ヤマハ YBR250

 

 2021年秋、東北ツーリングから帰ってきた翌週にカミさんのZZR250がお亡くなりになった
 この時の記事で「次のバイクは既に決まっていて納車待ち」と書いたのだが、その納車、実に伸びに伸びて3月になってしまったわけなのだ。
 どういうことかというと…

 ZZRが廃車になった時、カミさんはこれでもう乗るバイクがない、と悲嘆に暮れていたわけだが、私には実は当てがあったのだ。
 それはYSPで長い間、記憶にある限り私がこの店に出入りするようになってからずっと、店の片隅でひっそりと展示されていたYBR250の中古車である。ずーっと値札も付けられずに展示場の肥やしになっていたバイクである。
 このYBR、最近見かけないので、もしやもう売られてしまったのか?とZZRの次のバイクの相談にYSPに行った時に聞いてみたら、今は第二倉庫で眠っているという(笑)
 もはや売る気がない、というより売れるとは思っていない、ってことだなこれは(笑)

 聞けばこの店で新車を買った人の下取り車として入ってきた個体らしく、1オーナーでそれほど距離も乗られていないらしい。
 ところがリアサスが抜けていて交換が必要なのだが純正品はすぐ抜けると評判が悪いので、適当な社外品を調達すれば売れる状態にできるのだけど、なんせマイナーなモデルなので情報も乏しく、そのまま倉庫の肥やしになっているのだとか。

 が、値段が合えば買うよ?と言ったら10分で適合するリアサスを見つけてきた(笑)
 やっぱ売れると思ってなくて放置されていたらしい(笑)

 ところがその社外品リアサスも海外品なので、到着するのにすんごく時間がかかり、結局5ヵ月も経ってようやく納車、となった次第なのだ。

 まあどうせ冬の間は乗れないので良いんだけど。

 

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ヤマハ YBR250 既にホムセン箱を取り付け済み(笑)

 

 ちなみにこのYBR250というモデルは、中国ヤマハが生産しているバイクで、YSPが2011年から数年間、逆輸入して販売していたモデルなのだ。
 エンジンは空冷単気筒の250cc、要するにセローのエンジンである。
 外装品は、中国生産の割には安っぽさはあまりない。YSPが販売していた際の価格は確か30万台半ばだったと記憶しているので、かなり安いバイクだったのだが、意外なほど普通である。ステップ周りもきちんとしているし。

 

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YBR250のメーター周り

 

 メーター周りも良い感じである。流行りのギアポジションインジケーターは付いてないし、オドメーターもトリップ(2つある)や時計と切り替え表示なので、まあこのあたり愛想はないけど、メーター照明も明るいし、ウインカーのインジケーターも左右独立だし、なんだか意外なほど普通だ。

 

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納車前週、嬉しそうに跨ってみるカミさん(笑)

 

 さて、納車後はスマホホルダーとUSB給電を取り付け、調子を見ながらまだ私が主に乗っているのだが、気づいたことをいくつか。

 まず、ヘッドライトが明るい!
 普通のハロゲン球なのだけど、R25より格段に明るいじゃないか。

 そしてエンジンはやはりセローと同じエンジンだけあって、21psという数値以上に元気に走る。
 トルクの出方がとても良いので、中速域で走るととても気持ちが良いエンジンだし、流れの速い幹線国道を十分リードして走れるだけの速さはある。さすがに100km/hから上はじりじり伸びていくだけだけど。
 乗りやすくてとても良いエンジンである。

 が、気になったところも。

 まずエンジンの始動性。

 いっちょ前にFIなのだけど、セルを回してもエンジンがかからず、エラーコードが出ることがある。
 最初、このバイクにはETCをヒューズ電源でテールランプから、USB給電をバッテリーから直に取っていたのだが、キーをオンにしてエンジン警告灯がが消灯し、もうしばらく待ってETCユニットがカード挿入の有無を判定してアナウンスするまで待たないと、確実にエラーコード19が出る状態だった。
 このエラーコード19は、ネットで調べてみるとYBR250によく出る症状らしいのだが、要するに「サイドスタンドスイッチ」の警告らしいのだ。
 サイドスタンドスイッチとは、サイドスタンドを出したままエンジンをかけてギアを入れると即座にエンドンを止めるためのスイッチなのだけど、このYBRにはそんな上等なスイッチは付けられていないのに、である。

 しばらくあれこれ悩んでいたのだが、バッテリーもこの車格にしては小型のモノしか装備されていないので、電圧がギリギリなのかということで、USB給電をテールランプから取りなおしたら(ETCユニットと分岐配線にした)治った。
 エンジン警告灯が消灯するまで待たないとやはりエラーコードが出るが(今どきの国産バイクは推奨はされていないがエンジン警告灯が消灯する前にセルを回しても確実に始動はする)、まあこれでエンジンの始動性についての問題は解決、ということで。

 もうひとつはウインカーのキャンセルスイッチ。

 まあ普通にプッシュキャンセル、つまりウインカースイッチをセンターの位置で押し込むとウインカーが消灯するタイプなのだが、これがまた押し込んでも消えないんだな〜。下手するとウインカースイッチが奥に押し込まれたまま戻ってこない。

 バラしてクリーニングしてみたら、薄いプレートで押し込んでウインカーの位置をセンターに戻すような構造になっていたのだが、そのプレートの位置に遊びがあるのでズレて戻せなくなることがあっても当然、という構造だった。

 なんだこれは。こんなチャチな構造で確実な操作ができると思ったのか?

 このスイッチボックスの設計者を呼び出して正座させ、30分くらい説教したい気分である(笑)

 まあとりあえず、ウインカースイッチを押し込むときに、下から押し上げるように押し込むと、まず確実にキャンセルできる、ということが分かったので、私はもう操作に問題はないのだけど、カミさんはしばらく手こずりそうである(笑)

 こういう細かいところはやはり中国…という感じはするね。

 でもほんと、良いバイクだと思う。

 燃費も40km/Lはまず切らないし、タンク容量が19Lもあるので驚天動地の航続距離の長さなのだ。

 以前、あるバイク雑誌で「ワンタンクでどこまで走れるか?」という企画をしていて、それが東京で満タンで走り出し、本当にマジにガス欠で止まるまで走り続けるというおバカな企画だったのだけど(褒め言葉)、YBRは広島あたりまで走れてしまったと記憶している。
 人間の方が持たない(笑)

 これ、ヤマハがちゃんと国内仕様でその気になって売っていれば、けっこう売れたんじゃないか?
 今は本家のセローですら生産中止になったわけで、もうこれを国内で正規販売するのは不可能だろうけど、10年前にちゃんと国内仕様で出していればけっこうヒットしたのでは、と思うほど良いバイクだと思う。

 

 

 

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