平成17年8月27〜28日 赤木沢

8/27 8:00 折立 発
8:40 アラレちゃん通過
9:05 三角点通過
10:40-13:00 太郎平小屋
14:50 薬師沢小屋 着
8/28 7:10 薬師沢小屋 発
  8:10 赤木沢出合
  9:20 赤木沢大滝
  11:10 主稜線(赤木岳付近)
  12:50-13:35 太郎小屋
  14:45-15:00 三角点 
  15:55 折立 着
    2.5万図 「薬師岳」「三俣蓮華岳」

 赤木沢はかれこれもう10回以上行っている。「美しい」「楽しい」という言葉がこれほどドンピシャリはまる沢もあまりなく、激しいゴルジュやかっちょいい滝を歯を食いしばって攀るだけが沢の楽しさじゃないよな〜と実感する谷である。というか実際、こういう谷を頭を空っぽにして歩くのが一番好きだったりして。あまり空っぽになりすぎると、下山してからも頭が空っぽのまんまになってしまうので社会復帰が困難になって困るが。
 という赤木沢にもかれこれもう12年ほど行ってなかった。登山自体をしばらく中断していたこともあるが、「いつでも行ける」と思うと却ってなかなか行かなかったりする。
 まあそんなわけで、「行ってみるか」と思い立ったので行ってみたわけであった。

 今回は最初から「赤木沢に行くぞ」と決めていたので最初からネオプレンのソックスに沢靴、というスタイルだけで通した。尾根道をネオプレンのソックスで歩くのは暑苦しくてかなわん、と思っていたのだが、薄手のネオプレンのソックスだとそれほど暑くないことが判ってきたので。
 薬師沢小屋に入るとまたもイワナの会に遭遇した。しかもメンツも7月に会った時と半分以上同じ。当然、夜は宴会となるわけだが、私は歩き疲れと「明日は赤木沢に行くんだ!」と固い意志を持っていたので、さっさと寝る。彼らも今日は高天原から奥の廊下経由で来たらしく、かなり疲れていた様子で珍しいことに9時にはみんな寝てしまったのだった。
 小屋には明日の予定が赤木沢というパーティーも多く、他に太郎に幕営しているパーティーもいるだろうから、「明日は赤木沢、ラッシュかな〜」なんて思いながら寝たのであった。

 翌朝は朝早くから周りでお客さんがバタバタしていたにも拘わらず、朝6時まできっちり熟睡していた。お客さんの朝食が終わってほとんどの人が出発し、従業員の朝食が始まるのがだいたい朝6時なのである。それまではどんなに騒がしくても熟睡しているのだ。
 だいたい小屋で働いている頃は、私が寝ていた従業員部屋の上の段は、寝ている私の顔の上1mは2階の客室の床である。当然、朝4時頃から起き出してバタバタ歩き回る物音がしているのだが、そんな物音で目を覚ましてしまっては山小屋の従業員は勤まらないのである。遅番の時はきっちり時間ぎりぎりまで眠っていないと体が保たない。

 いつもは部屋掃除も手伝ったりして行動開始が午前10時頃になってしまうのだが、今日はさすがに赤木沢を遡行してそのまま下山なので行動時間が長い。7時過ぎにさっさと出発する。それでも太郎で幕営していたパーティーが通過した後だったので、この日の赤木沢入渓者としては最後発である。

 余談だが赤木沢のルート図は21年前に初めての沢を遡行した時に描いたものがあるのだが、今見てみると笑えるくらい正確だったの少し手を加えて載せてみた。このリンクをクリックすればルート図が別ウインドウで出てくるので、見ながら本文を読んでいただければ幸いです。

黒部本流のゴルジュ(赤木沢出合の手前)

赤木沢手前の本流ゴルジュ(ルート図の1)を下流から

 赤木沢を遡行する際、技術的に最も難度が高い場所は、実は赤木沢の中にあるのではなくここ本流である。
 左岸(写真の右側)に高巻き道も付いているのだが、私が足繁くこのあたりに遊びに来ていた頃は高巻き道ははっきりしたものはなく、水量が多かろうが少なかろうがゴルジュ内を通っていた。
 ルート図の1の場所になるのだが、ルート図には本流の滝の周りにゴルジュ記号を描いているが、この手前のゴルジュ(滝の手前で沢筋が屈曲するところ)には特に何も描いていない。特に難所だという認識がなかったのだろう。

