パタゴニア ナイフブレードプルオーバー

パタゴニア

 

 

M's & W's Knifeblade P/O

 

 パタゴニアの2011秋カタログのページナイフブレードプルオーバーに物欲センサーが振り切れそう、と書いたが、振り切れてしまった
 富山には現物が置いてないので(富山駅前のチロルに1つだけあったがサイズが違って試着はできなかった)東京に出張で行った際に直営店に寄って現物を見てみたのだ。見たら物欲センサーが振り切れてしまったというわけで・・・

 で、富山に帰ってきてから好日山荘で注文を入れたのだが、なんと入荷待ちで10月中には入らないという。え〜?webショップでも入荷待ちにはなってないし、東京の直営店にもあるのに〜?
 なんでもパタゴニアはwebショップと直営店と正規取扱店それぞれの在庫管理を別々に行っているらしく、片方に在庫があっても片方になければ「入荷待ち」となってしまうらしい。

 ん〜、11月まで待っていたら気が変わってしまう。いや、変われば変わったので良いのだが。
 ザックももう1つ欲しいしアンダーウエアやパンツ、ミドラーでもいくつか欲しいのがあるし(ナノパフ欲しい・・)、ナイフブレードを諦めてそっちにするか・・・とも考えたのだが、諦める前にひとつアクションするか、と思ってパタゴニアのカスタマーサービスにメールをしてみた。「在庫はあるところにはあるんだから、ちょっとくらい融通利かせてよ」って。
 そしたら速攻で入荷してしまった・・・ちょっとクレーマーしちゃった。

 パタゴニアって、ストームジャケットRシリーズガイドジャケットのようにロングセラー化するモデルもたくさんあるのだが、反面1シーズン限りで消えてしまうモデルもたくさんあるんである。ガイドジャケットの前身モデルのスーパーガイドジャケットもそうだし、スペクターという超々軽量レインウエアも短かった。
 なんとなくこのナイフブレード、短命モデルのような気がするんだよな。このいかにもクライミング専用と割り切った造り。どうせユーザー層は少ないのだし、少ないユーザーに行き渡ったらさっさと廃版にして・・・みたいな雰囲気が。
 なので売ってる内に入手しておきたかった、というのはあるな。

 

パタゴニア ナイフブレードプルオーバー

patagonia Knifeblade Pullover

 

 確かに非常に割り切った造りだ。
 ハーネスの邪魔にならないようにプルオーバーで腰にポケットもない。内ポケットもない。
 裏地は最近流行のフリース地や起毛地などではない、シンプルなトリコット地である。ちょうどゴアテックスのレインウエアの裏地と同じような生地である。表地もポリエステル系なのだが非常に目が詰んだ生地なので、知らない人が見たらゴアテックスのレインウエアと勘違いしそうである。

 でもなんといってもシンプルなおかげもあって軽い。400g台である。また、クライミングを想定したウエアだけあって、いかにも耐摩耗性が高そうな生地である。こういう目の詰んだ耐摩耗性が高い生地が好きなんだよな。ポーラテックパワー・シールド・プロという素材なんだそうだ。パワー・シールドなら他メーカーにもいくつか使用モデルがあるのだが、それの強化版か?
 耐水性も、パタゴニアはえらく自信があるような書きっぷりである。これはそのうち、雨天で耐水性テストをしてみずばなるまい。

 こういうプレーンなソフトシェルって、クライミング用だけでなく汎用性があると思うんだけどな。軽くて丈夫な生地を使ったシンプルな造りのソフトシェルは通年使えて重宝するんだけどね。
 もちろん私はもうクライミングなどしないので、このモデルは冬のスノーハイクや夏山など、ほぼ通年使えると思ったから欲しかったわけである。

 余談だが、フードは相変わらず素晴らしい。
 フードだけでなく、裾も含めて今年のパタゴニアはタッチポイントシステムという方式を採用している。
 要するにコードロックをウエア内に埋め込んで、それを押さえてロックを解除しながらコードを引く、という方式である。なんとなく以前にもあった特に目新しい方法ではないように思うのだが、特許を取得しているらしい。ふーん。
 それより私的には、ウエアの外にコードを出すことをあれだけ避けていたのに、ついにコードを外に出したか・・・と感慨深かったのだが(ちょっとおおげさ)。
 裾もポケット内ではなく、シンプルに裾に出たコードを操作して調節するようになっている。要するに、「ジャケットを閉じたまま」調節できる、というところに拘ったらしい。まあそれはそれで理にかなっているな。
 コードロックが埋め込まれている場所は生地を変えているので分厚いグローブをしていてもすぐ判る。リリースも極めて容易だと感じた。

 特にフードのコードが外に出るのは、私は風で暴れたコードに顔を叩かれるのが非常に嫌だったのだが、これはコードが出る場所が顔の近くではないし、またコードもあまり長くは出ないので、これで顔を叩かれることはなさそうである。裾の方は、裾からコードルーフが出ているとヤブ漕ぎの際に引っかけそうで、これは少し気になるのだが。

