平成25年8月3〜5日 薬師沢
今年の夏はなんか変だ。
梅雨に入っても雨が全く降らず、各地が明け始めてから尋常じゃない勢いで降る。一時は梅雨明けしたか?と思うくらい晴天が続いたと思ったらまたまとめて降る、降る、降る。
結局、東北と北陸の梅雨明けは8月にずれ込んだ。各地は例年より早い梅雨明けだったのに。
で、北陸でもいよいよ梅雨が明ける、と予想された8月最初の週末に薬師沢小屋に遊びに行くことを計画したわけである。
それはそうと、今年からまた片道50kmも離れた職場に異動になったこともあって、何だか忙しいんである。もう忙しいということにも飽きてきたけど。
海の日連休は出番や町内会(今年は10数年ぶりに役員が回ってきてしまった)の用事が重なって遊べず、次の20日の週末は町内会の夏祭りで動けず、次の27日の週末は次男のテニスの大会、さらに次の8/3の週末も町内会の会合が入っていた。
・・・いい加減、グレるよ?
9月に入ると仕事がまた一段と忙しくなるのは目に見えているので、8月は遊ぶ月間にしないとほんとにグレてしまうぞ。
というわけで、8/3の週末は町内会の会合を断って山に入ることにしたのだった。
梅雨も明けそうだし多分小屋も忙しかろう。ちと手伝いに行くか、と。
今回は単に山小屋に遊びに(飲みに)行くだけでなく、写真も撮ってみようかと。最近コンデジしか持って行ってないのだけど、今回は昨年秋に買ったEOS Mがあるからね。これなら小さく軽いから持って行こうという気になるのだ。
もうひとつ。直前に新しいザックが加わった。オスプレーのイーサー60(2007年式)である。なんとfacebook友達からもらってしまったのだ。もっと大きいのを買ったので60Lは不要になったとかで。もちろんくれと言ったわけではないんだが(いくらなんでもそこまで厚かましくはない)、話しているうちに。
なのでせっかくだから使ってみるかと。
小屋泊まりに60Lはいくらなんでも大きいんだけどね〜。
でも、小屋への土産とか沢道具(といってもウエア類だけで登攀具は持って行ったことないけど)があるので、40Lザックでは毎回けっこう苦労していたことも事実である。前回はパンをザックの外に下げてえらい目に遭ったし。
今回の荷物。オスプレー:イーサー60 |
というわけで、今回の荷物がこれである。食パンは無事にザックの中に入った。そりゃ60Lだからな。
その代わり今回は、沢靴がザックの外に。今回は靴はイグザムガイドで登るので。でかい荷物になったなぁ。食パンのような比重が軽いモノがあるので見た目ほど重くはないけど。
当日。
朝4時に起きてゲートオープンと同時に有峰林道に入るつもりだったのに、起きたら8時だった。
8月最初の土曜日、しかも梅雨明けするであろう週末。出遅れると折立がとんでもなく混むことは判ってたから早起きしようとしてたのに・・・
有峰林道に入るとき、料金所のおっちゃんに「今日はたくさん入ってます?」と聞いたら、「ああ、凄いよ〜。へっへっへ」と嬉しそうに脅してくれた。
・・・こりゃ相当遠いところに停めさせられるな。
案の定、トンネルの手前まで車の列。いつぞやの魔のシルバーウイークの時は度肝を抜かれたが、なんだかこんな風景も見慣れちゃったよ。
仕方なく臨時駐車場へ。ダートを走ること数百m。何のことはない、トンネル手前まで戻るのと距離的には変わらない。
そんなこんなで、歩き始めたのはもあ10時だったわけだ。こりゃさっさと登らないと。
・・・と少し飛ばし気味に歩いてたらバテた。あー情けねー。
折立出発が10時ジャスト、アラレちゃん通過が11時10分、1時間10分かかっている。ここまではまだちょっと遅いな、くらいのペースだったのだが・・・
三角点通過が11時50分。アラレちゃんから40分。まだ踏ん張っている。でももう余裕はない。ヘロヘロに近い。
ついに心臓破りを登り切ったところにあるベンチで中休止に入ってしまった。普段はこんなところで休んだことはないのだけど・・・
ベンチで休んでいたら、続けさくに2人の方に声をかけていただいた。声をかけていただくのは嬉しいのだけど、バテて休んでいるところを見られるのは恥ずかしい ぞ。
実はザックがなんだか少しおかしいのである。
な〜んか後ろに引っ張られる感じがするし、なんと尻の筋肉が張る。こんなところが痛くなったのは初めての経験。
合ってないのかな〜といろいろ調整して、少しずつ良くはなっていくんだけど・・・なんかしっくりこない。
バリアントもどれだけ調整しても合わなかったし、最近のオスプレーは相性が悪いのか??