 水量はこの時期(8月下旬)にしては多かった。先月(7月24日)に通った時とほとんど同じくらいあった。
 ここは写真左側の壁際をじゃぶじゃぶ進み(水位は股下くらい)、その上の瀬になったところで左岸(右側)に徒渉した。徒渉点の水位は腿くらい。普通8月末だとここは膝上くらいで「どこでも渡れる」状態のはずなんだけど。
 徒渉した後は、写真の右奥に突きだして見える壁のあたりまで進み、再び右岸に徒渉して奥に盛り上がって見える河原に渡った。ここの水位も腿から股下くらい。実は私の足はあまり長くないのでちょっとパンツが濡れるくらい、だった。「股下」というのは私のささやかな見栄である。
 ちなみに河原に徒渉せずにそのまま左岸の壁をへつっていくこともできる。壁に上がる最初の数手が少し難しいが、残置ピトンがあるのでそれを掴めば楽ちんである。でも、壁をへつるより徒渉した方が圧倒的に早いと思うが。

 

赤木沢出合手前のゴルジュを上流から

同じゴルジュを上流から(7/24撮影)

 同じゴルジュを上流から見た写真である。上の写真で「盛り上がっている河原」の一部が奥に見えている。
 河原から大きな岩伝いに再び左岸(写真の左側)に徒渉した。水位は膝上。まあ狭いゴルジュの中なので、それなりに水流は激しいが。
 それでもまあ徒渉馴れしている人にとっては別になんてことないゴルジュである。巻いたりへつったりするよりは、ザフザフ徒渉した方が圧倒的に楽だし早い。へつりが好きな人はへつれば良いと思うけど。高巻きが好きな人は・・・いないか、そんな人。

 

黒部本流の滝(イワナ留め)

黒部川本流の滝(7/24撮影) ルート図の1

 そのゴルジュのすぐ上にこの滝がある。
 ここは左岸に立派な高巻き道がある。この写真は7月に散歩に来た時にその高巻き道から撮ったものだが、今回は時間を重視して右岸を直答して抜けた。
 昔はこの滝は右岸直登でしか通過したことがなかった(高巻き道があることを知らなかった・・・)。ちょうど被ってくる岩に頭を抑えられてちょっと苦しいところに残置ピトンがあるのが写真でも見える。確かにここに1本あれば楽である。古いのでどこまで信用していいやらちょっと迷ったが、どうせハーケンが抜けて落ちてもすぐ下の淵にダイブするだけだしと、目一杯掴ませていただきました。

 

赤木沢出合 本流の棚(ミニナイアガラ)

赤木沢出合の本流の棚(ミニナイアガラ) ルート図の2

赤木沢

合流する赤木沢

 赤木沢出合は黒部川本流で最も美しいところ、と言われている。ま、立石だって上の黒ビンガだってそう言われているのだが。
 でも確かにここは黒部特有の激しさや険しさが皆無でただひたすら美しい、という点で唯一無二かもしれない。実際、薬師沢小屋でバイトしていた頃は、よくここまで散歩に来てただポケッとこの景色を見ていた。朝9時に小屋を出てここでビール1本飲んで昼食までに小屋に帰る、というパターンが多かった。
 この赤木沢出合は、本流がちょうど2段の棚になっていて、その間に赤木沢が合流してくる。
 上の写真に見える大きな(落差3mほど)が上の棚で、誰かがここに「ミニナイアガラ」などというセンスのかけらもない名前を付けた。
 下の写真で手前から奥に伸びる岩床が下の棚である。これは落差は1mないくらい。下の写真の左に赤木沢の合流点が見える。
 この淵でバイト仲間がよく泳いでいたが、ムサいアニキが泳いでいると著しく美観が損なわれた。自分もよく泳いでいたから人のことは言えないが。

 ここで先行パーティーに追いついた。彼らが下の写真の右手に見える巻き道から赤木沢に入ろうとしていたので、私は壁際をへつって赤木沢に入渓した。一見、淵が深そうに見えるが実は水際に棚がせり出してきていて、膝上くらいまで水に入れば楽勝でへつれるのである。高巻きの順番待ちが嫌だったのもあるが、ここはへつった方が断然楽しい。

