骨董品のヘルメット

 とある方から、私が薬師見平のテレビ放映で被っていたヘルメットについて質問があった。「あれ、工事用のヘルメットですか?」と。

 なんだって?とんでもない。クライミング用のヘルメットでも最高級品だったものでございます。なんつってもガリビエールなんだぞ。
 ガリビエールっても今は聞かないから、もう潰れたかどこかに吸収されたんだろう。でも一昔前はガリビエールのメットとブーツ貧乏山屋の憧れの的だった。なんせ高かった記憶があるな。メットはまだ高いと言っても知れているが、ブーツは高嶺の花で学生でもっているやつはいなかったように記憶している。少なくとも私の周囲の貧乏学生では。30年前の1970年代に、青い革の登山靴なんて他になかった。さすがフランス。

 まあそんなわけで登山靴は指をくわえて見ているだけだったのだが、ヘルメットは買った。私が愛用していたのは1980年代だが、当時1万円以上していた。まあ買えない額ではないが、他が6000〜7000円も出せばいろいろ選べたのに、やはり高かったという記憶がある。

ガリビエールのヘルメット

ガリビエールのヘルメット

 これがその薬師見平にも被っていったガリビエールのヘルメットである。墜落したり落石を受けたりして割れたり大傷が付いたりしたので、これは3つ目くらいのものである。

 元々買ったときはこのヘルメット、純白だったのだ。
 こんな色になってしまったのは、長年日光に晒されたことによる紫外線焼けである。
 無数のキズは、まあザックにぶら下げて付けた傷が大半だが、小さな落石を受けたりちょっとした墜落を受け止めたりしたキズももちろんある。いわば歴戦の跡である。

 


 

ガリビエールのヘルメット 裏面

ガリビエールのヘルメット 裏面

 今のメットのような発泡スチロールの緩衝剤などは一切使われておらず、このバンドのみで衝撃を吸収する造りである。
 しかもこのバンド、革製なのであるが20年を経てもまったくガタが来たりする気配がない。恐ろしく頑丈な造りである。

 


 ま、バンドにヘタりなどは見られないとはいうものの、もう20年経過しているし既に「性能保証」の期間は遠い昔に過ぎ去っていることだろう。ま、ヘルメットなんて気休めくらいにしか認識していないので、こんなのでも被って山に行っているわけだが。
 それでも実はこの20年の間に私がジャバ化した結果、顎ヒモの長さがかなりギリギリになってしまっている。

 まあそんなわけでさすがに買い換えようかなと思っている今日この頃である。今まで赤木沢程度でメットを被るなんて考えたこともなかったが、もし転んで怪我をしたりしたとき、「中高年登山者、ヘルメットを被らずに事故」とか新聞に書かれるのなら、メットだけは被っておこうかという殊勝な気持ちにもなりかけている。(来年の夏までこの気持ちが保つかどうか・・・)

 でもなかなか気に入ったのがない。
 まずどれも小さいのである。カンプもペツルも外国のメーカーだろう。あんなに図体がでかいのに、頭はこんなに小さいのか???ちゃんと脳みそ入っているのか?と言いたくなるほど小さいぞ。やはり薄々気づいてはいたが、俺の頭(必然的に顔も)がでかすぎるのか・・・

 それとどれもこれも内側の緩衝剤に発泡材を使っている。こんなだと1〜2年しか保たないのではないか?

 それと最も大切なことだが、私が被っても工事用ヘルメットに見えないデザイン、というのが・・・

 まあそんなわけでなかなか気に入ったのがない。
 やはり来年の赤木沢もメットなしで行くのか?

 

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