結局太郎に着いたのは14時30分。なんと4時間半 もかかった。これは・・・壊滅的なタイム。
太郎小屋は大混雑であった。あまりの混雑に、帳場に声をかける余地がない。受付のお客さんが長い列を作っているんだもん。
ちょっとだけ声をかけて聞けば、今日は300人超かもよ、だって。そりゃ凄い。薬師沢は予約は少ないから楽かも、というのは意外だったけど、予約外で殺到していることも十分考えられるし、さっさと行かないと。
帳場が忙しすぎて話もできない状況だったのでさっさと薬師沢に行くか、と思っていたら、売店に川端さんがいた。「おお〜、池上か」ってやっと名前を覚えてくれたのね。
ビール飲む?と聞かれて、一瞬、これだけバテている現状ではビールなんか飲んだらますますバテるぞ、と確信したのだが、断れなかった。いや、断れますか?バテているときのビールのなんと美味いことよ!
・・・これからまた歩くんじゃなきゃな・・・
案の定、ビールを飲んだ後歩き始めたら、すぐにこりゃあかん、という状態になった。そのまま登山道横で昼寝を決行。
そのせいで、太郎小屋出発が15時だったのに、第一徒渉点に辿り着いたのは16時20分だよ。どんだけかかってんだよ。昼寝明けでもペースは見事なほど上がらないし。
第三徒渉点を過ぎたベンチで休んでいる時にふと思った。もしかしてこのザック、背面長が合ってないのでは?
ベルクロで背面長が調節できるようになっているんだよね、このザック。そんな基本的なことに今気づくか?という感じではあるが。
思い切って5cmほど短くしてみた。試しに背負ってみた。おお、嘘のようにしっくりくるじゃん!
なんだ、背面長だったんだ。そんなの真っ先に調整しろよ
、という感じだが。
尻の負担感も嘘のように消え、ようやく少し楽になったのではあるが、既にバテきっている。ザックのバランスが改善されたからといっていきなりペースが上がるはずもなく、結局薬師沢に到着したのは18時だった。バテバテ。
この日は超絶に混むことが予想されたので乾燥室にまで布団をセットしていた。予想に反してちっとも混まなかったので乾燥室にはお客は入っておらず、そこを使わせてもらう。暖かくて好きな部屋なんだよね。
とにかく何とか着替えて、もう終了間際の厨房に入って最後の洗い物だけでも手伝う。景子ちゃんは「疲れてそうだからいいよ〜」と言ってくれたけど、部屋にいると爆睡してしまいそうだったし。身体動かしてた方が疲れも紛れるし。
例によって小屋番、景子ちゃんの3人で飲んでいたんだが、夜10時半にはもう眠くて眠くて・・・お開きだよ。こんな時間に限界なんて屈辱的 だよ。
星が綺麗だったので写真を撮りたいな、と思ってはいたのだけど、泥酔していたのでそれも無理。とにかく寝る。爆睡。
翌朝。起きると雨。雨〜???
なんだなんだ、梅雨は明けたんじゃなかったのか?予報によると明日はもっと悪そうである。凹む。
雨は激しくはなく、しとしと降る感じなのだけど、こんな天気で沢に入る気はあまりしないし(たくさんのパーティーが赤木沢に入っていったが)、そもそも良い写真も撮れそうにないし、部屋掃除などを手伝った後はじゃりん子チエを読んで過ごしていた。もうどこまで読んだのか忘れちゃったよ。
赤木沢に入るパーティーはたいてい小屋前のテラスで身支度をして行くのだが、カラビナを10数枚にアセンダーやカムまでセットしているパーティーがいたりして小屋内で話題になっていた。いったい何に使うというのだ?赤木沢で。
よく判らないのだが、情報をちょっと集めればロープすらも基本的に不要な沢、ということは判ると思うんだがなぁ。まあ念のためにロープを持って行く、というのは判らないでもない。ハーネスだってまあ着けても良いさ。
でも、いくらなんでもアンダーやカムはムダそのものだぞ。
どういうパーティーが赤木沢に入っているのだろう?沢慣れたパーティーなら何が必要で何が不要かくらいは判ると思うんだが・・・
そうこうしているうち、晴れ間が見えてきた。
もう昼近かったので、昼食後に遊びに行くことにしようかと。
「遊びに行く」って言ったら景子ちゃんが喜んでた。せっかくここまで来てじゃりん子チエを読んで帰るのは気の毒だ、と思ったらしい。いや、別にそれでもぜんぜん構わないんだけどね。しょっちゅう来てるんだし。
昼食後、ウエア類だけ沢仕様にして沢靴を履いて出発。
薬師沢小屋前の吊り橋から下流方向を望む |
8月に入っている割には水量も多いし、何より水の色が綺麗。雨が多くてしょっちゅう増水しているんだろうな。
黒部源流の清流 |
上の写真は川のど真ん中で膝下まで水に浸かりながら撮った写真。
EOS
Mはもちろん防水カメラではないので、万一転んだらカメラがパァである。そういう意味ではちょっと緊張するシチュエーション。転ばないけどね。
