平成25年8月22〜27日 薬師沢

 

 帰ってきてから2週間近くも山行記を書けなかったのは初めてかも。

 8月初旬に薬師沢に行ったばかりなのだけど、下旬にも長期の休みを確保していた。9月は忙しくて連休が2回もあるのにも拘わらず、あまり遊べそうにないことが判っているので、8月の内に遊んでおくのだ。5日もあれば久しぶりに赤木沢にも行けるかも知れないし高天原にだって行けるかも。

 今回、Facebook友達のいまいさん達が同時期に薬師沢入りすることも判っていた。前日に薬師沢入りする予定だという。

 ところが。
 8月初旬から2週間ほどカンカン照りの好天が続いた後、やたら強い雨が降る日が続くようになった。東北などでおおきな被害も出ているようだ。
 予報では入山予定の22日だけで好天の予報で、その前後はかなり悪そうなのである。入ってしまえばこっちのものなのだけど・・・

 前日、いまいさん達の入山日なのだが、なんと有峰林道が止まっている(雨量が基準値を超えたため通行止め)になっているという。

 この日まで、松下さんたちが入っていた。松下さんはあの魔のシルバーウイークの時に一緒に居候していた人なのだが、現在はティムコの社員でフライフィッシングツアーを率いて薬師沢に入っていた。
 その松下さん達は豪雨の中、有峰林道が止まっているのを承知で下山してきて、結局飛騨側の下山方向だけ開通した際に無事下界に降りてきたらしい。
 その松下さん情報で、明日22日も開通するかどうか・・・という話を聞き、いまいさんたちは飛騨側の入り口に移動してしまった。有峰側が開通しなくても飛騨側だけは開通する可能性が高い、ということで。
 私は、翌日は好天の予報だったので、いくらなんでも2日連続で通行止めなんてそうそうあるものか、と予定どおり有峰から入山予定だった。

 さて22日。予報どおりのまずまずの天気。有峰林道も朝から全線開通。

 折立に着いて装備をまとめていたら(久しぶりに"駐車場"に停めることができた・・)、いまいさんたちも折立に到着してきたので、何となく一緒に行動することになった。

 

折立

折立にて いまいさん達

 

 今回はタイムアタックはなし。喋ったりだらだら休憩したりしながらたっぷり4時間半かけて太郎に到着。

 太郎はちょうどヘリの荷揚げの日だったようで、ひっきりなしにヘリが行き来していた。ということは、薬師沢もか。
 高天原方面に、L字型の何か1つだけを提げて飛んでいくことが数回あったのだが、後で聞くとそれは現在工事中の高天原山荘のバイオトイレのパーツだそうな。コンクリで重いので一度に1個しか運べないのだとか。

 

太郎平小屋 ヘリの荷揚げ

太郎小屋の荷揚げ

 

 翌8/23。
 天候が悪いのは始めから判っていたことなので、興味はどこまで増水するか?だったりして。
 さて、どこまで増えたかご覧あれ。

 小屋に到着したら青山さんが来ていた。青山さんもfacebook友達でリアルでは初対面だと思っていたのだけど(いまいさん達もリアルではこの日が初対面)、「はじめまして」と挨拶したら、「初めてではありませんよ」と返されてしまった。昔々、一度会ったことがあるのだそうだ。
 薬師沢小屋の本棚にイワナの会の写真がアルバムにまとめられているのだが、確かに20数年前に氷見で総会をしたときの集合写真に、私と青山さんが一緒に写っていた。へぇ〜。

 

黒部川本流 平水時

平水時の黒部川 吊り橋から 8/22撮影

 

黒部川本流 増水時

増水時 8/23撮影

 

黒部川本流 平水時2

平水時 8/24撮影

 

黒部川本流 増水時2

増水時 8/23撮影

 

 ま、結論から言えばそれほどたいして増えはしなかったのだ。
 午前中は薬師沢が頑張って増えていた。本流がまだ少し透明度が残っているというのに薬師沢は真っ茶色な濁流になっていた。
 でも、それでも順子岩の半分くらいが隠れただけで、昼頃には減水し出したのだった。
 これで終わりか〜?物足りんな〜とか思っているところに、今度は本流が。
 本流は頑張って吊り橋下のペンキ印が隠れるくらいまで増えた。

 ま、増水はそんな感じだったのだが、もっと大きな異変が。

 それはまたもや有峰林道が通行止めになってしまったことである。
 おかげでこの日は金曜日で70人もの予約があったのに、結果的に来たのは2人だけ。その2人は逆の雲の平方面から来た人である。
 そりゃそうだ。折立からは誰も来れないもん。
 そんなわけで、お客さんは連泊のいまいさん達を入れても4人という、8月とは思えない寂しい週末の夜となったわけであった。
 いや、居候的にはパラダイスなんだけどさ。

 いまいさん達は日曜日に下山予定なので、土曜日がダメだったら単に宴会しに薬師沢小屋に来たことになってしまう。
 その8/24土曜日、天候は午前中はまだぱらついていたりしたものの、増水する気配はなく釣りには良いんじゃない?って天候だった。