 赤木沢に入ったところで先行パーティーを追い抜き、さっそく出てくるナメ床を浮き浮きと歩き出した途端、足が滑って派手に転倒してしまった。平坦なところなのでズブ濡れになるだけで済んだが、これはいかん、怪我でもしたらえらいことと気を引き締め直す。
 なんせこの日8月28日は私の誕生日である。しかもこの誕生日はただの誕生日ではなく、40歳の誕生日なのである。何が特別なのかって今日から統計上「中高年登山者」に分類されてしまうのである。その初日に事故って「中高年の単独登山者の事故」なんて書かれるのだけは死んでも嫌である。今日ばかりは例え骨折して動けなくなっても、ピックアップに来た救助隊に「助けてくれなんて言った覚えはない」とか「遭難したつもりはない」とか口走りそうである。歳を聞かれたら「39歳」とかサバを読むかもしれん。
 そういうわけで今日は事故ってはいけない日、なのである。いや、いつもそうなのだが。

 

赤木沢最初の滝

赤木沢最初の滝(ルート図の3)

 とはいうものの、赤木沢でそんなにカリカリに気を張っていられるはずもなく、この滝に来る頃にはやっぱり「頭空っぽモード」に戻っていた。この間、わずか5分である。いつもこの滝を見ると「おお〜、始まったぞぉ〜」と浮き浮きして頭が空っぽになるんである。
 ちなみにこの滝、右側の傾斜の緩い棚状のところをトコトコと登っていけばいいのだが、ふと見ると右岸(左側)に立派な巻き道が付いていた。昔はこんな巻き道はなかったので、「へぇ〜、こんなところに巻き道が」と思ってついついその巻き道を通ってしまった。滝上に出た後でなんだか損をした気分になってしまった。

 

赤木沢四段の滝

四段の滝(ルート図4)

 次は赤木沢で一番格好いい滝、四段の滝である。実はこの滝、私には三段にしか見えない。イワナの会が「四連の滝」という名前を付けているのだが、なんで四段なんだろうといつも不思議に思っている。議論したこともあるが、いつも双方泥酔しているので要領を得ない。

 この滝は「頭空っぽ」で遡行する赤木沢の中で唯一、ちょっと気合いが入るところである。なぜなら草付きの高巻きがあるからである。
 だいたい滝の高巻きって滝を直登するより危険なことが多い。単純な技術的難度は直登より易しくても、滑ったり滑落した時の危険度はたいてい高巻きの方が高い。高巻きはほとんど全ての場合、巻こうとする滝の高さより高度があるし、滝だとたいてい格闘する相手は「岩」だが高巻きの場合は脆いヤブ混じりの岩やヤブそのものなど、イレギュラーなものが相手である。ロープできちんと確保を取っていない場合も多いし、高巻き中の滑落はたいてい死亡事故あるいは重大な事故に直結する。
 その高巻きの中でも一番嫌なのが「草付きの高巻き」なのである。樹林帯の中であればどんなに傾斜があっても滑落即転落とはなりにくい。どこかの木に引っかかって止まる確率が高いし、第一ヤバければ確保も取りやすい。笹ヤブの高巻きも、笹はかなり強度があるので足が滑っても手で笹を鷲掴みにしていればまあ落ちることはない。腕力次第だが。
 ても草付きはほとんどの場合、足が滑ったら即転落に直結するのである。草なんてどれだけ掴んでも抜けて終わり、である。しかもよく滑る。
 そんなわけで、見知らぬ沢のルート図なんかを見ていても、「草付きの高巻き」という単語を見るだけで、ある種のプレッシャーがずん、と胸にのしかかってくるのである。

 ま、ここの高巻きは写真の右手を巻くのであるが、草付きといってもそれほど傾斜があるわけではないのでたいしたことはない。とは言っても「足が滑ったらそれまで」なのは同じなので、あまりいい加減な歩き方をしては危険なのである。そういう意味で赤木沢で最も注意して行動すべき場所、である。

 ただ、昔はなかったのだが右岸(左手)の笹ヤブに巻き道が付いている。ならばこっちの方が断然気楽である。頭空っぽでも登れる。
 この右岸の高巻き道は一段目と二段目を一緒に巻いていた。三段目もどうやら右岸から巻く道がある様子だったが、今度は左岸の草付きの巻き道も高度があまりないので笹ヤブをこぐより楽である。
 というわけで、今回は一段目と二段目を右岸の笹ヤブから、三段目を左岸の草付きから巻いた。多分これが一番気楽で早いルート。

