平成23年9月11日 ソーレ谷(奥飛騨)
9:55 | 入渓 |
10:05 | 五郎七郎の滝ノ沢 出合 通過 |
10:40-55 | 箕谷大滝 |
11:20 | 箕谷大滝 高巻き終了 |
11:25 | 二股の滝 |
11:45 | 終了点 |
12:20 | 再入渓 |
12:25 | 五郎七郎の滝ノ沢 出合 |
12:35 | 五郎七郎の滝 |
13:00 | 入渓点 帰着 |
山ちゃんから沢登りのお誘いがかかった。なんでも知り合いから奥飛騨のソーレ谷という沢に連れて行ってくれと頼まれたので、その下見をしたいのだそうだ。ふたつ返事で行こう行こうと話は決まったのだが、ソーレ谷ってどこ?どんな沢?
ネットでちょっとだけ調べてみたらナメが多い易しい沢らしい。いくつかのブログや記録には、滝の下降にロープを使ったような記事もあるのだが、総じてロープが必要な沢ではないようである。
なら、沢の情報をあまり集めると面白くなくなっちゃうな・・・ということで、「ロープは不要」、「遡行時間は半日以下」という情報を得た時点で、それ以上の情報はほとんど何も集めずに当日に至ったのだった。山ちゃんも入渓地点と遡行終了点の位置を調べたくらいで、他はほとんど何も調べていなかったらしい。
なので、実は滝の名前すら知らない状態で入ったのであった。滝の名前は帰ってきてからこの記事を書くために調べた。
山ちゃんによると、谷に平行して林道が走っていて(途中には集落もある)、遡行終了後の下降は林道をひたすら歩くことになってしまうらしい。
それは面倒だ。車を2台動員して上と下に置く、という手もあるが、2人で行くのに車を2台出すのはバカバカしいし、車の中で話もできん。
なのでチャリを積んでいって林道の下降にはチャリを使おう、という話になった。
下の写真のように、私の車にチャリを2台積んで、遡行終了点に車を置き、そこからチャリで林道を下降して入渓地点にチャリをデポして遡行、遡行終了後チャリを回収、という段取りになったのであった。
チャリを2台積んで沢登り |
だが。
この林道、山間地の林道では当たり前の話であるが、狭く大半のコーナーがブラインドである。また舗装も荒れていて砂や小石も浮きまくりである。
ちなみに2人ともバリバリのロードレーサーなんである。ロードレーサーでこの林道の下りはきついぞぉ。
2人とも沢靴を履いてチャリに乗っているんである。ビンディングペダルのチャリなのに。
路面が荒れまくっているのでパンクも怖いしガタガタとハードな振動が突き上げるので尻は痛いし、ブレーキレバーを握りっぱなしなので腕があがってしまいそうになるし・・・
遡行終了後の結論としては、このチャリでの林道下降が今日の最大のヤマ場であった。
チャリをデポ 盗まれませんよ〜に |
入渓点まで林道を下ってきて、藪の中にチャリをデポである。ちょっと心配だが、まあ大丈夫だろう。こんな山奥まで来てチャリを盗んでいくようなご苦労様なやつもそうはいまい。
ず〜っとこんな感じ |
遡行開始。
ずっとこんな感じでひたすらナメが続く。なんせ里の沢なので水も冷たくもないし(その代わりたいして綺麗でもないが)、沢靴のフリクションが心地よく効いて快適な遡行であった。
山ちゃんはアクアステルスの沢靴を新しく買って、今日がそのシェイクダウンだった。
しばらく注目もしてなかったのだが、今年のキャラバンのアクアステルスの沢靴は大峰というモデル名らしい。大峰・・・なんとかならんか、このネーミングセンス。
今ちょっと調べてみたら、今年のキャラバンの沢靴ラインアップでは、いつもどおりアクアステルスの沢靴は2モデルラインアップしていて、高い方が黒部アクア、安い方が大峰アクアらしい。アクアステルスのソール張り替えが1万円もしてしまうことを考慮すれば、安い方のモデルを買ってソールの寿命が来たら買い換える、というのがまっとうな買い方なのも、私が柳又アクアを買ったときと変わらないようだ。
でもさ。モデルチェンジのたびにモデル名をがらりと変えるのってどうなのよ。そのうち付ける名前がネタ切れになるぞ。笛吹アクアとかクワンナイアクアなんかがそのうち出てしまうのだろうか・・・?あるいは六甲アクアとか由良アクアとか。
たいして変えているわけじゃないんだから、名前だけをコロコロ変えなくても良いのに。
それにしてもアクアステルスも出て10年近く経つのに、いまいちメジャーにならないね。こんなに凄いのに。一度履けばもうフェルトソールには戻れなくなるんだけどな。
未だに「沢靴」しか出ていないし。水陸両用ソールなんだから、水陸両用ブーツを作って欲しいんだけどな。ビブラムのラバーソール沢靴で派手な汚点を残してしまったモンベルあたりが捲土重来を期して作ってくれないモノだろうか・・・などという雑談をしながらぽくぽく歩いていたわけである。
箕谷大滝 |
唐突に50mほどの大滝である。
箕谷大滝というらしい。ソーレ谷なのに箕谷とは?
