太郎平小屋50周年

 昨年(平成16年)の11月に太郎平小屋が50周年を迎えた記念式典があった。
 その式典にお呼ばれしたので、私のような昔ちょっとバイトしただけで、後はひたすら居候しているだけの人間が行って良いものだろうかと一瞬思ったし、堅苦しい「式典」なるものは苦手なのだが、懐かしい人に会えるかなと行くことにしたのだった。

 行ってみて50周年記念の本を頂き、時間までの間にぱらぱらと読んでいた。ちなみに30周年記念の本も持っているのだが、その本の巻末、歴代アルバイト名簿で昭和56年の名簿に私が載っていなかったのだ。ず〜っとマスターに「50周年の時は載せてね」と言おうと思っていたのだがいつもその場になると忘れてしまい、ようやく言えたのはこの年の9月になってからだった。間に合ったのであった。
 50年記念誌の巻末には、昭和56年と61〜63年にちゃんと私の名前が載っていた。9月にそのことをマスターに言ったとき、ついでに「61年から63年までもいたんだからね」と念を押しておいたのだ。

 さて名簿の件はともかく、式典はさすがに県や警察関係者なども大勢呼ばれていて盛況だった。私も一応、富山県の職員なので「山関係」ではなしに見知っている顔もけっこういた。「おや、こんなところで」なんて挨拶されてこちらも何食わぬ顔をして挨拶を返すものの、なんて人だったかさっぱり思い出せない人もいたりなんかして。

 でも期待していたのは「昔のバイト」なんである。なんせ私のような居候日数ではおそらく歴代バイトの中でも3本の指に入るに違いないという太郎小屋に巣くった寄生虫のような人間でも呼ばれるんである。(でも居候するときはちょっとは手伝っているので、サメとコバンザメのような共生関係もちょっとはある・・・かな?とちょっとだけ思っていても良いのでしょうか?)

 ・・・期待以上であった。昭和56年に高校1年生で初めてバイトに入ったときにいたバイト、61〜63年の時のバイト、大勢来ていた。
 なんせ招待者名簿には300人近くの名前があったのだが、その内バイトOBが60人以上もいたのであった。わりと年代的に満遍なく来ているようで、顔も名前も知らない人も大勢いたが、来る前に「あの人に会えたらいいな」と思っていた人は大半来ていたのであった。

 このところ、山でしょっちゅう会っている中島さん夫婦ももちろん来ていた。奥さんにまた「そのお腹、どうしたの〜」って言われてしまった。
 そのセリフ、条件反射になっているのとちがうか??

 61〜63年にバイトしていた時期、太郎小屋で番を張っていたY本氏も家族連れ(やはりバイトの女の子をひっかけて結婚した)で来ていた。
 その昔、下山を急ぐ私を無理矢理引き留め、将棋を3番もつき合わせて私が靱帯断裂する遠因を作っていただいた方である。
 道端で採取してきた得体の知れないキノコを一緒に食べたり、タコ部屋でバレンタインの17年もののビンにホワイトを詰めてウブなバイトを引っかけていたA元氏も来ていた。
 10月に山から下りてきたY本氏と一緒に岐阜の私のアパートを襲撃し、翌日2人で事前に美容院にまで行って某所に遊びに行ったH森氏も来ていた。

 綺麗なお姉さんは好きですか?でこのサイトのネタにした人もちゃんと来ていたのだった。
 相変わらず綺麗な人であったが、「憶えてますか?」と声をかけたら、「あの生意気な高校生か〜」と言われてしまった。
 憶えていてくれたのは嬉しいのだが、歳とって性格がきつくなったのか??

 順子岩の名前の由来になった順子ちゃんも来ていたのだった。
 順子岩はこのサイトでは黒部の鉄砲水黒部の大増水2003にも出てくる、薬師沢の増水の指標になっている大岩だが、その名前の由来については他でも触れている通り諸説あったりしてよく判らない。
 彼女は私が追い越したりしていなければ2つ歳上のはずなので、もう40も過ぎているはずなのだが、当時の彼女を知る身としては意外なほど綺麗であった(・・失礼な言い方??)。ただ、賑やかさとそのハイテンションも当時のままであった。(生意気なガキ、と言われたのでお返しである)
 本人がいたので、以前から気にかかっていた順子岩の名前の由来を聞いてみたのだが、「そんなん知らんわ〜」と一蹴されてしまった。が、順子ちゃんがすっぽんぽんになってこの岩の上から薬師沢に飛び込んだ、というのは事実無根の尾鰭であることを確認したに留まった。ま、そうだわな。

 そんなこんなで、会場の片隅で私達はちょっとした同窓会モード全開だったのであった。
 考えてみれば、そんなに昔からのバイトの面々を呼ぶ方も呼ぶ方であるが、来る方も来る方である。
 他の小屋で働いたことがないので今までそういう面で比較をしたことがないのだが、この小屋ってもしかして他にはないほどバイトを大事にしてくれる小屋なんではなかろうか。
 ・・・ま、歴代バイトの中でもおそらく最もその恩恵を被っている私が言うと、「何を今さら」と言われそうであるが。

 

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