 ちなみにこの滝、一段目は左岸の壁を直登できる。見るからに登れそうでしょ。
 ただし、淵が深いので泳がなければ取り付けない。昔はそうやってよく遊んだ。滝のど真ん中だって簡単に登れる。かなり豪快なシャワークライミングになって楽しい。二段目と三段目は壁が立っているのでちょっと難しそうである。ザイルを使ってハーケンを打ってまともにやればやれないこともないかも、とは思うが、赤木沢にザイルなんて持ち込んだことがないので試したことはない。

 この滝はどの段も淵が非常に深い。
 昔、バイト仲間と遊びに来た時に女の子が2人、下着姿になって二段目の淵で泳いだことがあったが、その風景はまるで天女のようであった。思わずそばの岩に脱いであった服を隠してしまいたい衝動に駆られたが、それを実行していればおそらく今頃生きてはいまい
 また、おっさんが全裸になって泳いでいる光景も見たことがあるが、その光景はまさしく血の池地獄で蠢く赤鬼のごとくであった。同じ場所でどうしてこうも違うのか。

 

赤木沢階段状の滝

赤木沢階段状の滝(ルート図5)

 四連の滝(三段だと思うんだけどなぁ・・・)を過ぎてしばらく行くと、この階段状の滝である。遡行図には30mと書いてあるが、イワナの会ではどうやらこの滝は「糸引きの滝」という名前を付けているらしい。高さは10m。いくらなんでも10mということはないと思うのだが、まあ滝の高さなんて実際に測量して書くわけではないのでいい加減なものだし、特にこういう傾斜が緩い滝は記録者によるばらつきが大きい。
 ここで別の先行パーティーを捕捉した。沢の写真は人が入っていないとスケール感があまり出ず、なんだかつまらないのですかさず写真を撮った。結局沢の中で見かけたパーティーはこの2パーティーだけだった。

 赤木沢ってずっとこんな感じである。空は開けていてどこまでも明るく、ナメが続いて滝はどこからでも好きなように歩ける。

 

赤木沢大滝

赤木沢大滝(ルート図6)

 この赤木沢大滝が、大きな滝としては赤木沢最後の滝である。この谷唯一の直瀑である。
 高巻きは左岸、写真の右手のブッシュの中を登る。例の先行パーティーが登っているのが写真でも見える。(ちょっと見にくいかも)
 ここの高巻きは傾斜はあるが樹林帯の中なのでさほどプレッシャーはない。まあ落ちてもどこかに止まるだろうし。そもそも立木などホールドは豊富なので落ちないだろうし。

 イワナの会でイワナの移植放流に来た時は、たいていここの淵にイワナを放して引き返していた。
 なので赤木沢に10回以上来たと言っても、この上まで行って稜線まで抜けたのは、いいところ7〜8回かな。

 大滝の上はいろいろルートが取れる。それこそその日入渓したパーティーが全部別々のルートで稜線に抜けることだって可能である。ルート取りが下手であればちょっとだけハイマツのヤブこぎをしなければならなくなるだけだし、上手ければまったくヤブこぎをせずに稜線に抜けることもできる。

 ルート図は、この谷を初めて遡行した時に描いたもので、この時はひたすら本流を真っ直ぐ詰めて中俣乗越に出た。大滝を越えて最初に右から入ってくる沢に入り、適当に左岸の草付きを上がれば薬師沢左俣の源頭部にショートカットできる。
 まあほんとにお好きなように、というところである。

 今回は大滝を越えて右(左岸)から入る2本目の沢(滝になって入る沢)に入った。ルート図の7の地点である。入ってしばらくした二俣は右に取った。
 それからしばらくすると、先行パーティーが右手(左岸)の草付きを登っていくのが見え、ちょっと後を着いてみたがハイマツのブッシュに突入しそうだったのでやめてもうしばらく沢を詰めた。

 

赤木沢源頭部の大草原

赤木沢源頭部の大草原(赤木岳方面を望む)

 それでも右手の草付きが「早くこっちにおいでよ」といわんばかりの様子だったので、適当なところで小さな尾根に上がった。
 上がったところから上を見ると写真のような大草原が広がっていた。
 見渡すと草原のあちらこちらに数パーティー見える。みな思い思いのルート取りで稜線を目指している。

