沢登り用シューズ その4
ただ今迷い中・・・
沢靴の柳又アクアはあまり登場回数は多くなかったのだが(この数年、忙しいのとチャリに趣味が移行しつつあるので山行日数が減少の一途を辿っているし)、寿命を迎えつつある。
まあ、これで沢登りはあまりしてないけど、黒部源流界隈に行くときはほとんどこの靴だったから、そこそこ履いてはいたのであるが。
で、今シーズンはまた沢靴を買わねばならないのである。今年はちょっと沢をたくさんやろうか、と友達とその気になっていることでもあるし・・・
で、現在のところキャラバンの渓流シリーズのラインアップはこんな感じである。
高い方から黒部、大峰という2つのシリーズがあり、それぞれにアクアステルスを使用した"アクア"モデルがある。また、丹沢という廉価版が出ているのだが、これにはアクアの設定はない。さらにモンタナというアクアステルスとBOAシステムを使用したニューモデルがラインアップされている。
この中で買うならモンタナかな。渓流シリーズのアクアステルスブーツをアプローチから下山まで1足で済まそうとした場合にいくつか数えられる大きな弱点の1つに、「脱ぎ履きがとにかくし辛い」というのがあるので、モンタナは少なくとも弱点の1つはクリアしているわけだ。
その他の弱点、衝撃緩和性能が弱く疲れやすいとか、縫い目が多くてアッパーがヘタりやすいとかいう弱点がクリアされているかどうかはわからないが。モンタナは黒部とか大峰よりは若干縫い目は少なく見えるな。
それにしても、何のためのモデルチェンジなのだろう?前に履いていた奥利根から何も変わり映えしていないのだが・・・
少なくともこの無意味なほどに多い縫い目は減らす努力をして欲しいモノである。この縫い目が解れてアッパーがダメになるんだよ。ヘタすればソールの寿命より先にアッパーがダメになる。奥利根アクアは、ソールだけならまだイケるのにアッパーが完全にダメになっていて、歩くと足がグラグラするくらい解れている。
沢靴は使用時間のほとんどが「濡れている」状態だし、それも普通の登山靴のような半端な濡れ方ではないので、アッパーの傷みが激しいのは当然判る。でもそれならなおさら、縫い目を減らすなり補強するなりして対策して欲しいものだ。モデルチェンジを重ねても一向に改良される気配がないのはどういうことよ。
というより、何のためにモデルチェンジしているのか、見ていてさっぱり判らない。
それと、ソールの爪先がまず剥離してくるのもモデルチェンジを重ねても一向に改良される気配がない。
奥利根アクアも柳又アクアも、ソールはまず爪先から剥がれてきている。
そんなわけで、実はキャラバンの沢靴はできることなら買いたくないのである。とはいうものの、アクアステルスを使った沢靴なんて他から出ていないし(秀山荘の忍者は候補外)、さてどうしたものか。
実はパタゴニアがラバーソールのウェイディングブーツを出しているのである。
パタゴニア:リバーウォーカー・スティッキー というのがそれで、フェルトとスタッドと併せて3モデル出ている。興味があるのは当然スティッキーのみである。同じソールを使ったパタゴニア:ロック・グリップ・ウェーディング・ブーツ(スティッキー/スタッド)というモデルもある。
アクアステルスじゃなくてパタゴニア独自ソールなんだけどね。これが果たしてどうか・・・というあたりが焦点かな。
パタゴニアサイトのユーザーレビューでは、アクアステルスよりは滑る、とある。
パタゴニアと連絡を取って、東京出張の際にでも一度試し履きをさせてもらう予定である。まあ水中のグリップまでは試すべくもないのだけど、靴の造りやサイズは合わせられるので、それで最終決定をしようと。
ところで、最近キャラバンも秀山荘もだが、アクアステルスブーツのページに、下のような注意書きがされている。
アクアステルスソールはアメリカのクライミングシューズ・トップブランドファイブテン(アナサジ社)が開発した特殊ラバーソールです。フリクション性能が高く、アプローチシューズとしても使用でき、汎用性に優れています。ただし、ヌメリがあったり苔むした岩には適しません。ご使用にあたっては状況を見極める判断が必要です |
よく判らんなぁ。共通で書かれているということは、ファイブテン社からの指示でこのようなことを書いているのだろうが、何かクレームでもつけるやつがいたのだろうか。
そういえば某沢登り技術書にも、「水苔のついた岩ではフェルトより滑りやすいので中・上級者向けのシューズだ」などと書かれていた。
ちょっとおかしいね。水苔がついた岩では、フェルトだって滑るぞ。アクアステルスが滑ると言ったって、フェルトよりは滑るのが確かだとしても、普通のビブラムソールに比べたら絶大なグリップだぞ?