 ただ、フードのフィット性は素晴らしい。これは以前からのパタゴニアの美点そのままである。
 調節ポイントは1つ減って2カ所になっている。フードの前後長の調節がなくなっている。でもまったくそれをネガに感じない。
 これまでパタゴニアのフードはフィット性は素晴らしいが操作性はモンベルあたりの方が良い、と思っていたが、今度のは操作性も抜群である。
 今季のパタゴニアはハードシェルも軒並み同じタッチポイントシステムを採用している。確かにこれは良いなぁ。
 レインシャドーあたりの量販モデルにも採用しないかな。

 

 ひとつ見落としていたことが。

 このウエアは自転車にも使うつもりだった。休日にまともに距離を走るには400gでも重すぎてちょっと持ち出す気にはなれないだろうが、通勤や近距離をスローペースで走るには良いな、と思ったのだが・・・

 フードを巻き込んで留めることができるようになっていないじゃないか。これがないとフードを使わないとき、フードが風を孕んでしまう。事前にはそこまでチェックしてなかったなぁ・・・まあ何か工夫するか。

 この生地でフードなしのフルジップのモデルも作って欲しいな。本当に出たら買えなくて歯ぎしりしそうだが。裏地は薄手の起毛地にして。
 あ、つまり、ガイドジャケットをこの生地で作ればいいのか。

 


(11.12.25 up)

 土砂降りの雨の中で使ってみた。

 山ではなかったのだが、舗装路があっという間に深い水溜まりになってしまうほどの土砂降りの中で着て30分ほど動いていたのだが、身頃や袖は見事に撥水性が低下する気配もなく、水玉がコロコロ転がり落ちるだけだった。当然、浸水はゼロ。

 ただ、意外といえば意外だったのだが、フードから浸水した。頭が濡れているような気がして、フードの内側を探ってみると浸水している。

 身頃からは浸水せず、フードのみ浸水した理由はいくつか考えられるが、まずその1つ目は、生地の耐水圧をフード部は超えたのではないか?という推測。

 フードがかなり複雑な立体裁断がされているため、フードの上って平らになっていて、しかも窪みまでできてしまったりして、そこに水が溜まっていた。
 その溜まった水の圧で生地を通過して浸水したのではないか、という推測。

 もう一つは縫い目から浸水したのではないか?という推測。
 フード部の複雑な立体裁断のため、フードの頭上あたりってかなり縫い目が多い。頭上には水溜まりができるほどだったので、その水が生地ではなく縫い目を通して浸水したのではないか?という推測。

 どちらかといえば後者の方が当たっているような気はする。
 まあウエアとしてはパタゴニアがカタログで自信ありげに言うほどの耐水圧はあるのだけど、フードが弱点だったとはね〜。
 ・・・土砂降りの中での使用は想定外だろうけど。

 それより意外に素晴らしかったのは、同時そのに試してみたディメンションジャケットである。
 買ってからもう5年も経っているし、最近メンテしてないので撥水性もかなり低下していて、10分も経たないうちに生地表面は撥水性が失われてたっぷりと水を含んでいる状態になった。
 でも、その状態になっても浸水はせずに持ちこたえているんだな。
 結局、やはりこのウエアも30分ほど土砂降りの中で着ていたのだが、ウエア内部への浸水はなかった。

 やっぱり縫い目なのかなぁ。
 ディメンションジャケットは縫い目がないウエアである。溶着で生地を接合しているので、ウエア表面にはいわゆる「縫い目」がない。縫い目がないと、生地単体だとかなりのところまで持ちこたえるのではなかろうか。

 ナイフブレードも溶着は使っているらしいが、わざわざステッチで補強しているらしい。その縫い目は当然裏側まで貫通しているので、シーム処理してなければそりゃ浸水するよ。
 まあレインウエアではないので別にシーム処理すべきとか溶着のみで作るべきだとかまでは思わないけど、ちょっともったいないな、とは思った。

 

 雪の中でも使ってみた。

 今度はドカ雪ではないけれど、けっこうな雪が降りしきる中で深雪をスノーシュー履いてラッセルである。平坦なところではスノーシューを履いても膝まで潜る新雪、スノーシューを履いて下を向いては降りられないほどの急傾斜の登りのラッセル、などなど。2時間半くらい遊んでみた。
 気温は−1〜−2℃くらい。レイヤリングは普通のTシャツ(モンベルのウィックロンライト)にR2、ナイフブレードという構成。けっこう暖かめのレイヤリングなので、激しいラッセルをすると大汗かくかと思ったが・・・

 蒸れ感ゼロ、まったく問題なし。
 まあアンダーで手を抜いているので、保温性はそんなに高くないレイヤリングなのだが、多少は蒸れ感があるかな?というレイヤリングで遊んでみたのだが、快適そのものだった。
 動かずに止まっているときも寒くはなく、けっこう激しく動いても蒸れ感が皆無というのは何気なくけっこう凄い。
 こういうのを着てしまうと、ハードシェルを着るのが嫌になるなぁ。
 ディメンションジャケットも相当快適だと思ったが、これはちょっと異次元である。

 急傾斜の登りでは、雪の中にストックを横にして突っ込み、それをホールドにして登るというような、かなりの急傾斜で雪まみれにも当然なったのだが、内側に浸水する気配もゼロだった。

 なら、ポケットをもう少し増やした(落としでいいから内ポケットが欲しい)フルジップのモデルがあればなぁ、と思う。

 

 

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