この名前も帰ってきてから知ったので、沢の中では山ちゃんとは単に大滝と呼んでいた。
この大滝は格好いいな。堰堤みたいに素直にまっすぐ落ちている。
この滝は格好良かったのでちょっとだけ休憩をとった。
この界隈の山は、このあたりに岩盤の地層があるようで、この谷に限らず枝沢もそろって50mクラスの滝をかけている。林道から見るとよく判るのだが、これらの滝はほぼ同標高なので、ぐるりとバンドのように岩盤地層が露出しているんだろうな。岩質も後で訪れた五郎七郎の滝と同じだもの。スラブなのだが、けっこう粗い岩質で、フリクションは抜群に効く。この滝も中程のテラスまではフリーで登れそうである。
にしても。
実は私はこういう「大滝をかけた沢」はあまり好きじゃない。こんな50m級の滝をかけた沢より、10-20m級の滝を数多くかける谷の方が断然好きじゃ。
なぜか?大滝は高巻きが必須になっちゃうだろうがよ。高巻きは怖いから嫌いじゃ。
この谷も、全体的に沢登りというより「水が流れる遊歩道」みたいな雰囲気の緩い沢なのに、この大滝の高巻きだけがエグい。特に下部は傾斜が立っているのでかなりエグい。樹林帯の登りなのでホールドは豊富なのだが、立木のホールドってあまり信用できないし、スラブの滝の高巻きなんてどれもロクなもんじゃね〜、とぼやきながらの高巻きであった。
しばらく登ると傾斜はいくぶん緩くなるのだが、今度は踏み跡が乱れ出す。誰しもできるだけコンパクトに巻きたいもので、少し滝の落ち口の方を伺っては壁に阻まれて元に戻る、といった踏み跡が多数入り乱れるため、判っていてもやっぱりいちいちそれらの踏み跡に入ってはしまうのである。
結局沢から遠く遠く、高く高く追い上げられて(こんなに登っちゃうと沢に戻るのもエグい下りになるぞ・・・)と思いながら高巻き道を行くのであった。
箕谷大滝 |
箕谷大滝 高巻きの途中から |
高巻きの最後は壁のバンドの中を斜上するのだが、そのバンドがまた広く(1mほども幅があるバンド)、唐突に「ここは街道か?」と思うほど広い道になった。
で、尾根をひとつ越えて沢に戻るための下りになるのだが・・・やはりエグかった。とんでもない傾斜の下りである。
ロープがフィックスされていたので楽だったが。フィックスドロープがなければ、いっそのことロープを出して懸垂下降でもした方が、というほどの傾斜。
まあ、それならもう少し尾根を辿って次の谷を下降すればいいのだが。
また再びこんな感じ |
谷に戻ると再びナメ。
最後の滝 先行パーティーが直登中 |
この滝がこの谷唯一の「まともな滝」だった。直登できる滝、なので大滝は除外である。
この滝も左岸(右側)にロープがフィックスしてあるので、何の苦労もなくゴボウで登れてしまう。ロープがなくても快適に左岸直登できる滝だが。なんせフリクションはバリバリに効くので快適。
この滝を越えると、もう遡行終了点である。
休憩時間を含んでも2時間も歩いてない。
遡行終了 |
どうもおかしいと思ったら、枝沢の滝を見逃していたのである。下調べ、してないものね。
下りの林道から見ると、上の枝沢には岩洞の大滝、下の枝沢には五郎七郎の滝がかかっている。(例によって滝の名前は帰ってから調べた)
上の岩洞の滝は面倒だし水量も少なくてそんなに「近くで見たい!」と思うほどの滝でもないのでパスして(現地では山ちゃんと「しょんべん滝」と呼んでいた)、せめて五郎七郎の滝は見に行くか、ということになった。
というわけで、入渓点まで戻ってから改めて再入渓である。
再び入渓して五郎七郎の滝へ まずはさっき通った出合 |
出合の滝を右岸からコンパクトに巻いて越え、さくさくと上を目指す。
五郎七郎の滝の手前 けっこうな傾斜 |
五郎七郎の滝の手前は、上写真のようなスラブは相変わらずなのだが、傾斜はけっこうきつくてしんどい。
下りは沢慣れいていない人だと怖く感じるだろうな。
五郎七郎の滝 |
五郎七郎の滝。
ん〜、やっぱり見る順番を間違えたか。
最初にここに来ていれば「おお〜っ」と思っただろうけど、箕谷の大滝を見た後では水量が少なくて物足りない。捻れながらナメッて落ちてくるので形は面白いけど。
帰りはかなり傾斜が強いナメの下りなので、山ちゃんは案内の本番ではロープを出して確保しようかな、と言っていたが、少なくともアクアステルスのソールだと、これでもか!というくらいグリップしているのでテクテク歩いて降りてこれる。
というわけで、沢の後は新穂高温泉の槍見温泉で風呂に入って、のんびりと帰ってきたのであった。
久しぶりにパーティーで沢登りをして、楽しかった。次は冬に上高地に行きたいね、などと話しながら帰ってきたのだった。
この沢も紅葉の頃は綺麗だろうな。
槍見温泉にて 槍は見えなかった・・ |