらこの日のルート中で最も難易度が高い数歩だったかも。転んだって怪我するわけでもないのだが。
縞枯山荘 |
縞枯山荘の前は気持ちいい雪原になっている。
ここで幕営しても良いのだったら、近くに住んでいたら毎週来たいくらいである。
雪原にはスノーシューの後が縦横に付けられていたが、こんなカチカチに締まった雪をスノーシューで歩いてもいまいち・・・新雪直後は楽しそうだ。
縞枯山荘までは来てみたものの、縞枯山まではとても行く気になれず(時間的には十分行ってこれるのだろうけど)、ロープウエイ山頂駅に帰ることにする。ここで宿泊の予約を入れていれば、縞枯山まで行ってくるかという気になっていたかもね。でも、その場合は翌日どこに行くんだ、と悩むことになるかも。
ピラタスロープウエイ山頂駅 |
というわけで山頂駅に帰還である。
あまり目一杯歩くと帰りの車の運転が辛いので、ちょっと物足りないくらいがちょうど良いのかも。
というわけで、やや物足りないのは事実だが、天候に恵まれて気楽に歩けて楽しい1日だった。
ま、持ってきたスノーシューとアイゼン、それにせっかく買ったシステム3グローブはムダに終わってしまったわけだが。
それと、冬山にしては気軽に登れる山なので人は多いとは思っていたが、まさかこれほどとは予想していなかった。始発のロープウエイで上がって良かった・・・
また、この界隈の山はスノーシューで遊ぶには最適の山、というイメージがあったのだが、これほどまでに踏まれているのでは、ハゲ山の方がよほど楽しめるとは思った。まあこれも、今年はあまりに雪が少なすぎるからなのだろうが。
山頂駅から大勢の人がスノーシューを装着して縞枯山方面や五辻方面に歩いていくのを見たが、これほど踏まれている雪なら、ツボ足の方が断然歩きやすいのに・・・と思いながら見送ったものである。
それより謎なのは、山頂駅で12本爪のアイゼンを履いてピッケルを手に持って縞枯山荘方面に歩いていったパーティーがいたのだが、あちら方面にそんな山があるのだろうか?彼らはどこに行ったのだろう?
なんせドピーカンの快晴に恵まれてもあまり気に入らなかった、なんて山はないわけで、当然この界隈もまた来たいと思うくらい楽しめたのだが、今度はこんなに快晴でなくても良いから、もっと雪が多くてもっと寒い時のこの山に来たい、と思った次第である。