大容量積載システムをつくる

 

 昨年はついに長期間ツーリングに行けずじまいだったわけだが、そのどこにも行けない無聊を慰めるべく、昨年末から今年の前半にかけて、積載システムの根本的改良に勤しんでいた次第なのだ。

 これまでのR25への荷物の積載は、2017年の青森ツーリング2018年の四国ツーリング2019年の山陰ツーリングと年々積載量が増大し、これをもってとりあえず完成形となっていたわけだ。
 システムの基礎はYZF-R25に荷物を積む!YZF-R25に荷物を積む! --サイドバッグを自作してみた--に少し詳しく書いているのだが、要するにホームセンターで買ってきたメッシュパネルを流用したキャリアがシステムの核なのである。
 このキャリアをがっちりバイクに固定することができれば、その上に積んだりぶら下げたりしても安定して積載量を増やせる、というわけなのだ。

 とはいえ、このメッシュパネルはそんなに強いモノではないので、積載量が増えるに伴って剛性感が若干不足するようになってきた。
 別に荷崩れする危険を感じるわけではないのだが、少し荷物が揺れるようになってきた。
 で、昨年どこにも行けずに考える時間はたっぷりあったので、システムを構築し直そう、と考えた次第なのだ。

 基本的な構成は以前と同じく、キャリアを核として構築する。
 そして以前の「できるだけ金を掛けない」というコンセプトはとりあえず凍結するが、既製品で揃えるようなことはしない、というコンセプトは変わらず。

 というのも、バイク用の積載アイテムには不満がたっぷりなのだよ。
 まずバカ高い。トップボックスなんてろくに積めないのにどうしてあんなに高いんだ。
 そして防水性に配慮していない製品が多すぎる。というかバッグ類はほとんど。
 雨にはレインカバーで対応して、ってことだけど、高速とか走ってるときに雨が降ってきたら、カバーを掛ける頃には中の荷物はずぶ濡れやん。
 そもそもやたら開口部がたくさんあって「パッキングしてからでも中の荷物にアクセスできる」のが売りのバッグも、レインカバーを掛けてしまえばアクセスできなくなるし、中に防水バッグを仕込んで防水性を担保すればアクセス性がガタ落ちになって意味がないのだ。

 というわけで、新たなコンセプトとして、「プレーンな状態で防水性を確保したシステムを作る」ということを加えた。
 もうひとつ、前回のシステムはバッグやボックスの固定に結束バンドを多用して取り外しできなくしていたのだが、これも可能な限り取り外しできる形で構築することとした。

 さて、現時点で構築しているシステムはこんな感じなのだ。


製作したキャリア
製作したキャリア

 

 とりあえずすべての核になるキャリアは新たに製作してみた。
 とはいっても自分で作れるわけもないので、金属加工会社に依頼したわけだが。
 アルミの打ち抜きで製作しているが、このアルミの厚みやフレーム幅は、一応簡単にだが剛性計算をして設定している。

 このキャリアのバイクへの固定方法は、以前のメッシュパネルの固定方法と同様。


YBR250へのキャリアの固定
YBR250へのキャリアの固定

 キャリアは基本的にタンデムシート上に固定するわけだが、タンデムシートはモデルによって前下がりだったり立体的な形状になっていたりで、がっちり固定することがなかなか難しい。
 YBR250はタンデムシートがかなり前下がりなので、キャリアを水平に設置するためにホームセンターで車用の段差ステップを買ってきて、タンデムシートの幅にぶった切ってキャリアの下に咬ませた。
 このキャリアとステップは横着して結束バンドで固定している(笑)


YZF-R25へのキャリアの固定
YZF-R25へのキャリアの固定

 キャリアの固定方法はR25もYBRも基本的に同じ。
 すなわち、画像では見にくいかもしれないが、タンデムステップにあるホールとシート裏のフェンダーにストラップを掛けて締めている。タンデムステップにホールがない機種ではまた工夫が必要だろうし、そもそもストラップで擦れてテールカウルに傷がつくことは避けられないので、気になる場合は対策が必要かと。


R25へのキャリアの固定
R25へのキャリアの固定 タンデムシート形状への対策

 またR25はタンデムシートが中央が盛り上がる立体的な形状なので、そこはホームセンターで買ってきた楔を咬ませることで水平に安定するようにしている。 これも結束バンドで横着固定。

 さて、次はバイクに固定したキャリアに何をどうやって載せるか、である。


キャリアへのボックスの搭載
キャリアにホムセン箱を載せる(R25)

 とりあえずホムセン箱を載せてみた。これはR25の画像。


キャリアへのボックス搭載 YBR
キャリアへのホムセン箱の搭載(YBR250)