 実際、この草原は季節が季節なら「一面の大お花畑」なのである。こんなところをズカズカ踏みつけていって良いものかどうか。

 赤木沢は黒部源流の沢ではダントツに入渓者が多く、年間500人くらいは入るそうである。さすがに500人がお花畑を踏んで歩くとなると、無視するわけにはいかないと思うし、「赤木沢遡行者は全て本流を最後まで詰めて中俣乗越に出るべき」と言う人もいる。そのルートが一番ゴーロの上を歩く距離が長い、すなわちお花畑を踏みつけて歩く距離が短いからである。
 それも一理ある、とは思う。
 でも、年間500人が全てそのルートを通るとどうなるか。中俣乗越に出るルートだって短いながらもお花畑はあったはずだ。年間500人がそこを通ると、そこは確実に完全に地肌が露出した「道」になってしまうだろうな。そうなってしまえば、そこに雨が降ると水が集中的にそこを流れる。そうなれば周囲の植生にも影響を与えるだろうし、雨上がりでぬかるんだ状態の時に通る人は、そこを避けて脇を通る。そうすればそこがハゲる。そこに水が流れて・・・とどんどん「道」が広がっていき、あっという間にお花畑は全滅してただのザレ場になってしまうかもしれない。
 一方、500人の入渓者が今のように思い思いのルートを歩けば、この広大な草原でほとんど誰一人として「同じルート」は通らないわけだから、実際のところ「草原へのダメージ」は小さいのではなかろうか。
 この草原を稜線まで詰め上がるのに、かなり広範囲にお花畑を歩いたのだが、あまり昔に比べて「荒れている」という印象は持たなかった。
 ただ、上から見ると赤木平の鞍部を乗り越して薬師沢左俣に入るルートは、完全に地肌が露出して「道」になっていた。このルート、最短で「草原」に出ることができるので、多分通る人が多いのだろう。昔、ここに出てしまって季節外れの大お花畑に仰天し、とても踏めなくて薬師沢の左俣に逃げてしまったあたりで、その時は踏み跡すら何もなかったのだが・・・

 でも、ほんとうのところ、どうすべきなのかは今はまだよく判らない。判った頃には遅いのかもしれないが・・・

 ということを考えながら草原を登って稜線を目指したわけである。
 今度からは最終的にどの枝沢を詰めるにせよ、せめてなるべく最後まで沢を詰めよう。

 

赤木岳付近から黒部五郎岳を望む

稜線に出た地点から黒部五郎岳(奥)を望む

水晶岳、雲ノ平、赤牛岳

同じく手前に雲ノ平、奥に右から鷲羽岳、水晶岳、赤牛岳を望む

 草原の中にところどころ出てくるハイマツ帯をとことん避け、赤木岳のあたりに出てきた。天気が良くて抜群の展望だったのだが、実はかなり腹が減っていて行動食を貪り食いながらついでのように撮った写真がこの2枚である。
 あとは太郎小屋まで2時間足らずで飛ばしたので、途中で槍ヶ岳が格好良く見えたり、唐突に剱が見えたりもしていたのだが、写真も撮らずにひたすら歩いていた。なんつっても今日は私のバースデイということで、下山後家族と食事に行くことになっていたのであまりゆっくりもしていられなかったのだった。

 そういえば今回は恒例の「超望遠ネタ写真」を撮らずじまいだった。この広角の写真ですら、PCのモニターで等倍観察すると、いろいろ面白いものが写っている。雲ノ平の登山道も一部見えるし、温泉沢の登山道が降りる尾根はかなり下の方まで見えている。登山道は尾根に入ってすぐ向こう側の支尾根に入っているのだが。
 望遠レンズであれこれ撮ってみたら、けっこう面白いものが写っていたかもしれない。ちょっと残念だが、なんせこの時は行動食を貪り食うのに忙しかったのである。

 かなり一生懸命飛ばしたので、太郎小屋でもはや力尽きた感があった。なので太郎から折立までの下山はけっこう時間がかかっている。三角点で15分も休憩しているし。ここでも行動食を貪り食っていた。

 

 まあそんなこんなで久しぶりの赤木沢、楽しかった。大事に登らなきゃなぁ、と思うのであった。

 

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