 午後からいまいさんたちは釣りに行き、私も下流にちょっと散歩に。
 いまいさん達は薬師沢に入っていると思っていたが、行ってみると下流にいた。

 

釣り師たち

本流にて いまいさんたち

 

 この日は凄かったよ。増水した翌日ってイワナがたくさんいるものだけど、この日は特に凄かった。ポイント毎に湧いている、という表現をしたくなるほどたくさんいて、しかも大型のものがたくさんいる。
 いまいさん達も笑いが止まらないってほど釣り上げてる。

 

薬師沢小屋HDR

薬師沢小屋 (HDR)

 

 上の写真はEOS MのHDRモードで撮影したもの。輝度差が大きくて普通に撮ったのでは空が真っ白に飛ぶか前景が真っ黒に潰れるかどっちか、という条件だったので、露出をばらして数枚撮ったものをHDR合成するのだが、最近はカメラでHDR撮影ができるものも多い。1回シャッターを押すと3連写して、しばらく待たされた後に画像が出てくるのだが、手持ちでも連写中に微妙にずれた構図を合わせてくれるオマケ付き。

 

薬師沢小屋での宴会

薬師沢小屋での宴会

 

 別に宴会していたのはこの日だけではなく、ほぼ毎日していたんだけどさ。
 でも翌25日はバイトのM君(左手前)が下山する日だったので、特に盛大にやっていたというわけで。
 景子ちゃん、ウイスキーをラッパ飲みしてるぞ・・・?

 25日、朝から雨。やっぱりかよ〜。
 M君は雨の中、小屋を出発していった。いまいさん達も出発。
 私たちは相変わらず小屋でうだうだ。午後から晴れてきたが、やっぱりうだうだ。

 

集合写真(1)

8/24 M君下山の記念写真

 

 夜は久しぶりに晴れた。明日は良い天気だな。
 連日の宴会に疲れ気味なこともあって、この日はみんな飲もうとはせず早々と寝る体制だったので、写真を撮ることにした。飲んだらなぁ〜、写真なんて撮れないからなぁ。いろいろ落とすのが関の山だもん。

 

薬師沢小屋の星空

天の川

 

 まずは天の川。肉眼でもはっきり見えるくらい空が暗い。小屋の灯りがなければもっとはっき見えるだろうが・・・
 いかんせん、空が狭いので超広角をもってしてもこんな半端な写り。でも、星景には人工物の前景を入れたいので、これがぎりぎりの画角。

 

薬師沢小屋の星空(2)

ヘリポートから薬師沢小屋と星空

 

 少しカメラを右に振ると薬師沢小屋が入る。この方向には天の川もたいした星座もないのが残念。

 残念なので少し回してみることに。

 

薬師沢小屋の星空(3)

ちょっと回してみた

 

 上はISO800 , F5.6 , 840秒。
 ちょっとオーバーになるかな、と思って撮ったのだが、やはりもう少し絞れば良かった。ソフトフィルターを使ったので、窓灯りが広がってしまったのもちょっとアレかな。

 ほんとは、吊り橋を渡って「薬師沢小屋HDR」を撮った場所辺りまで行けば、かなりナイスな構図の写真が撮れそうなんだけど・・・
 飲んでたら論外だな。絶対カメラを川に落とす気がする。
 しかしこの小屋に来て飲んでない夜なんて・・・これまでに何回あった?この10年でこの夜が初めてではなかろうか。

 翌26日。初めての朝から快晴。
 この日は赤木沢に遊びに行こうと決めていた。数年ぶりだし、写真も撮りに行きたいし、そもそも6日間も薬師沢にいながらどこも行かずにじゃりん子チエだけ読んで帰るというのは、いくらなんでも物足りないもんな。

 というわけで、つい2週間ほど前に赤木沢の出合までは遊びに来ていたのだが、今日は久しぶりに赤木沢に入ってみることに。
 ただ、上まで抜けるつもりはない。面倒くさいもん。四段の滝辺りで引き返して、釣り堀(本流の3m滝の下の渕)でじっくりイワナを見よう、という計画だったのであった。

 

赤木沢出合HDR

赤木沢出合 (HDR)

 

 赤木沢出合もHDRで撮ってみた。青空の下の出合はまた一段と綺麗。

 赤木沢に入って最初の滝、F1の下に来ると、上に先行パーティーが見えた。人数からみて昨夜薬師沢小屋に泊まった10人パーティーのようだ。

 ・・・ちょっと遅くないか??
 私が薬師沢小屋を出たのが8時半、10人パーティーは6時には出ているはずである。2時間半のビハインドを、こんなところで追いついてしまうものか?