それにそれ以外の状況、普通の濡れた岩、草付きや乾いた岩ではアクアステルスの方が圧倒的にグリップする。ちなみに苔むした岩では、少なくとも雲の平から薬師沢までの下りに出てくる「苔むした岩」では、アクアステルスのグリップは最強である。フェルトやビブラムソールの靴を履いた人がそろそろと腰を落として降りてくる横を飛んで走れるくらいである。
沢登りに出てくるあらゆる状況の中で、フェルトがアクアステルスに勝っているのは「ヌメリがあったり苔むした岩」だけで、他はアクアステルスの圧勝なんである。そのヌメリや苔むした岩も、岩質によってはまったく問題ないし。ヌルヌルに水垢が付いた岩ではそりゃ滑るが、フェルトだって滑る。
少なくともアクアステルスで「怖い」と思ったことは一度もない。フェルトで乾いた岩を登る方がよほど怖いぞ。
総合的に考えて、初心者ほどアクアステルスの方が良い、と思うのだけどね。
アクアステルスにこんなことを書かなければならないのなら、フェルトのウェイディングブーツだって、「ただし、乾いた岩や草付きには適しません。ご使用にあたっては状況を見極める判断が必要です」って書かなきゃな。
12.04.09
結局、悩みに悩んだ末、間違いはあり得ないが最もつまらない選択をして、キャラバンの大峰アクアを買った。
パタゴニアのリバーウォーカー・スティッキーも、一時はほとんど買う気になっていたんだけどなぁ。
2月にパタゴニア鎌倉店でわざわざ用意してもらって試し履きをしたのに・・・パタゴニアさん、ごめんなさい。
やはり決め手はソールの性能である。そりゃそうだ。クライミングシューズだってソールのグリップが最優先だろ。
リバーウォーカー・スティッキーのソール性能は沢の中で履いたことがない以上、判らないのである。アクアステルスのソール性能は判っていて、何の不満もない、ということなのだ。
アクアステルスの性能が極めて良好なので、他のソールは「アクアステルスと比較して許容範囲内の性能低下であるか否か」が選択の余地があるかどうかの分かれ目になっちゃうんだよな。何もアクアステルス以上であることなど、最初から期待してもいないわけで。
ソールが許容範囲内であれば、「靴としての造り」が良ければ選ぶ可能性があるんだけど。
でも、そのソール性能が未知数なので、いざとなると選びにくいなぁ・・・
これがいつもの年のように、沢なんて行ってせいぜい赤木沢くらい、というのであれば選んでみたかもしれないけど。赤木沢なら靴は何だって行けてしまうから、多少性能が劣るソールでも良いか、と思うのだが。もしアクアステルスに迫るソールなら儲けモノだよな、って選び方ができるのだよな。
今年は少しマジメに沢登りをしたいな、と思っているので、やはりこういう選択になってしまいました。
キャラバン 大峰アクア |
ん〜、ほんとにモデルチェンジする意味があるのか??何のためにモデルチェンジしているのだろう?
車じゃあるまいし、定期的にモデルチェンジしたって買い換え需要があるわけないのだし、どのみちまともな使用状況では2〜3年しか持たないのだから、モデルチェンジせずに同じモデルをず〜っと売っていたって定期的に売れていくはずである。俺、これが柳又アクアだったとしても、それを買っていたもん。
相変わらず無駄に縫い目が多いように見える。普通の登山靴とは異なり、「濡れる」のが前提の靴だから縫い目の傷みは激しいのが最初から判っているのだから、もう少し考えれば良いのに。ソールより先にアッパーの寿命が来てしまう造りは如何なものか。
ソールも、爪先の先端が最初に剥離してくるのは、このモデルも多分同じだ。改善してくれる気はないのかね?
また、細かいホールドに立ち込む時のこととか考えて、爪先までソールを回り込ませて欲しい。
ユーザーからそういう声、届いてないのか?
ひとつだけ「機能性が向上」したと思われるのは、シューレースである。細い紐になったので、締めるのも緩めるのも非常に早い。
なので脱着性は非常に向上している。まあ、「沢靴」としてはどうでも良い部分(しかも緩みやすい、ということでもあるので、むしろマイナス評価)ではあるのだが、水陸両用で履いている私には嬉しいポイントではある。
このアクアシリーズ、大峰の上に黒部アクアというモデルがある。
この黒部の方が足首に薄手とはいえパッドが入っていたりして、快適性はより高い造りになっている。
ただし、この黒部はワイズが3Eで、私にはちょっと広すぎるのである。いや、これも水陸両用と考えればこのくらい広い方が楽なのかもしれないが、2Eの大峰の方がフィット感は高いので、結局こちらにした。もう「水陸両用」というよりは完全に「沢靴」を選んでいる考え方だが。
ちなみにリバーウォーカー・スティッキーはもっと広いので、それもマイナスポイントだったのだ。
もういいや、ソールさえ良ければさ。
そのうちどこかが、アクアステルスを使った「もうちょっと考えられている」モデルを出せば、無条件でそちらに流れると思うので、それまでの辛抱だ。