 こちらはYBRに固定したキャリアへのホムセン箱の搭載。画像の見え方が少しおかしいが、キャリアはこれでほぼ水平に固定されている。

 ボックスに取付用の金具を装着してストラップでキャリアに固定、という方法は同じだが、実はR25とYBRで少しやり方を変えている。
 画像を見れば分かるが、R25は前後4カ所に金具を取り付け、4点留めでボックスを固定しているが、YBRでは左右2カ所留めにしている。
 というのは、最初R25でやってみたら思いの外がっちりと搭載できたので、これなら左右2カ所留めで十分なのでは?と思ってYBRでは取付金具を左右2カ所のみとしてみたわけだ。

 ところが2カ所留めだと走行に伴ってボックスが若干前後にズレてくることが分かった。
 今さら4点留めにはしたくなかったので(この金具がまた単価は安いのだがトータルではバカにならない金額がかかる)、1個の金具をキャリアの2カ所からストラップで引く、という構造にした。これでとりあえず安定している。


ホムセン箱にゴム脚を付ける
ホムセン箱にゴム脚を付ける

 ボックスの設置画像でも見えていたのだが、ホムセン箱にはゴム脚を付けた。
 というのは、キャリアは別にこのホムセン箱に合わせて寸法を決めたわけではないので、設置がけっこう微妙だったのだ。
 それとFRPのボックスをアルミのキャリアに置くと滑りが良すぎてがっちり固定しづらい。

 もうひとつ、下で説明するがサイドバッグ等の装着や、キャリアそのもののバイクへの固定のためのストラップやバックル類がキャリア面に出るため、直にボックスを置くとそれらと干渉する。

 なのでゴム脚を付けることで滑りを抑え、少し浮かせて搭載することでキャリア面に出るストラップやバックル類との干渉を避ける、というわけなのだ。

 ゴム脚は画像のとおり、ボンドとネジを併用してボックスに取り付けている。


取付金具 表面
ボックスへの取付金具の装着(表面)

 上の画像はボックスの取付金具。金具の上下4つのボルトも取付システムの一部である。


取付金具 裏面
ボックスへの取付金具の装着(裏面)

 この取付金具の裏面(ボックス内から見た面)が上画像。

 取付金具はかなり強い力で下に引かれるので、FRPのボックス面の破損や歪みを抑えるため、鉄プレートを2枚縦にボルト留めしている。また荷物や手を引っ掛けることの防止にネジは袋ネジを使用している。

 これはYBRに取り付けたボックスの取付金具だが、取付位置が違うだけでR25も構造は同じ。


キャリアへのサイドバッグの取付
キャリアへのサイドバッグの取付

 YBRは意外にテールカウルの幅が広く、サイドバッグを装着する余地があまりないのだが、R25は以前のシステムでもサイドバッグを自作して取り付けていたし、キャリアに取り外し可能な形でサイドバッグを装着できるようにした。

 サイドバッグには、20Lの容量の防水バッグを購入・加工してみた。
 取り付けるための金具はキャリアと同時に依頼して製作したのだが、最初の画像でキャリアの横にある4枚のプレートがそれである。

 詳しく説明するとなると図面が必要になるので省略するが、簡単に説明すると2枚のプレートで防水バッグの生地を挟み(もちろん生地にはネジ穴を開けるがゴムワッシャーを使って防水性を可能な限り損なわないようにしている)、表側のプレートにのみ開けられたスリットにストラップを通してキャリアに固定する、というやり方なのだ。
 プレートはもちろんキャリアに合わせて寸法設計をしているので、スリットの位置はフレームのピッチとぴったり合わせているし、ボルトの位置もフレームに当たらない場所に出るようにしている。
 で、ストラップはバックルで留めているので、取り外しも可能、というわけである。


フル積載状態のR25
フル積載状態のYZF-R25

 というわけで、現状でフル積載した状態のR25が上画像。
 さらにボックスの上に以前から使っている60Lの防水ダッフルを搭載可能にしている。全部載せれば計算上はボックス40L、ダッフル60L、サイドバッグ20L×2でトータル140Lの積載量を誇ることになる。


フル積載状態のYBR250
フル積載状態のYBR250

 同じくフル積載状態のYBR250。

 こちらも、ボックスの上にさらに積載可能なように金具等は付けてある。

 というわけで、とりあえず今年のロングツーリングはこのシステムでやるのだ。
 2年連続で新日本海フェリーにキャンセル料だけ支払うことになっているので、今年こそは行くのだ。

 そして今年の冬あたりには、さらにシステム改良を考えていたりする。
 もう着々と設計はしているのである。


 

Back to up