でも、普段なら転んでもエヘヘで済んでしまう場所なので、済まない状況
になるとそれなりに緊張が。
小ゴルジュの入り口 |
上は赤木沢出合手前の小規模なゴルジュの入り口。これも真ん中で膝まで浸かっての1枚。
このゴルジュ、最近は左岸(右手)に巻き道がついていて、そこを通るパーティーが多いようだ。
でも私はここは右岸の壁伝いに抜けるルートしか通ったことがない。その方が楽だし早いのだけど。
いつもは中で何回か徒渉して通過していたのだけど、今回は左岸通しで突破できた。水深は一部腰くらいまであったが、流れが緩いのでたいしたことなし。へつりが楽しい。
赤木沢出合(1) |
赤木沢出合(2) |
赤木沢出合(3) |
赤木沢出合は相変わらず美しい場所だった。
今回はMを持ってきているので何枚か撮ってみる。定番のアングルだけじゃなく、何とか新鮮味がある撮り方はないかな〜と。
天候はやはりいまいちなので、背景が青空でないのはちょっと残念。それに白い雲は非常に白飛びしやすいので露出が難しい。
ロングシャッターで流れを撮ってみた |
帰り道、小屋のすぐ近くまで降りてきたところでロングシャッターでの撮影をやってみた。日が陰ってロングシャッターが使いやすくなったし、そもそもせっかく三脚を持ってきているのに、このままでは使わないまま終わりそうだったし。
上はNDフィルター(ND8)を使って、F22
, 3.2秒という露出で撮った写真。
ちなみにレンズは最近出たばかりのEF-M 11-22mm F4-5.6 IS
STMである。フィルターは52mm系の18-55mm用に買ったものをステップダウンリングで共用している(11-22mmのフィルター系は55mm)。ただしワイド端では画面四角にケラレが出るので僅かにズームした位置(12mm)で撮っている。
小屋に帰ったのはちょうど5時だった。
でもなんだか様子がおかしいぞ?夕食が始まっている時間なのに、小屋前のテラスや2階テラスに人がたむろってる。つまりこれは2回戦以上あるくらいお客さんがたくさん来ているということなのか??
小屋番に聞くと、何と夕食数71だと。なんと予想外の事態。
慌てて着替えて厨房に参加。部屋も午前中が雨がちだったので乾燥室を使うことになると思われたので槍の部屋に移動していたのだが、その部屋はお客さんが入っていて私の荷物も移動させているという。そんなことになってるとは〜。
それでも夕方の暗くなる直前、谷を霧が昇ってくるところは撮った。下の写真がそれである。上手く撮れてるかな〜。
谷にガスが立ちこめる・・ |
この日はたくさん飲めたぞ。しっかり午前様寸前まで飲んでいた。復調。
翌5日。朝からはっきり雨。下山しなきゃならんのに。
天気が悪いので早めに、8時半頃出発。
また来るよ〜 再来週くらいに |
さて。ザックはようやくバランス良くなった。荷物は土産と食料が減った分、小屋の日報が増えているがこれはたいしたことない。しかし沢ウエアや沢靴が水を吸って重くなっているので、荷物としてはほぼ変わらないか若干重くなっている。
それより問題が。
去年の御嶽でやった左足首があれからずっと痛くて慢性関節炎化しているのだが、この日は特別痛い!前の日に半日水の中にいて冷やしたのが良くなかったのか。痛くて平地でペースを上げられない。下りはもっと辛そうだが・・・
とりあえず太郎まで着いて(2時間半もかかった。やはり体力ががた落ちなのは明白)、やっぱりビールを飲んでしまって、ビールを飲むと寒くなったのでホットココアまで飲んでしまった。
太郎を出発してからも雨が小やみになったり強く降ったりを繰り返すので、レインウエアを着たり脱いだりで忙しかった。
三角点あたりからようやく晴れで安定してきて、最後は痛みに歯を食いしばりながら折立まで降りてきた。最後の三角点〜折立間のみが"まともな"区間タイムで、あとはバテバテでやたら時間がかかった・・・
折立から車を運転してアルペン村まで降りてきて、さあコンビニでアイスでも買おうとしたら、なんと痛くて歩けないのである。這うように歩いてアイスは買ったけど。
あれからしばらく、左足首はテーピングで誤魔化している。次に行くときまでには何か対策を考えないと。
ザックは最終的にちゃんとフィッティングしたら快適そのものだった。
ただ、もうちょっとルーズな造りだと、合いきらない時も辛すぎなくて良いんだけどな。ショルダーベルトのS字状の湾曲なんかも強すぎて合ってなかったときは肩が痛くなったし。
三角点から同ペースで降りてきたパーティーが岩手から来ていたということだったのだが、あれから東北はとんでもない大雨に襲われている。大丈夫かなぁ、あの人たち・・・
今回はちょっと身体がなまりすぎだった。次までにはもう少し戻しておかないと、また4時間半もかかるのは嫌だなぁ。
クソ暑いけど、マジメにチャリに乗ろうかな。