 F1を越えると10人パーティーはF2を登っている最中だった。見ているとF2の最上部でお助けヒモを出している。
 う〜ん、F2でお助けヒモか・・・そりゃ遅いはずだ。

 全員がF2を登ったところでこちらもF2を登り、パーティー本体に完全に追いついた。この時点で時刻は10時を回っていたので、このパーティーはここまで4時間あまりかかったことになる。このペースでちゃんと太郎小屋に辿り着けるか・・・?
 ちゃんとしたガイドもいるパーティーなので、差し出がましいことを言うことは避けたが、何となく心配。

 

赤木沢−四段の滝

四段の滝が見えてきた

 

 10人パーティーが四段の滝を越えていくのを下から見守った後で引き返すことにする。これが10時40分。これは遅いわ〜。5時間近くかかってるわけでしょ、ここまで。まだ赤木沢に入ったばかりのところだぞ。少なくとも日没までに太郎小屋到着は無理っぽいな。

 

赤木沢−F2

赤木沢F2にて セルフタイマー自撮り

 

 引き返す最中、F2があまりに気持ちよかったのでセルフタイマーで自撮りなんぞを。しらじらしいポーズだな・・

 出合を過ぎ、釣り堀まで戻ってきたところで水中写真に挑戦。
 数日前に青山さんが撮ってきた釣り堀の水中動画は凄まじかった。ここは養殖場か、というほどにイワナが湧いていた。
 その後の増水で大半は上に遡上してしまったのか、その動画ほどではなかったけれど、それでも水中写真に熱中するには十分なほど多くのイワナがいた。

 さて、まず下の写真、イワナは何匹写っているでしょう?

 

水中写真(1)

何匹写ってるのかな〜?

 

 答えは12匹、である。
 中央の縦に4匹、その下両サイドに2匹、左端真ん中に1匹、右端丈夫に2匹の計9匹はすぐ見つかると思う。
 実は中央の縦に4匹いるさらに下に1匹いる。ちょっと小さいが。その右に縦向き(向こう向き)になっているのが1匹。
 そして判りにくいのが、縦に上から1/4、左右は右2/3あたりの位置に、こちらを向いているのが1匹いる。これで12匹。

 さらに今度は望遠側での撮影も試みた。カメラを水に沈めてのノーファインダー撮影なので、望遠側はかなり難しいのよ。

 

水中写真(2)
水中写真(3)

 

 それでもど真ん中に捉えるのはなかなか困難だったが、こんな感じ良いのを何枚かゲット。

 釣り堀の岩に、たっぷり1時間半ほど腹ばいになっていた。

 

 翌27日は私の下山日だが、この日はバイトのKちゃんも太郎に移動する日、Kさんは休暇で2日ほど小屋を留守にする日、バイト終了後に居候していたY君も下山、ということで、この27日の夜はなんと小屋番と景子ちゃんの2人きりになってしまうんである。これまでが賑やかだっただけに、この落差は大きいぞ〜。

 というわけで、この夜はまた盛大な宴会が催されたのだが(酒量はさすがにみんな激減していたが・・)、景子ちゃんはかなりブルーになっていたのだった。

 そうそう、この晩は小屋番がピザを焼いて振る舞ってくれた。これがまた、何というか絶品、至福の美味さ。
 それで食い過ぎてしまった、ということも酒量が伸びなかった原因の一つだろうな。あんなに腹一杯になって、さらに飲めるもんか。
 ピザは瞬殺でなくなってしまったので、写真を撮るヒマがなかった・・・

 

集合写真(2)

下山前の全員集合

 

 さて、下山前の集合写真である。
 前列左がY君、右がKちゃん。後列は左から景子ちゃん、自分、小屋番、Kさんである。
 さんは休暇で遊びに行くので、既にザックまで担いでいて、撮影終了と同時に出発していった。
 その後、私とY君が出発して午後にはKちゃんも太郎に出発するので、今夜は景子ちゃんと小屋番の2人きり。寂しいぞぉ〜。

 Y君は車に乗せて富山駅まで送ることになっていたので一緒に行動するわけだが、こんな若者と張り合って歩けるわけもないのでさっさと先に行ってくれ。

 

太郎平小屋と薬師岳

快晴の太郎小屋と薬師岳

 

 太郎小屋で一度落ち合ったが、太郎を出発するのも私が先。「五光岩までには追いつきます」なんて怖いことを言うので、そうはさせじと目一杯飛ばしたが、されでも心臓破りの途中で追いつかれた。
 さらに三角点を過ぎたあたりで、去年の御嶽から傷めている左足首をまた派手に捻挫してしまい、今回もまた歯を食いしばりながら降りる羽目になってしまったのであった。

 

折立

折立にて Y君お待たせ〜

 

 折立にやっとの思いで着いたら、Y君が待ちくたびれていた。ちなみにアラレちゃんから1時間10分もかかっている。登りより大幅に遅い。

 

 後日談。

 この日、太郎に上がってバイトを終了したKちゃんは、太郎から薬師沢→三俣を経て新穂高に下山し、そのまま槍ヶ岳を目指そうとしていたらしいが天候不良で富山に戻ってうちに遊びに来た。
 そのまま9/1には八尾のおわら風の盆に私とカミさんとの3人で繰り出したのであった。
 Kちゃんは結局、9/3まで3日間フルに風の盆に行って、最終日など徹夜で踊っていたらしい。タフじゃ。

 私はまだ足首の湿布とサポーターが手放せない・・・

 

 

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